世界14か国に拠点を持ち、国際的な動物保護活動を行うWAP(世界動物保護協会)が、2020年版の動物保護指数(API)レポートを発表しました。対象となったのは50か国。この中に日本も含まれます。このレポートはWAPによる恣意的なものではなく、作成にあたってWAPは広範囲に情報を精査しています。WAPは、政府、獣医最高責任者(CVO)、およびそれぞれのOIEの代表と協力して、50か国の報告のそれぞれに含まれるすべての情報が正しいこと、および見過ごされていないポリシーや法律がないことを確認しました。 APIで評価された50か国の各CVOは、公開前にレポートを受け取り、フィードバックを提供するために1か月が与えられました。 関連する場合、CVOからのフィードバックは、Webサイトの国ごとのレポートの最終版に統合されました。-Our stakeholders-About the Animal Protection Index (API)より翻訳WAPによる評価項目は、「動物の知覚は法律によって正式に認められているか」「動物に苦痛を与えることを禁止する法律があるか」「畜産動物の保護について」「管理下の動物の保護について(展示動物や毛皮産業など)」「コンパニオンアニマルの保護について」★「使役動物および娯楽に用いられる動物の保護について(サーカスや闘犬など)」「科学研究に用いられる動物の保護 (動物実験)」「野生動物福祉の保護 」★「動物福祉における政府の責任」「OIE動物福祉基準の遵守状況」「動物福祉に関する世界宣言の支持」と多岐にわたります。★印の項目以外、翻訳したものを掲載します。(★印の項目は翻訳が終わり次第追加します。また畜産動物の保護についてはコチラに掲載しています。)グローバルな視点で見た時、日本動物保護体制はいずれも低いものとなっています。トータルでの総合評価はE。WAPは日本が何を改善すべきなのかについてもそれぞれの項目で示しているので、参考になるのではないかと思います。※翻訳はボランティアスタッフのHarukaさんとMisakiさんの協力でアニマルライツセンターが独自に行ったものです。※評価はA-Gの7段階評価。Aが最も高いレベルになります。動物の知覚は法律によって正式に認められているか日本の評価 F動物の愛護及び管理に関する法律(1973年)が最後に修正されたのは、2014年である。同法の基本原則には、「動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、または苦しめることのないようにする」と記載されている。同法では、第5章の第40条(1)、第41条(2)、および第41条(3)で、動物の「痛みと苦痛」について言及している。分析政府は、動物の愛護及び管理に関する法律(1973年)の中で、動物の知覚に関する重要な要素を認めている。したがって、動物の保護は、動物には痛みや苦痛を感じる能力があるという理解から導き出されている。法執行メカニズム動物が痛みや苦痛を感じるという認識に関連する特定の行為については、罰金または懲役からなる法執行メカニズムがある。しかし、これらはリスト化された特定の動物種のみに適用され、家畜(ペット及び畜産動物)のみとなっている。(動物の愛護及び管理に関する法律 第44条)主な推奨事項動物は知覚的であることを証明する広範な科学的証拠があるため、日本政府は、科学的証拠が存在するすべての動物(少なくとも、すべての脊椎動物、頭足類、十脚目甲殻類)が知性ある存在であるということを、法律の基本原則に正式に記すことを求められている。動物が知覚的であると認めることは、さらなる動物福祉への考慮事項を補強する。動物に苦痛を与えることを禁止する法律日本の評価 D「動物の愛護及び管理に関する法律」(1973年)の目的は、「動物に対する虐待、動物の適切な取扱いその他の動物の福祉に関する事項を定め、国民の間に動物福祉の精神を醸成し、生命の尊重及び友愛と平和の情操の涵養に寄与するとともに、動物の管理に関する事項を規定することにより、動物が人の生命、身体又は財産を侵害することを防止すること」(第1条)とされている。同法第2条は、動物は生き物であるという事実に鑑み、何人も、正当な理由なく、動物を殺傷し、又は残虐な行為をしてはならないとし、何人も、 動物の自然的習性を考慮し、人と動物との共生に配慮して、動物を適正に扱わなければならないとしている。 