培養シーフードを食べてみたい?日本の消費者意識の検証

伝統的な方法による水産物の生産は、水圏生態系の不安定化、人体への健康リスク、年間で数兆に及ぶ水生動物の福祉に対する深刻な懸念など、現在私たちが直面している最も憂慮すべき地球規模の問題の一因となっている。シーフードに対する…

ケージフリー卵を購入する台湾消費者の意図:人と動物のつながり、ラベルへの信頼の影響を探る

近年、環境・社会・ガバナンスの問題(Environment- Social- Governance; ESG)についての意識の高まりを受けて、アニマルウェルフェアへの関心は着実に高まっている。この傾向は、国連が定めた持続…

消費者の肉へのこだわりと農業政策の目標としてのアニマルウェルフェアの重要性

アニマルウェルフェアは農業政策における主要な目標のひとつであり、消費者の側からも極めて重要だと考えられている。持続可能で健康的な食生活への転換が急務となるなかで、アニマルウェルフェアは行動変容を促すための重要な動機付けの…

肉のカーボンフットプリントなんて誰も気にしない?オーストラリアの消費者における信任因子の選好を探る

気候変動に関する話題では、温室効果ガスの排出に関連して、消費者はしばしば食肉消費を減らすことを促される。しかし、他に複数の信任因子*1があるなかで、消費者が敢えてカーボンフットプリント*2の低い食肉により多くの対価を支払…

血のない肉: 実験室で作られた肉がもたらす公衆衛生上の利点

動物の細胞から作られた合成肉は、私たちの食生活を一変させるだろう。動物を飼育し屠殺する必要がなくなるため、苦しみを減らすことができる。しかし、広く消費されるようになれば、公衆衛生の面でも大きなメリットがある。本稿では、「…

私たちの世界を変える? 国連における動物の権利と福祉の向上

本稿では、国連による持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals; SDGs)において、動物の権利と福祉がほとんど考慮されていないことについて議論する。国連の持続可能性アジェンダが変革を…

大規模な食肉購入業者による農場動物の福祉監査における成功事例

長年にわたり、大手スーパーマーケットや外食企業のサプライチェーン管理者は、農場や食肉処理工場におけるアニマルウェルフェアについて監査を行ってきた。その中には他に比べてより効果的なプログラムもある。ここでは、食肉処理工場に…

シンガポールの消費者における培養肉の受容:フレーミング、用語の選択、自然改変への抵抗感による影響

本稿は、定性的段階(研究1)と定量的段階(研究2)で構成されている。研究1の目的は、シンガポールの食肉消費者(培養鶏肉を食べたことのある消費者を含む)にとって、(培養肉の受容のために)どのようなフレームや呼称が最も魅力的…

代替肉に対するドイツ消費者の態度に影響を与える要因:植物由来・昆虫由来・培養肉食品における比較

代替肉に対する消費者の態度を理解することは、従来の食肉消費とそれに伴う環境への悪影響を減らすために極めて重要である。本研究では、ドイツにおいて消費者の態度に影響を与える要因を調査し、3つの主要な代替肉(植物由来・昆虫由来…

幸福の概念化と菜食主義: スペインの大学生における実証

菜食主義(ベジタリアニズム)は、アニマルウェルフェアに加えて人間と地球の健康を向上させる。肉食を減らす動機には、健康に関連した理由と倫理的な理由があるが、肉を避ける主な原動力となっているのは後者である。しかし、ベジタリア…

ヨーロッパのサケ科養殖における魚類のウェルフェア:デルファイ法による問題の優先順位

ヨーロッパの水産養殖業は急成長を遂げており、全体としては陸上動物よりも多くの水生動物が養殖されている。しかし、魚類などの水生動物のウェルフェアについてはあまり注目されてこなかった。本研究では、北欧のケージで養殖されている…

昆虫ベースの飼料に対する社会の受容性:ヨーロッパにおける質的研究

EUにおける高タンパク質の飼料への需要の増大、集約的畜産に伴う環境の悪化を背景として、従来の飼料に代わり昆虫ベースの飼料が持続可能な代替品となるかが議論されている。 しかし、このような技術革新の確立は、技術面や経済面での…

ケニア水産業における魚の輸送慣行、ステークホルダーの態度と認識

生きた魚を求める需要は世界中で大きく、なかでも中国では品質に関する基準が消費者の嗜好とも一致している。ケニアでは特に水産養殖の盛んな地域において、生きた魚についての議論は焦点となっているが、魚を輸送する手段が体系的に定め…

フィンランドの酪農業者がアニマルウェルフェア推進技術を採用する際の促進要因と制約

フィンランドにおいて酪農生産の再編は、商業農場における経営規模と生産能力の拡大をもたらした。これと同時に畜産業界は、畜産動物の福祉増進に対する大きな期待と圧力に直面している。多くの酪農農場では最新技術に投資しており、例え…

食肉産業における革新的イノベーションとしての代替肉の新技術

第二次世界大戦後、消費者の食品消費パターンは劇的に変化した。はじめに外食や調理済み食品へのシフトを促したのは、移動性や経済発展、家電製品の技術であった。より最近では、健康への懸念や持続可能性の問題によって、食肉製品に対す…

ベジタリアン食の選択を促進する利他的インセンティブ: フィールド実験

ベジタリアン食は、アニマルウェルフェアや人間の健康、自然環境にとって有益な結果をもたらすが、このような効果は概して日常の食事の選択とはかけ離れていて実感しにくいことが多い。今回のフィールド実験(N = 741人)では、ベ…

プラントベースへの移行は進行中?フィンランドの消費者における肉の代替

近年、生態系や健康、アニマルウェルフェアへの影響のため、欧米の食文化における食肉の位置づけが問われている。本研究では、フィンランドでプラントベース食品の市場参入が顕著になって以降の新たな状況において、肉と植物性タンパク質…

予測分析から感情認識へ:進化するコグニティブ・コンピューティング、アニマルウェルフェアにおける展望

本論文では、データサイエンスと認知に関わる技術の融合によって畜産動物の行動や感情を読み解くことを探究する。研究の焦点は、デジタル画像と人工知能を戦略的に応用して畜産動物の微妙な行動パターンや微細な表情を識別すること、それ…

畜産動物に名前と顔を与えること: 「身元の分かる被害者効果」で動物への愛護感情を誘発する

動物性食品を中心とした食生活は、私たちの健康や地球にとって負担が大きく、動物たちに苦しみを与えることが多い。この研究の目的は、よく知られている「身元の分かる被害者効果」- 匿名の被害者や統計値の被害者ではなく、個人として…

肉食消費者の罪悪感: 動物の擬人化が健康的な肉料理へと向かうとき

アニマルウェルフェアへの懸念が高まりと、肉食の一般的な広がりにもかかわらず、消費者行動に関する文献では、肉食に対する消費者の罪悪感を理解することへ注意が向けられることはほとんどなかった。本研究ではこの空白を埋めるために、…