食品生産における人獣共通感染症リスクの低減 公衆衛生倫理の事例として

本稿で議論するのは、集約的な畜産が認可されている国々において、人獣共通感染症* のパンデミックによるリスクから公衆衛生を守るために、政府が集約的畜産を制限、あるいは廃止する措置をとることは -これは特に高所得国で重要であ…

食肉消費、健康と環境

世界における1人当たりの食肉の平均消費量、および世界全体の食肉の総消費量は、個人の平均所得の増加と人口の増加により、いずれも上昇しつつある。さまざまな種類の肉や肉製品を消費することは人々の健康に大きな影響を及ぼしており、…

健康的で持続可能な食品消費のための食肉課税と青果物補助金 オランダ社会における費用便益分析

背景: 食品税や補助金を導入することで、より健康的でより持続可能な食生活を社会で促進できる可能性がある。本研究では、オランダにおいて食肉への課税(15%または30%)と、果物・野菜の消費への補助金(10%)を導入した場合…

食肉と健康の結びつきは、英国のニュースメディアでどう表現されているか

公共の場で食事と栄養の問題が話し合われる際に、主要メディアはその議論形成の進め方において中心的な役割を果たしているが、そこで食肉と健康の結びつきがどのように描かれているかについてはほとんど調べられていない。本研究のために…

健康的な食事パターンと総死亡・原因別死亡のリスク

研究の重要性: 「米国人のための食事ガイドライン Dietary Guidelines for Americans *1」では、健康的な食事として現在複数の食事パターンが推奨されている。しかし、遵守する食事パターンによっ…

代替タンパク質への移行に対する消費者の抵抗 システマティックレビュー

動物性タンパク質から代替タンパク質源への移行において、消費者からの抵抗は重大な障害となる。これには染みついた肉食の習慣を変えようとしない消費者と、こうした反応を予想して政策立案やマーケティング、実務に関わる担当者が行動を…

社会人口学的要因、食事の質とコストから見た植物性・動物性タンパク質の食事:シアトル肥満研究からの知見

背景: 植物性タンパク質の食事の推進は、公衆栄養学における多くの取り組みの最前線にある。 目的: 植物性タンパク質の食事摂取に関する社会人口学的要因を明らかにし、食事の質やコストとの関連について検証する。 方法: 対象と…

食生活の変化と土地利用の変化 食肉消費による気候変動と生物多様性へのダメージ

土地利用の変化は、人間の活動に起因する温室効果ガス排出の原因のうち大きな割合を占めており、世界の生物多様性損失の主な要因となっている。土地利用変化に関連した世界のCO2排出と生物多様性の損失における大部分は熱帯諸国で発生…

食品が気候変動に与える外部コスト 畜産物の価格設定は適正ではない

農業部門は世界の温室効果ガスの主要な排出源となっているが、それが環境と社会に及ぼしている外部性*1 についての厳密な経済学的分析はいまだ行われていない。農業の外部費用(コスト)を調べたこれまでの研究では、農業システムと食…

低炭素の食生活は、地球環境と健康にかかるコストを削減できる

動物に由来する食品の消費を削減することで、関連する外部費用*1(コスト)を削減できる可能性がある。しかし、その削減の効果はいまだ十分に解明されていない。ここでは、ライフサイクル・アセスメント*2 の原理とマネタイゼーショ…

サステナビリティ科学におけるコミュニケーション ドイツにおける「真のコスト・キャンペーン」に関する事例研究

人新世*1 においては人為による気候変動が顕著であり、気候変動目標に取り組み、地球環境の限界*2を守るための行動が緊急に必要とされている。サステナビリティ(持続可能性)に関する研究はこの問題に関する知見を提供しているが、…

食品の「真の価格*」に向けて アグリフードシステムを変革する手段としての付加価値税

気候危機、COVID-19のパンデミック、ロシアによるウクライナ侵攻とこれに起因するエネルギーと食糧の不足など、現在のさまざまな危機を通じて明らかになったのは、地域の食糧生産と農地を活用した、強固で持続可能なサプライチェ…

肉の消費を削減するための政策 英国における受容可能性についてのサーベイ実験

食肉消費量を削減する政策は、気候変動目標を達成するために必要であるとともに、国民の健康状態も改善できる可能性がある。こうした政策を実現するうえでは、社会がそれを受容できるかどうかが重要となる。本研究では、赤肉と加工肉の消…

食品に対する付加価値税の改革は、欧州において健康・環境・経済面の便益をもたらす

世界的な政策目標の達成に必要となる食生活の変化を促すためには、財政政策によるインセンティブは重要である。欧州諸国では、健康と環境に関連する食品には付加価値税が課されることが多く、その税率は軽減されるもののゼロではなく、最…

食肉課税に対する社会的・政治的な受容の可能性 – 政策フレーミングと税収の使途に関する実験

本稿では、赤肉・加工肉に対して課税することに関してスウェーデンの国民と政治家の態度を調査し、その課税の枠組みについて、1.気候変動税、2.公衆衛生税、3.気候変動税と公衆衛生税の両方、のいずれかとした場合に課税を受けいれ…

プラントベース代替食品は、動物性食品より健康的であり、環境的に持続可能である

環境と動物のため、また個人の健康と公衆衛生のために、工場畜産から脱却する強い理由はますます増えつつある。動物性食品を代替するプラントベース食品は、嗜好性・価格・利便性という消費者の意思決定の中核をなす要素に対応しているた…

地域ごとに差別化した戦略がなければ、畜産だけで地球環境の限界を超える可能性がある

畜産は環境十全性 environmental integrity を保護するうえで大きな課題となっている。本研究では、1995年から2022年までの畜産業に関する環境フットプリントを10項目について包括的に分析し、203…

代替タンパク質のイノベーション 産業界と消費者における課題

現在の温室効果ガス排出量の4分の1以上は農業に起因するものであり、とくに食肉生産はそのカーボンフットプリント*の大部分を占めている。低・中所得国において富裕化が進むとともに、乳製品や肉製品など動物性タンパク質に対する需要…

感染症 – 畜産 – 気候 悪循環なのか?

畜産における(牛・羊などの)反芻動物は、世界のメタンガス排出に大きく関わっている。感染症は、畜産に関連したメタンガスの排出量を増加させることにより、こうした影響をさらに悪化させる可能性がある。多くの感染症が蔓延するにつれ…

今後の畜産政策の方向性に関するドイツ市民の意識

畜産業を持続可能な形で移行させることは、国際的および国内的な規制政策における課題となっている。これまで政治的な議論においては、アニマルウェルフェアを強化したり温室効果ガス排出を削減したりするために、生産や管理の方法をどの…