同法第5条第1項は、大臣が、動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針を策定するものとしている。第7条第1項は、動物の所有者及び管理者に対し、動物をその種及び行動に応じた適切な方法で飼養し、保管することにより、動物の健康と安全を維持するよう努めなければならないとする注意義務を定める。これには、 動物の環境と健康を維持し、適切に給餌と給水を行うという更なる注意義務が含まれる。同法第7条第4項は、大臣が、関係行政機関の長と協議して、動物の飼養及び保管について遵守すべき基準を定めることができると規定している。第9条では、地方公共団体は、動物の健康及び安全を保持し、そして動物が人に迷惑を及ぼすことのないように、条例で定めるところにより、動物の所有者及び占有者に対する指導その他の動物の飼養及び保管に関し必要な措置を講ずることができると規定している。日本の動物保護法は5年ごとに見直されており、新規改正案は2019-20に公表される。分析「動物の愛護及び管理に関する法律」(1973年)は、法律に定められた事項について政府が国民と関わるための方法を定めており、これは国民の関心を動物福祉に向けるのに役立つはずである。現行の法律は、虐待行為を禁止し、注意義務を課すことに有効であるが、これらの規定は詳細に述べられていない。さらに、関連する法執行メカニズムは、家畜やコンパニオンアニマル、所有される哺乳類、鳥類、爬虫類からなる特定の種のリストにのみ適用されるため、自由に生きる野生動物への虐待行為に対する法執行メカニズムは残されていない。現在の法律の範囲は、動物福祉を促進し、動物を人道的に扱うことについて国民を教育しようとする政府の意向を示している。現行法の構成はまた、法執行メカニズムを国内の動物種の限られたリストに制限しているため、改善への潜在的な障壁となっている。法執行メカニズムウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、 いえウサギ、ニワトリ、 いえバトおよびカモ、またはその他の所有者を有する動物で哺乳類、鳥類または爬虫類など「愛護動物」として定義されたリストのみに関連する法執行メカニズムが存在する(動物の愛護及び管理に関する法律 第44条)。これらの動物について、殺したり、負傷させたりすると、 罰金または2年以下の懲役に処せられる。これらの動物について、正当な理由なく給餌や水やりを中止して衰弱させたり、遺棄したりする残虐行為は罰金に処せられる。第33条では、都道府県知事は、特定動物飼養者に対し、特定飼養施設の状況、その取り扱う特定動物の管理における手法その他必要な事項について報告を求める、または都道府県の職員に、当該特定動物飼養者の特定飼養施設が設置されている場所その他これに準ずる場所に立ち入り、特定飼養施設その他の物件を検査させることができると定めている。第34条は地方公共団体は、条例の定めるところにより、動物の福祉及び保管に関する検査その他の業務を行うための 「動物愛護担当職員」 を設置することができると定めている。この者は、獣医師など動物の適切な管理について専門的な知識を有する地方公共団体の職員でなければならないとされている。本法第5条、第7条及び第9条に基づいて作成される基準及び指針も、本法の規定の遵守を奨励する上で役立つものである。主な推奨事項• 日本政府は、「動物の愛護及び管理に関する法律」(1973年)を改正し、OIEの定義に沿った明確な動物福祉の定義を盛り込み、すべての動物のための「5つの自由」を明示的に促進することが奨励される。• 政府はまた、動物虐待を構成する活動や行為について、より明確かつ詳細な情報を提供するよう奨励される。管理下の動物の保護について日本の評価 D1973年の動物の愛護及び管理に関する法律の第2条と第7条(1)の反虐待と保護義務の規定は、魚を除くこのカテゴリーの動物に適用される。同法第44条に基づく残酷な扱いの犯罪を引き起こす「保護された動物」のカテゴリにリストされていることを除いて、飼育下に置かれている野生動物の福祉のニーズに具体的に対処する内容はこの法律には存在しない。