単なるデータじゃない―生物学的モニタリングで虐待される淡水無脊椎動物

本稿で取り上げて議論するのは、生物学的モニタリング法で淡水環境の生態学的状態を評価する際に、自由に生活する無脊椎動物を使うことの問題点である。無脊椎動物は、環境保護の手続きにおいて倫理的な配慮から除外されており、その結果…

オーストラリア・中国・英国の消費者において、食肉を削減しタンパク質代替品を選択する意欲

世界的な食肉需要の増大によって、環境や食料安全保障おける問題はさらに深刻になっている。健康的で持続可能な食生活を採用して食肉消費を削減することは、これらの問題に取り組むためのアプローチの一つとなる。本研究では、肉を食べる…

男らしさ、肉を減らすことに対する男性の抵抗

本稿では、男性にとって食肉を減らすことは男らしさへの脅威であると捉え、男性に食肉削減を受け入れやすくするための戦略を提示する。肉を食べることは、固定観念的なイメージにおいて伝統的な意味での男らしさと結びついている。女性に…

米国における牛乳の消費パターン: プラントベース飲料で代替しているのは誰か?

本研究では、米国の995世帯を対象とした調査によって、牛乳とプラントベース代替飲料がどのように消費されているかを調査した。長期的な傾向として牛乳の消費量は減少しているが、近年では植物性飲料の消費量の増加によってさらに減少…

環境問題とアニマルウェルフェアの不正行為、ラディカル・イノベーションで防げるか? — マグロ培養肉の事例

環境問題における組織的な不正行為とは、組織による違法、非倫理的ないし無責任な行動を意味し、これらは資源の枯渇や生物多様性への脅威、動物たちの苦しみ、環境破壊とも結びついている。マグロのバリューチェーンのように、違法な搾取…

グラフィック警告表示で食肉消費を減らせるか?

赤身肉は「発がん性の恐れあり」、加工肉は「発がん性あり」と分類し、タバコ製品に使われるような警告ラベルを食肉製品に貼ることを求めた。これらのラベルは、問題となる行動に伴う健康リスクについて人々に情報提供するもので、通常は…

2010年代のオランダにおけるフレキシタリアニズムの変化、消費者セグメントと動機

肉の大量消費は、環境への大きな負荷や人間の健康への悪影響に関わっている。欧米の食生活においては食肉消費の削減が必要となっているが、食肉に関する消費者の考え方や規範、行動は様々に異なっている。本研究の目的は、食肉消費とその…

新しい食品技術への嫌悪感は培養肉受容への心理的障壁となる

実験室で育てられた「クリーンな」食肉(培養肉)は、従来の食肉と構造的によく似ているが、通常の食肉に比べて環境・健康・倫理の面で利点がある。しかし、クリーンミートに対して好意的な人がいる一方で、消極的な人もいる。クリーンミ…

植物性材料を多く含む食事パターンとその実践に対する米国成人の認識・信念・行動:国際食品情報評議会・食品と健康に関する調査(2012-2022)からの洞察

精製・加工されていないプラントベース食品を増やし、赤身肉や加工肉を減らした食事パターンは、気候変動に対して大きな効果のある行動として専門家によって推奨されている。しかし、人々が植物性プラントベース食品を多く含む食事パター…

食肉消費における逆説的ジェンダー効果は文化を超える

男性は女性よりも肉を多く食べる傾向があるが、その理由は明らかではない。我々は、文化間比較研究(4大陸23カ国、20,802人)において、以下の3つの仮説を検証した:(a)食肉における性差は普遍的なものである、(b)食肉の…

アニマルウェルフェアを向上させるための人工知能技術の進歩:現在の応用と研究の進展

様々な分野における人工知能(AI)の導入は大きな進歩をもたらした。動物に関わる産業も例外ではない。この総説では、アニマルウェルフェアの向上におけるAI技術の利点と限界、将来の展望を調査することを目的としている。 最初に、…

肉・菜食主義・ヴィーガニズムについてTwitterの議論に見られる性差

伝統的なメディアは、食肉を男性性と結びつけることで、料理の話題を性別(ジェンダー)に絡めて描きだし、社会の現実に影響を与えている。本研究では、同じようにジェンダー化された表現がソーシャルメディアでも見られることで、結果と…

ヨーロッパ9カ国の消費者における卵製品の品質・持続可能性に対する認識

目的: 卵の購入に際して、ヨーロッパ9カ国の市民が、食品としての卵の品質・製品としての持続可能性(アニマルウェルフェア・原産国・生産方法)をどのように認識しているかについて情報を提供する。 デザイン/方法論/アプローチ:…

肉と代替肉、環境と健康に良いのはどっち?

背景: 質の悪い食生活は、非感染性疾患のリスクを高めるなど、健康に悪い影響を及ぼす。食糧システムのなかでも特に農業は、気候変動につながる温室効果ガス排出(GHGE)の一因となっている。この意味で肉の消費は健康と環境負荷の…

健康に良い、それとも環境に優しい? ベトナムとスイスのグリーン・コンシューマーにおける食肉消費行動

肉の大量消費は、スイスのような先進国でも、ベトナムのような新興国でも見られる現象であり、環境・社会・健康への影響に関連している。健康的で持続可能な食生活を望む消費者は両国で増加しているにもかかわらず、異なるニーズや障壁に…

プラントベース・タンパク質食品に関するギリシャ食品業界の認識

食品業界は、食品生産の改善と環境に対する影響の削減を迫られている。さらに、今日の消費者は、より持続可能な食生活へのシフトを強めている。このような状況において、植物由来のタンパク源は有望な解決策であると考えられる。本調査で…

植物性ミルクは牛乳の売上を減らす? アーモンドミルク・ブームの検証

近年、肉や乳製品に代わるプラントベースの代替食品の売上が大きく伸びている。しかし、こうした代替食品によって実際に畜産製品の売上が減少しているのか、明らかにされていない。本稿では、畜産に由来する製品の一つである無調整牛乳と…

ヴィーガンと雑食、老化へのエピジェネティックな影響

背景: 老年科学では、老化に伴う分子変化を緩和する方法の研究が焦点となっている。生活習慣の改善や薬物療法、社会的要因は老化プロセスに影響を及ぼすが、老化に関わる複雑な分子メカニズムにはエピジェネティクス*1の詳細な調査が…

26項目の摂食態度調査票(EAT-26):ベジタリアン・ヴィーガンにおける計量心理学的特性と因子構造

摂食障害のスクリーニング検査である摂食態度調査票 Eating Attitudes Test(EAT)は広く使用されているが、ベジタリアンやヴィーガンのように特定の食事スタイルを持った人々にも有用なのかは不明である。ベジ…

米国のベジタリアンの食事と消費行動:国民健康栄養調査(NHANES)データレポート

健康に良い効果があることを期待して、プラントベースの食生活を選ぶ人々が増えている。菜食主義を支持するメッセージを発信し、プラントベース食品の消費に関する一般の人々の考え方に影響を与えるためには、ベジタリアンの食行動を社会…