論文概要
気候変動や公衆衛生の問題に対処し、アニマルウェルフェアを遵守するために、食生活を転換して動物性食品を減らし、植物性食品を増やす方向へ移行することが喫緊に必要となっている。多くの消費者はこれらが重要な問題であることを認めるが、食生活において肉の消費量を減らすことに特に積極的とはいえない。食生活の転換を支援するためには、食肉消費に関する消費者の態度や動機、嗜好を理解し、消費者の間に存在する様々な差異を考慮することが重要である。
本研究の目的は、肉類を食べない人(ベジタリアン・ヴィーガン)を詳細に調査し、肉類をよく食べる人、肉類の消費を減らしている人と比べた場合に、1.社会人口統計学的特徴、2.態度と規範、3.食事を選択する動機、4.食に関わる嗜好と行動などに関して相違を探ることである。オランダの成人を代表するサンプルを対象に調査を実施した。
比較の結果、肉類を食べない人(198人)は、肉類を減らしている人(171人)および肉類をよく食べる人(344人)とは、上記の4つのカテゴリーにおいて異なることが明らかになった。人口統計学的には、ヴィーガンとベジタリアンは高学歴の女性であるというステレオタイプをほぼ裏付ける結果が得られた。態度や規範では、参加者の間に大きな違いが存在し、肉類を食べない人は食肉消費に対して最も否定的で、肉類をよく食べる人は最も肯定的であった。
食事を選択する動機はこれを裏付けるもので、肉類を食べない人は、肉類を減らしている人や肉類をよく食べる人よりも、アニマルウェルフェアや(懸念や罪悪感がないことによる)気分の良さを重視していた。最後に、食に関わる嗜好と行動においてはグループ間の違いが最も顕著であり、肉類を食べない人は植物性タンパク源を非常に高く評価し、肉類を減らしているは肉以外の動物性タンパク質を高く評価し、肉類をよく食べる人では食肉製品を高く評価していた。
以上のように、グループ間には想定どおりの段階的な相違があったが、食肉の消費削減の動機とタンパク源の嗜好に関しては3つのグループは大きく異なっている。このため、短期的にはあるグループから他のグループへの大きな転換は期待できないと考えられる。
Muriel C D Verain, Hans Dagevos
2022/11/10
Comparing meat abstainers with avid meat eaters and committed meat reducers.