同法第3章第2節は、動物を訓練または展示する事業を含む動物取扱事業に関する規制を説明し、これらが地域の知事に登録されることを要求している。施設にて動物の安全と健康を提供できない場合は、登録が拒否されることもある。展示動物の保管と管理に関する基準(1976年)の翻訳は、執筆時点では確認されなかった。動物園動物園に特に関連した規定や法律は存在しない。151の施設が、日本動物園水族館協会に所属している。メンバーは一定の条件を満たすことに同意しているものの、認定または検査のための全国的なシステムはない。日本動物園水族館協会は、動物園を、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の元に置くため、環境省と連携していると報じられているが、執筆時点では法案の草案は発表されていない。野生動物の私的飼育絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律に基づき、絶滅危惧種は、環境大臣の許可を得た後、学術研究、繁殖、増殖のために野生から採取することが許可されている。第19条に基づき、許可を受けた/許可された個人および組織は、個々の動物の扱いについて報告し、省の職員から施設の検査を受ける必要がある。絶滅危惧種は、個人が保持・繁殖うる資格を有している場合でも、環境省への登録が必要である。絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の下では、動物福祉規定はない。特に野生動物の私的飼育に関連する方針や法律はない。毛皮産業特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(平成16年)は、本質的に毛皮農場を非合法とし、最後の無認可の毛皮農場は2016年に閉鎖された。しかし、より広く毛皮農業を明確に禁止しているものはない。分析動物を飼育下に置くことから生じる可能性のある福祉の課題を認める日本の法律や政策の重要な証拠はない。法律には、このカテゴリの動物に関する特定の規定は含まれない。法律の基準は、適切な食品、水、避難所、運動、および疾病管理に関する一般的な要件を確立するが、この基準が必須であるという証拠や、 順守を促進するための強制メカニズムは存在しない。国内の動物園における動物福祉に関して、特に熊牧場での劣悪な環境での飼育や、動物たちがサーカスのようなショーに利用されていることが、国際的に懸念されている。捕鯨でのクジラ類の飼育は許可されており、国内および国際的な水族館での利用のために、野生からのバンドウイルカの捕獲について国際的な懸念がある。しかしながら、環境省が日本動物園水族館協会とともに、基準や規則の導入に動いていることは確かである。法執行メカニズム所有している動物を殺したり負傷させると、罰金または最長2年間の懲役が科せられる。正当な理由なしに給餌や給水を中止することによって衰弱を引き起こしたり、放棄するなどの残虐行為は、罰金刑を科せられる。絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律に基づき、違法に輸入された動物は没収の対象となる。第19条に基づき、許可を受けた/許可された個人は、個々の動物の取扱について報告し、省の当局から施設の立入検査に応じる必要がある。しかし、法律の基準に含まれるより具体的な詳細な規定に関して、法執行メカニズムは存在しないようである。主な推奨事項• 日本政府は、飼育下の野生動物が置かれる可能性がある条件を特定する、詳細な法律を制定するよう要請されている。そのような規制には、住居、給餌、取り扱い、および飼育に関する要件が含まれ、すべての個々の動物の5つの自由を促進する必要がある。特に、自然な行動パターンを表現することが尊重されるべきである。• 政府は、飼育下の動物が生活している場所で、福祉基準が尊重されていることの確認を担当する検査部門を作成するために、人材と資金を割り当てることを強く推奨される。動物が飼育されている施設は定期的に検査されるべきであり、その検査結果は公表されるべきである。• 日本政府は、毛皮農業を完全に禁止することを要請されている。