持続可能な食事パターンへの移行 フランス語圏カナダ人における食事パターンからの知見

背景: 多くの食事ガイドラインは、動物性タンパク質を植物性タンパク質に置き換えることを推進しており、そこでは健康上の利点だけでなく、より持続可能な食事パターンへの移行を支援することが目的となっている。本研究ではフランス系…

農地利用で悪化する東南アジアの感染症リスク

農業は、ヒトの感染症を引き起こす可能性がある要因の一つと考えられてきた。しかし、感染症と農業の関わりに一般性があるのかについては、これまでに体系的な検証がなく、そのため土地の利用や開発に関する政策において公衆衛生の問題は…

中国の食習慣シフトが環境と健康にもたらす影響のトレードオフ

食生活が穀類から肉・果物・野菜へと転換することで環境に対する影響は増大する。また、それに伴う赤身肉の過剰摂取と微量栄養素の欠乏も健康に関する懸念を高める原因となっている。これまでの研究では、現在の食習慣に代替する食事法が…

食料品貿易は、世界・地域・国のレベルで、食事に関連する健康リスクと死亡率を増加させている

消費者が購入する食品は、一般に食料品貿易によってより調達しやすくなり、多様性も高くなると考えられているが、このことが人々の健康に対してどのような影響を及ぼしているかについての実証的な知見は乏しい。 ここでは、世界全体で見…

豚とブロイラーにおける健康・福祉の向上を通じて抗菌剤の使用を低減する

畜産動物の体内に残留する抗菌剤は、消費者の健康に有害な影響を及ぼす可能性がある。同時に、動物に与える飲料水の質を適切に保つことは、アニマルウェルフェアを担保し、食品に抗菌剤が混入しないことを確実にするうえで重要な要素とな…

食肉消費のピークは近づいているのか? 35カ国における2000年から2019年までの食肉消費量と国内総生産の関係

世界の食肉消費は、繁栄の拡大とともに変わりつつあるが、それだけではなく、疾病のアウトブレイク、自然災害、消費者の嗜好といった要因によっても変化している。我々は、国連食糧農業機関と経済協力開発機構(OECD)でモニターされ…

スイスにおける食肉削減政策の受容

本研究の目的は、スイスにおける食肉消費に影響を与えるさまざまな政策手段に対する受容度を分析することである。主要な利害関係者を対象とした質的インタビュー調査を実施し、食肉消費を削減するための政策手段37件を作成した。標準化…

肉の消費を減らすのが不満なのは誰か? メディアによるフレーミングの分析

目的: 赤身肉や加工肉を多く含む食生活は、環境の悪化や温室効果ガス排出、慢性疾患による世界的な負担増に大きく関わっている。これまでに発表された主要な調査報告では、赤身肉・加工肉の消費を世界全体で大幅に削減することが求めら…

肉は健康に良く、環境に優しく、社会経済の持続可能性に欠かせない ― 北欧栄養勧告の策定における食肉産業のフレーミング

食料システムによる環境負荷を削減するためには、需要側における変化、特に消費量の多い集団において動物性食品の消費を削減することが必要となる。食事パターンを変えることは難しいため、赤身肉の削減を促進する政策が必要となるが、そ…

持続可能な食生活への転換が人間と環境の健康にもたらすコベネフィット 欧州の大規模コホート研究による検証

背景: 不健康な食生活と非伝染性疾患の増加、プラネタリーヘルス(地球の健康)の悪化は、互いに密接に絡み合っており、その中で食料の生産・消費は、温室効果ガス排出量の増加、膨大な土地利用、がんの発生や死亡を含む健康への悪影響…

糖尿病の管理と合併症の予防におけるプラントベース食とファイトケミカル

糖尿病は現在、世界の公衆衛生における危機とみなされているが、従来の治療では生涯にわたる服薬が必要であり、副作用や入手のしやすさ、コストなどの点で限界がある。2型糖尿病は一般に肥満を伴い、血糖値の上昇、高脂血症、慢性炎症、…

韓国の単身者では、動物性タンパク質の摂取量が多いほどメタボリックシンドロームになるリスクは高い

背景・目的: 韓国社会では動物性タンパク質の摂取量が増加し、単身世帯が増加しているが、タンパク源別の摂取量とメタボリックシンドロームの関係を世帯類型ごとに分析した研究はない。本研究では、単身世帯および多人数世帯の成人にお…

持続可能なプラントベース食に関するオーストラリアのニュースメディアの描写を探る

背景: より持続可能な食糧システムを実現するためには、プラントベース食品の摂取を増やし、赤身肉や高度加工食品の消費を減らすなど、食生活の変革が不可欠である。食行動に関する世論に対してメディア報道が及ぼす影響は大きい。そこ…

中高年成人におけるMIND食と認知機能の関連 中国スクエアダンス・コホートからの結果

目的: 本研究では、中国の中高年成人を対象とした横断調査において、中国向けに合わせたMIND食*と全般的な認知機能、および個別の認知機能の成績との関係を検証することを目的とした。 方法: 横断調査において、「ライフスタイ…

英国のふたご女性における食事パターンと認知機能

背景: プラントベースの食事は、認知機能の低下やアルツハイマー病に対する予防効果をもたらす可能性があるが、報告されている観察研究の結果は一貫していない。幼少期の社会経済状況や遺伝による要因は、認知能力と食行動の双方に影響…

将来の英国における肉・乳製品の消費 気候変動目標の達成と公衆衛生の向上にむけた政策シナリオを探る

英国における温室効果ガス排出目標を達成するため、気候変動委員会*1では2030年までに肉と乳製品の摂取量を現状より20%削減するよう勧告している。本研究では、食品の購入動向と肉・乳製品を削減する政策に沿ったシナリオを選び…

工場畜産と人獣共通感染症、抗菌剤耐性との関連性

畜産動物をストレスの高い過密な環境で飼育することにより、人獣共通感染症*1をはじめとする病原体が出現し、伝染と繁殖のリスクが高くなることが数多くの研究で示されている。こうした人獣共通感染症の中には、パンデミックにつながる…

ベジタリアンと非ベジタリアンの学校給食に対する子どもたちの好感度

欧米諸国がよりプラントベースの食生活へと転換することは、人々と地球の健康を守るために有効である。こうした転換を達成するうえで、学校給食は公共政策における重要なターゲットとなる。学校給食でベジタリアン食を提供する頻度を増や…

高所得国において個人が牛肉の消費を制限するべき道徳的理由

本稿の論点は、牛肉の生産・消費がもたらす悪影響を考慮すると、多くの高所得の国々では、個人のレベルで全般的に牛肉消費を制限し、代わりに植物性タンパク質を摂取する道徳的な理由があるということである。牛肉の生産は、農業による温…

畜産に潜む感染症の罠

動物に由来する感染症(人獣共通感染症)は、農業による森林破壊に伴って発生した。農業は集約化、すなわち資源利用における効率を高めることにより、土地の利用を削減することができる。しかし、集約された畜産経営では、動物やその排泄…