魚類における嗜好・回避・動機、アニマルウェルフェアの観点からみたその重要性

これまでの研究によれば、魚類には恐怖・痛み・喜びなど、いくつかの情動を経験する神経生理学的および行動学的メカニズムが備わっていることが報告されている。このことは、当事者の主観的な感覚を根拠とするウェルフェアを考えるうえで…

心理学的構成概念としての人間中心主義、その構造と相関

環境保護をめぐる議論では、環境倫理における人間中心主義的な立場と環境生物中心主義的な立場からの主張が衝突している。野生生物の保護を主張する立場からは、人間中心主義は生態系危機の主因であるとして批判されているが、心理学的構…

動物たちの道徳的地位: 種差別の心理学に向けて

本稿では、哲学的概念である「種差別」―種に属するか否かによって異なる道徳的価値を付与すること―を心理学的構成概念として導入し、検討する。ネット上の一般人口集団および大学生をサンプルとして用いた5つの研究において、種差別は…

動物の苦しみに対する消費者の意識

地球と人類の健康は、欧米人が肉の消費を減らすことができるかどうかにかかっている。食肉生産は環境を悪化させ、食肉の過剰な摂取はガンや心血管疾患などとも関連しているが、消費者が食生活を変えるためは、説得力のある理由と動機が必…

ヴィーガニズムに対する社会的・心理的な障壁を特定し克服する

本稿では、エシカル・ヴィーガニズムへと至る道程を、行動変容ステージモデル(無関心期から関心期・準備期・実行期・維持期まで)に基づいて概念化する。それぞれのステージにおいて、ヴィーガニズムへの前進を阻む心理的障壁を探り、こ…

利他主義と反人間中心主義は、環境にやさしく倫理的な食肉製品への選択意図を形作る

消費者が持続可能で倫理的な食品生産のあり方を意識し、関心を持つにつれて、食品を消費するパターンは変化している。畜産業と社会との断絶は拡大しつつあり、消費者の購買行動の背後にある動機を検証する研究はますます重要となっている…

ベジタリアン食の選択を促進する利他的インセンティブ: フィールド実験

ベジタリアン食は、アニマルウェルフェアや人間の健康、自然環境にとって有益な結果をもたらすが、このような効果は概して日常の食事の選択とはかけ離れていて実感しにくいことが多い。今回のフィールド実験(N = 741人)では、ベ…