毛皮農業は本質的に残酷で、動物に痛みや苦しみを伴うものである。•政府は、動物福祉およびその他の関連する懸念事項を含む明確な基準に基づいて、コンパニオンアニマルとして飼うことができる動物を指定し、輸入自由品目リストを作成することを推奨される。使役動物および娯楽に用いられる動物の保護 G「動物の愛護及び管理に関する法律」(1973年)第2条及び第7条第1項の虐待防止及び注意義務の規定は、魚類を除くこの区分の動物に適用される。同法第44条に基づき残酷な扱いに対して刑事罰を与えることのできる「愛護動物」の区分に列挙されていること以外では、同法には、労働または娯楽を目的として用いられる動物の福祉上のニーズに具体的に対処する内容は存在しない。娯楽に用いられる動物同法第3章第2節には、動物の訓練又は展示を行う事業を含む動物取扱業の規制が記載されており、都道府県への登録が義務付けられている。動物の健康と安全を提供できない施設は登録を拒否されることがある。「展示動物の飼養及び保管に関する基準」(1976年)があると報告されているが、執筆時点で翻訳は見つかっていない。日本では、闘犬や闘鶏が行われていると報告されている。使役動物特に使役動物に関連した政策や法律はない。分析現行の法律と公的な指針は、娯楽産業や労働を目的とした動物の利用が動物福祉を損なう可能性があることを認めていない。野生動物が国内のサーカスで使われ続けており、福祉上の懸念を生じさせている。一般市民が幼クマと触れ合ったり、餌を与えたりするためのクマ公園でのクマの繁殖や、サーカスのようなショーでのクマの利用は、国内および国際的な福祉上の懸念を生じるものである。鯨類の飼育およびショーでの利用が広まっていることも福祉上の懸念を生じるものである。第3章第2節の登録制度の運用は、これがどのように運用されるのか、また監視の仕組みが存在するかどうかなどの具体的な詳細が示されていないまま都道府県に委ねられている。これは改善のための構造的な障壁となっている。法執行メカニズム所有する動物を殺したり、負傷させたりすると、罰金または2年以下の懲役に処される。正当な理由なく給餌や水やりを中止して衰弱させたり、遺棄したりする残虐行為は罰金に処せられる。しかし、本指針に含まれる、より具体的で詳細な規定に関しては、法執行メカニズムは存在しないように見受けられる。主な推奨事項• 日本政府は、動物の苦痛を引き起こす娯楽イベントの開催及び参加を禁止するよう求められる。このような禁止は、サーカス、ロデオ、動物を闘わせる、動物を使った競争、野生動物に乗る、およびその他のあらゆる形態の娯楽を対象とすべきである。特に政府は、サーカスでのすべての動物の使用を禁止することを強く奨励される。娯楽を目的とした動物利用の段階的な廃止は、そのようなパフォーマンスのための野生動物の使用を禁止するところから始めることができる。•飼育下では海洋哺乳類の生理的・行動的ニーズを満たすことができないことを踏まえ、日本政府は、これらの動物が国内で捕獲されている最後の世代となるように、捕獲されているすべての海洋哺乳類の繁殖、飼育及び訓練を禁止することを強く奨励される。これらの動物は、自然行動の範囲を広げることのできる大規模な海辺の保護区へと退かせる必要がある。• さらに、日本政府は、OIEの動物福祉基準の要件に従い、作業馬を含む使役動物の福祉に取り組むための特定の法律を採択することを強く奨励される。使役動物は慎重に扱われなければならず、その生理的・行動的ニーズに適した休憩場、運動、世話、食料および水を与えられなければならない 。動物の福祉を損なうおそれのある状態にある場合は、すみやかに対処し、必要に応じて、適当と認められるまで再び労働させてはならない。過重労働や過負荷をかけてはならず、また彼らは不当な扱いを受けて労働を強制されてはならない。科学研究に用いられる動物の保護日本の評価 E「動物の愛護及び管理に関する法律」(1973年)第2条及び第7条第1項の虐待防止及び注意義務の規定は、魚類を除く、この区分の動物に適用されると考えられる。同法には、研究における動物の使用に関連した福祉問題に具体的に対処するいくつかの措置も含まれている。