2015年7月24日札幌市円山動物園において、メスのマレーグマ「ウッチー」(推定30歳以上)が、同居中のオスのマレーグマ「ウメキチ」(5歳) から少なくとも20分にわたる激しい暴行を受け、翌日死亡。 この同居は、繁殖を目的として同年6月16日から実施されたもので、ウッチーは、オス「ウメキチ」(5歳)とメス「ハッピイ」(3歳)の繁殖の補助的役割として同居させられていた。 来園者が撮影した当日の動画には、暴行されたウッチーが大きくあえぎながら血だらけで足を引きずり歩いている様子、室内へ戻ろうにも登ることができず、その間にもオスに狙われ暴行を受けている様子など一部始終が収められていた。この動画が、動画サイトで公開されたため、札幌市には多くの抗議の声が寄せられた。、ARCにも「これは公開レイプだ」という強い怒り声が市民から多数寄せられた。ウッチーの同居時には常時飼育員がついており、この様子は飼育員も見ており、その上で「引き離しを行う必要がない」との 判断を下したということだ。2015年7月28日 ARCから円山動物園への公開質問状貴園における動物の飼養管理体制に関する公開質問状 貴園では、多くの事故が起こっています。 2010年3月1日、ワラビーの「サンデー」(3歳)死亡。暖房から急に噴き出たスチームに驚いて施設内の壁にぶつかったと見られる。 2010年11月13日、エゾヒグマの「とわ」(2歳)と「カステラ」(0歳)が同じ放飼場に入ってしまい、体の小さな「カステラ」が「と わ」の攻撃に遭い、死亡。 2013年1月7日、コツメカワウソの「コチカ」(1歳)が死亡。プール内ですでに死んでいるところを発見。死亡原因不明。 2013年1月8日、シンリンオオカミの「キナコ」(13歳)が、檻越しに他の個体に噛まれ出血死。 2013年4月24日、インドオオコウモリが死亡(2012年に円山動物園に来園)死亡原因不明。 2013年9月24日、ホッキョクグマのマルルが転落(この事故以前にも飼育環境の危機管理の不備が市民から指摘されていた) 2014年5月28日、マレーバクの「トーヤ」(2歳半)屋外プール内の壁と鉄柵との間に左顎を引っかけ、溺れて死亡。 2015年5月3日、コツメカワウソの「ずんだ」(生後9カ月)がプール内の濾過取水口に右後肢を吸い込まれ溺れて死亡。 2015年7月25日、マレーグマのメス「ウッチー」(推定30歳以上)が、オス「ウメキチ」(5歳)、メス「ハッピイ」(3歳)の繁殖の補 助的役割として同居。5回目の同居の7月24日にウメキチからの暴行を受けて、翌日死亡。●今回の事故について 1.7月25日に死亡したマレーグマのメス「ウッチー」(推定30歳以上)は、前日にオス「ウメキチ」(5歳)から少なくとも20分の暴行を 受けていることが確認されています。暴行後、ウッチーが大きくあえぎながら血だらけで足を引きずり歩いている様子が動画に撮影されています。 動画には、暴行によりすでにヘルニアが発生したためか、室内へ戻ろうにもその階段をなかなか登ることができず、その間にもオスに狙われ暴行を 受け、その後ようやく自力で室内に戻る様子が収められています。 ウッチーの同居時には常時監視員がついていたとのことですが、ウッチーが自力で室内に戻る以前に、「引き離しを行う必要がない」と考えたの は、どういう判断基準に基づくものか教えてください。 2.管理者が最後に生きているウッチーを確認した時刻を教えて下さい。その際にウッチーの健康状態の異常が確認できたのか、なんらかの治療を 行ったのかどうか教えてください。 3.ウメキチとウッチーは当初から仲が悪く、4回目までにもウッチーがウメキチに右足をかまれています。にもかかわらず5回目の同居に踏み 切った理由を教えて下さい。 4.今回の事故は、すぐにでも引き離す判断が必要であったと思われ、担当飼育員の適正が疑われます。事故が起きた後に担当飼育員への再教育、 または担当の変更を行ったかどうか教えてください。 5.今回のような事故の再発防止のために、どういった対策がとられるのか教えてください。●貴園の飼育管理方法について(マレーグマに限らず動物全般) 1.貴園における、飼育員一人当たりの管理動物数を教えてください。 2.繁殖のための同居を行なう際、どのような管理体制がとられているか具体的に教えてください。(監視モニター・管理者の常駐の有無、同居を 中止させる判断基準) 3.同居を行なわせる際の、文書化されたマニュアルがあるかどうか教えてください。 4.繁殖時か否かに限らず、通常時の管理体制を教えて下さい。(監視モニターの有無、一日の目視確認回数など) 5.事故が続き改善がなされていないと考えられるのにもかかわらず、貴園では2018年秋に繁殖を目指してアジアゾウ 雄1頭、雌 2~3 頭の導入を予定しています。 一頭一頭の適切な管理ができないのであれば、これ以上の動物の導入や繁殖を廃止すべきだと思いますが、この点どうお考えかお聞かせください。以上。