3月12日の衆議院厚生労働委員会での質疑において、実験動物の国際原則である3Rの理念の強化に反対する吉田統彦衆議院議員が、京都大学iPS細胞研究所所長 山中伸弥教授が3Rの理念が強化されると「自身の今後の研究の遂行に大きくかかわる可能性があると危惧」していると発言*1しました。 また、超党派議連でのヒアリングの場で実験動物医学会が配布した資料には、山中教授の意見として、動物愛護法における実験動物に対する取組強化の改正を行うことに「なぜ改正を行うのか分からない」「改正された場合、自分自身の研究の推進に悪影響が出る」と記されていました。本当でしょうか。 3Rは国際原則であり、責任ある立場にあり、また国際的に注目される立場にあれば、当然すでに徹底しているものであるはずです。当然、「できるかぎり」と現法律でも、改正の骨子案でも書かれているため、代替法が確立されている(通常バリデートされているもの)は代替し、削減できるものは削減するという考え方です。私たち3団体(ARC・JAVA・PEACE)が山中教授に書面にてご見解を確認したところ、ご回答をいただきました。その内容は、3Rを義務付けする改正骨子案に反対のお考えであるとは受け止められないものでした。特に「私たち研究者も動物実験をできる限り削減したいという思いを強く持っており、引き続き3Rの原則を遵守することは当然のことであります。」という見解は、3Rの強化の後押しとなるものです。動物の愛護及び管理に関する法律は、あくまで科学上の目的で動物を利用する場合にはどのように扱うべきかを定めた法律であって、動物実験の必要性を否定してはおりません。動物実験が行われている現実を踏まえ、3Rが同法に盛り込まれています。 この3Rの理念の強化が動物実験の遂行を妨げるのであれば、それは現在すでに規定されている3Rのうち、努力義務となっている2Rを実行できていない、または実行する意志がないのだと公言しているようなものです。実験動物医学会が主張する「2006年体制」がうまく機能していないことを、自身が告白しているようなものなのです。社会的な影響力の大きい山中教授の名前を出してロビー活動を繰り広げている動物実験関係者、およびその言葉の真偽を確かめもせずに責任ある場で利用してしまっている国会議員の皆さんは、再度、3Rの理念の強化という国際的に当然とされるものを拒否することの影響を、今一度考えなおしていただきたいと思います。*1 http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009719820190312002.htmクリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Article動物の集約的飼育は危険:豚コレラによる7万2千頭の豚の犠牲 Next Articleドキュメント映画「かわいそうな象を知っていますか?」番外編に畜産動物 2019/04/11