第41条は、動物を教育、試験研究又は生物学的製剤の製造その他の科学的利用に供する場合には、科学上の利用の目的を達することができる範囲において、動物の代わりに利用できる代替方法があるかどうかを検討し、できる限りその利用に供される動物の数を少なくすることと規定している。このような利用に必要な範囲内で、苦痛をできる限り最小に抑える方法をとらなければならない。したがって、これらの要件には、「3Rの原則」の一部が組み込まれている。実験に供された動物が回復する見込みのない状態に陥っている場合には、苦痛を最小限に抑える手法でその動物を殺処分する必要がある。環境大臣は、苦痛を最小限に抑える方法並びに実験における動物の代替物の使用に関して遵守すべき基準を定める権限を有する。政府は、科学研究における動物の利用に関して多くの指針を作成してきた。「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン」(2006年)は、研究機関が独自に動物実験の仕様を作成する際の参考資料となるものであり、ストレスをできる限り最小に抑えることを目的としたものや、内部審査委員会の設置など動物福祉に関する配慮が盛り込まれている。本ガイドラインは哺乳類、鳥類、爬虫類を対象としており、改善、代替、削減の3Rの原則に言及しているものの詳細は記載されていない。実験動物については、さらに次のような指針が存在する。:「実験動物の飼養及び保管ならびに苦痛の軽減に関する基準」(2006年環境省告示第88号)、「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針」(2006年告示140号)、「動物の殺処分方法に関する指針」(1995年総理府告示第40号)、「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」 (2006年文部科学省告示) 。これらの指針や基準は、拘束力を持たない指針であるように見受けられる。しかし、これらの指針の翻訳は執筆時点では見つかっていない。化粧品やその成分の動物実験は、日本では禁止されていない。分析政府が、特に科学的研究に用いられる動物の管理及び福祉に関連する多くの指針及び基準を作成してきており、それらに3 Rの原則が含まれていることは確かである。しかし、動物の愛護及び管理に関する法律に基づく法的拘束力のある規定は具体的ではなく、同法41条の要件には強制力がないもの考えられる。動物実験については、任意の自主規制の制度が存在しているようであり、これは、動物の福祉が十分である施設もあれば、そうでない施設もある可能性を意味する。動物実験において、動物の福祉に配慮した手順を標準化する制度が、福祉をよりよく保護することになるだろう。日本は、化粧品の動物実験を禁止するという国際的な流れに未だ追随していないが、この問題に対する企業や国民の意識が高まっていることを示す証拠が存在する。法執行メカニズム所有する動物を殺したり、負傷させりすると、罰金または2年以下の懲役に処せられる。正当な理由なく給餌や水やりを中止して衰弱させたり、遺棄したりする残虐行為は罰金に処せられる。これらの規定は、「動物の愛護及び管理に関する法律」(1973年)第41条に基づき、実験のための許可された動物利用の対象となる。しかしながら、 同基準に含まれる、より具体的で詳細な規定においては、また、特に動物の利用に関する同基準第41条基準においては、執行メカニズムは存在しないように見受けられる。研究施設の検査制度や、関連する法律や指針の遵守を達成するための正式なメカニズムは存在しないものと考えられる。主な推奨事項• 日本政府は、科学研究に用いられるすべての動物を、不必要な苦痛から守るため法律を制定することが求められる。3Rの原則 (代替(ARC注:動物を使用しない実験方法)、削減(ARC注:実験動物数の削減)、改善(ARC注:実験方法の改良による実験動物の苦痛の軽減)) を法律に明記すべきである。 (*ARC注:現行の法律では(2019年改正前も改正後も)、代替と削減について「配慮する」という努力義務におわっている)• 日本政府は、動物研究の申請を審査する倫理委員会を設置するよう奨励される。そのような倫理委員会 は、動物福祉基準を尊重しない施設の活動を停止したり、登録を取り消すことができるものとする。研究に用いられる動物には、その生理学的および行動的ニーズに適した方法で休憩場、飼育、食料および水が与えられなければならない。研究室職員の内指名された者(獣医師が望ましい)は、常に動物福祉に全責任を負わなければならない。• 日本政府は、化粧品やその成分の動物実験を禁止することが強く求められる。動物福祉における政府の責任日本の評価 F「動物の愛護及び管理に関する法律」第3条は、動物の福祉及び適正な飼養に関し、国及び地方公共団体は、学校、地域及び家庭における教育活動、広報活動その他これらに類する活動を通じて相互に連携を図りつつ、その普及啓発に努めることとしている。同法第4条は、命あるものである動物の福祉と適正な飼養について、ひろく国民の関心と理解を深めるようにするため「動物愛護週間」を定めている。この週において、国及び地方公共団体は、本週間の目的に応じた適切な行事を実施するよう努めなければならない。なお、本週間の活動は省のホームページで報告されている。環境大臣の役割については、動物愛護と管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針 (第5条)の策定、またそれらが変更される場合には関係行政機関の長と協議することなどの記載がある。環境大臣は、関係行政機関の長と協議の上、動物の飼養又は保管に関し遵守すべき基準を定めることができる。また、地方公共団体にも責任が委ねられており、各地域の動物愛護や管理のための施策を推進するための計画の策定、 動物取扱業者の登録、動物愛護推進員の任命、動物愛護問題への対応などを行うことになっている。第6条は、各地域で策定される動物の福祉及び管理の推進計画であり、動物の適切な飼養及び保管を実現するための施策に関する事項、動物の愛護及び管理に関連する普及啓発に関する事項、動物の愛護及び管理に関する施策を実施するために必要な体制の確立(国、関係地方公共団体、民間団体等の協力の確保を含む)に関する事項その他動物の愛護及び管理に関連する施策の推進に必要な事項を含むものでなければならないとしている。したがって、同法は環境省に動物福祉の責任を定めるが、事実上は動物福祉の責任を動物福祉の局に置いている。第5条および第6条は、地方公共団体が実施すべき環境大臣の計画を定めている。しかし、単年度予算主義であるために、地域の動物福祉推進計画の財源がどこにあるのかが分かりにくい。しかし地方公共団体は、動物福祉に関連して「地方自治体交付税」 を使うことができる。環境省は、地方公共団体の動物福祉担当部署の一覧表を公表している。動物福祉の普及啓発に努めることになってはいるものの、目標や活動内容が明記されていないため、これらの活動が地方公共団体の必須要件となっているかどうかは不明確である。環境省は、年間活動報告書を毎年発行しているが、それに含まれる動物福祉に関する項目は短い。同省はまた、動物福祉に特化した統計や資料をウェブサイトで公開している。さらに、政府は、鳥インフルエンザ等の動物疾病についてOIEへ報告し、環境省が開催する協議会の情報を開示している。教育基本法は、教育の目的の一つとして「生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと」を掲げている。1958年の教育課程審議会答申「道徳の時間の特設」では、道徳教育のための時間を正式に設けることが提案された。道徳の時間の趣旨は、道徳指導を補充し、深化し、また統合するその他教育活動と密接に連携することとあった。これが現在の日本における正規の道徳教育の原型となった。これには、正規学校教育における道徳教育の実践と内容について、1)日常生活の基本的な行動様式、2)道徳的心情や正邪善悪を判断する能力、3)個性の伸長や創造的な生活態度、4)国家・社会の成員として必要な道徳的態度と実践的意欲、の4つの柱があった。中央教育審議会は、個人として、家族の一員として、社会の一員として、そして市民・国民として、日本人に特に期待される4つの理想をもって「理想の日本人像」を描いた。この学習指導要領は、1986年に教育改革国民会議が提言した、生き物に対する献身と尊重を強調したものである。道徳教育は4つの柱に要約されており、その3つ目は 「自然や崇高なものとのかかわりに関すること」であり、人は自然の偉大さを知り、自然や生物の大切さを感じ取る、とある。しかしながら、道徳教育は、教育課程において義務付けられたものではなく、小学校1年では年間わずか34時間、小学2年から中学各学年では年間35時間が道徳時間として設けられている。1965年度の教育白書「日本の教育基準」第4章第1節「日本の道徳教育」には、小学校における道徳教育の内容の概要が含まれている。第2部は、主に「道徳的情操と道徳的判断・・・動植物を大切にする、純粋な心を持つこと」に関する内容が含まれる。動物の愛護及び管理に関する法律」(1973年)第3条 (普及啓発) では、国及び地方公共団体は、同法の目的に則り、学校、地域、家庭等における教育活動、広報活動等を通じて、動物の愛護と適正な飼養について、相互に連携を図りつつ普及啓発に努めなければならないとしている。同法第38条は「動物愛護推進員」 について、地域における犬、猫等の動物の愛護の推進に熱意と識見を有する者のうちから、犬、猫等の動物の愛護と適正な飼養の重要性について住民の理解を深めるとともに、ペットの避妊・去勢に関する助言、譲渡等の支援を行い、国又は地方公共団体が犬、猫等の動物の愛護と適正な飼養を推進することを協力する責務を有する者と規定している。分析動物福祉は独立した問題であり、政府の管理と規制のための法律によって、そのように認められている。この認識は、動物福祉問題が閣僚レベルで議論されることを可能にする。しかし、動物の愛護及び管理に関する法律を実施するための、政府の他分野の職員が参加する専任の委員会は存在しない。環境大臣は、同法のいくつかの側面について中央政府レベルで責任を負っているが、他の省庁からの関与があるとされた職員はいない。従って、省庁間の非公式なコミュニケーションはあるかもしれないものの、このようなコミュニケーションが行われることを確実にする正式な構造はない。法律は、地方公共団体から予算が出ていることを示しているように見えるが、そのために雇われた関係者が動物福祉の実務知識を持っているのか、あるいは彼らがその役割を果たすための訓練を受けているのかは不明である。動物保護を改善するための具体的な財源があるという証拠は見当たらない。一部の責任を地方公共団体へ分散することもまた、政策や法律の統一的な適用を拒む障壁となる可能性がある。政府は、動物の愛護及び管理に関する法律の中で、学校などでの啓発活動を通じて動物福祉に対する意識の普及に努める意向を示している。法執行メカニズム地方公共団体は、法律により、動物福祉に関する啓発を含む動物の愛護及び管理に関する法律の規定を実施することが義務付けられている。そのため、地方公共団体の関連部門がこれらの要件を遵守しない場合には、公の異議を申し立てることができる。主な推奨事項• 日本政府は、動物の福祉の維持に関与するすべての関係者を効果的に関与させ、福祉問題の解決策を見出すために、複数のステークホルダーから成る委員会を設置することが奨励される。この委員会は、動物福祉に関する日本の政策と戦略を国際基準に沿って導くものである。この委員会には、動物福祉団体、地方自治体、動物園と水族館の協会の代表者を含めるべきである。• 日本政府は、動物福祉法の研究、実施及び施行(定期検査を含む)のための適切な財源を、委員会と担当省庁に確保することが求められる。OIE 動物福祉基準が法律や政策に組み込まれているかどうか日本の評価 FOIE動物福祉基準は、輸送、と畜、生産システム(肉用牛、ブロイラー鶏、乳牛、豚)、野良犬の個体数管理、研究と教育における動物の使用、および作業用の馬に焦点を当てている。政府は、いくつかのOIEの動物福祉基準と規定を法律、特に1973年発行の動物の愛護及び管理に関する法律に組み込んだ。しかしながら、関連する法律には、空輸、陸路または船舶での動物の輸送、疾病管理のための動物の殺害、または野良動物の個体数管理に関する規定は含まれていない。これらのいくつかは、実験や教育における動物の使用と同様に、指針書で扱われているが、これは自主的なもので、自主規制の範囲内である。第40条は、動物を殺害しなければならない場合、動物の痛みと苦痛を可能な限り最小限にする方法を使用すること、および環境大臣がその方法に関するガイダンスを提供することを要求している。首相官邸による1987年の通知22「産業動物の飼養および保管に関する基準」は、動物の愛護および管理に関する法律に基づいて作成された二次的な法律である。これは、家畜の扱い方に関するガイドであり、農場の衛生、動物虐待の回避、動物の輸送など、OIEの決定事項と一致する項目を取り扱った推奨事項が述べられている。日本には、専門家班で動物の健康と病気のさまざまな分野の研究を行い、OIEと関わっている検査機関がいくつか存在する。また日本は、動物の疾病についてOIEに報告している。日本畜産技術協会は、農林水産省の支援を受けて、動物福祉の考え方を踏まえた畜産動物の飼育・取扱いガイドラインを作成し、OIEの決定と整合性を保っている。しかしながらこれ以上に、特に動物福祉という主題に関してOIEとの関わりがないようにみえる。分析環境大臣と地方公共団体はともに、動物の愛護および管理に関する法律(1973年)の実施に責任を負う。ただし、動物福祉政策を実施し、OIEの基準と原則を取り入れる正式な委員会はなく、一見したところ、動物福祉は政策を策定する際に他の省庁によって正式に検討されていない。1973年の動物の愛護および管理に関する法律の最近の改正を含め、OIEの基準と原則は法律に完全に導入されておらず、現在も行われていない。 動物の衛生問題の優先順位付けのためか、OIE動物福祉基準の実施が政府の優先課題であるようにみえない。しかし、動物愛護管理法を改善しようとする政府による最近の試みは、将来的に進歩が可能である可能性があることを示唆している。動物の衛生改善は、動物福祉の改善につながるため、現在の動物衛生への取り組みは肯定的なものである。しかし、動物福祉の話題についてOIEとともに取り組もうとするさらなる努力こそが、優れた国際基準に沿った動物福祉基準を達成したいという願望を示し、日本における一般的な動物福祉の改善への取り組みへのコミットメントを示すものである。 政府は、国内の動物福祉の懸念に対処するために、OIEとの既存の関与を基礎として、進めていくことを推奨される。現状、動物福祉に関してのOIEとの関与は、優先事項ではないように思われる。しかし、動物の衛生分野における既存の関係は、改善の機会を示している。法執行メカニズム既存の法律の内容でカバーされているOIEの基準と原則の施行メカニズムがあります。(特に、1973年の動物の愛護および管理に関する法律)主な推奨事項日本政府は、すべての種に対して適正なレベルでの動物福祉を実施するための法執行メカニズムを含む、OIE動物福祉基準に準拠した法律を実施するよう奨励される。これには、飼育、輸送、屠畜、そして使役動物の労働環境 の調整が含まれる。動物福祉に関する世界宣言の支持(ARC注:この項目についての各国の評価は行われていない。)日本政府は、原則として、動物福祉に関する世界宣言(UDAW)を支持することを約束していない。注: UDAWは、政府と国際社会の間で動物福祉に正当な承認を与える、一連の原則の正式な国際的承認の提案である。UDAWへの支持の表明は、国際社会と協力して動物福祉を改善するという政府の取り組みを示している。分析UDAWへの支持は、動物保護の考慮事項をさまざまな議論において統合させるための最初のステップであり、国の動物保護の改善に関心のある意思決定者の社会的規範の元になるだろう。法執行メカニズムこの指標に関する法執行メカニズムは存在しない。主な推奨事項• 日本政府はUDAWを原則として支持するように推奨される。UDAWへの支援は、今後の動物保護対策の基礎となるだろう。(ARC注:WAPによると40の政府がUDAWを指示しているという Back a Universal Declaration on Animal Welfare Help make the Universal Declaration on Animal Welfare a reality ) クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous ArticleCOVID-19の被害を拡大する可能性のある薬剤耐性菌:緊急の課題では? 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