8月4日 札幌市動物管理センターが、円山動物園へ立ち入り検査8月10日 円山動物園が「死亡報告書」「いただいたご質問・ご意見に対する回答」を発表http://www.city.sapporo.jp/zoo/malayansunbear.html8月21日 札幌市が、円山動物園へ改善勧告http://www.city.sapporo.jp/somu/koho/hodo/201508/20150821.html以下、改善勧告より抜粋(赤字部分は当方が強調)本事案に係る円山動物園の対応は、法に基づく基準に適合していない部分があると考えられること、6のとおり繁殖推進体制のみならず、組織としての動物の管理体制全般に問題があると考えられること、並びに本事案の社会的影響の大きさを勘案し、以下のとおり対応した。 ? 法第 23 条第1項に基づく円山動物園に対する改善勧告 円山動物園が、法第 21 条第1項で規定する第一種動物取扱業者が遵守すべき基準を遵守し、動物の健康及び安全を保持しながら、組織として動物の適正飼育を行えるようにするため、以下の事項に関する改善勧告を行った。 ア 動物の繁殖推進体制のみならず、特に高齢動物や負傷動物に配慮した飼育体制及び獣医医療体制も含めた円山動物園内全ての飼育動物に係る管理体制を見直し、そのために必要な人員配置を確保するとともに、計画やマニュアルを整備するなど、法の基準に適合した適正な動物の飼育を実施できる体制を構築すること。 イ 法第 22 条第1項に規定する動物取扱責任者が中心となって、円山動物園全職員が、前述の計画やマニュアルの内容と、動物の適正飼育や飼育環境の向上に必要な事項を十分に理解するため、必要な教育を改めて実施すること。 ウ 動物の健康及び安全の保持を目的とし、新規計画中の施設、稼働前の施設及び既存の施設の総点検を実施し、必要に応じて速やかに改善措置を講じること。 エ 上記アからウの改善計画については、平成 27 年8月 28 日(金)までに、改善結果については、平成 27 年9月 30 日(水)までに動物管理センターへ報告すること。 ? 本事案に係る北海道警察への情報提供 ? 本事案については、法第 44 条第2項の規定による罰則の適用の可能性があることなどから、円山動物園職員からの事情聴取内容、立入調査結果、法に基づく基準への適合状況などについて、北海道警察へ情報提供をしている。 (抜粋以上)法律に基づき、動物園にこういった勧告が出されるのは異例です。もしこの勧告に従わなければ、動物の愛護及び管理に関する法第十九条に基づき業最終的に業務停止命令を受ける可能性もあります。 しかし、この改善勧告後も事故が続きます。8月23日同園でグラントシマウマの「飛馬(ひゅうま)」が園内で移動中に輸送檻内で死亡。死亡原因は輸送におけるストレスと判断されています。 http://www.city.sapporo.jp/zoo/topics/topics2-850.html18時52分 輸送檻内で落ち着きがなく物見を始める 18時53分 突然輸送檻内で座り込む。徐々に呼吸数減少 18時56分 輸送檻内を確認する。檻内で伏せ状態となり鼻を床につける。 強心剤を投与する間もなく呼吸停止、瞳孔反射消失 19時00分 呼吸及び心停止、瞳孔反射消失。死亡確認8月28日同園から札幌市に改善計画書が提出された。 http://www.city.sapporo.jp/zoo/kaizenkeikakusyo.html *札幌市は9月30日までに改善結果を報告するように同園に求めています。 http://www.city.sapporo.jp/inuneko/main/documents/kaizenkankoku.pdf8月30日同園でマサイキリンのメス「ナナコ」が死亡。 http://www.city.sapporo.jp/zoo/masaikirinfuhou3.html 死因は胃内容の誤嚥による窒息死と推定。9月2日、アニマルライツセンターに回答 26名で864頭ということは1人あたり33の動物を飼育しているという計算になります。 常識的に考えて、習性も生態も食べ物も性格も何もかも違う動物に一頭一頭繁殖の管理どころか適切なケアをすることは不可能な数字だとわかります。 スイスのチューリッヒ動物園のような東京ドーム何個分もの自然に近い環境でゾウを放し飼いにするのとはわけが違います。日本の動物園は無味乾燥な狭いところに監禁状態で動物を飼育するのが一般的です。動物本来の習性を発揮できる余地はほとんどありません。そのような場合、より一層管理下にある動物への綿密なケアが求められます。 現在の円山動物園はそのようなケアの出来る体制ではありません。である以上、今後は繁殖そのものを廃止し、アジアゾウの導入は白紙に戻し、これ以上動物の数を増やすべきではありません。円山動物園が真に改善を目指すならば、この前提は必須の条件です。9月30日円山動物園「ウッチー」死亡事案に係る改善結果報告書を提出 http://www.city.sapporo.jp/zoo/topics2-831.html10月1日(北海道新聞より) 「改善報告書、実効性どこまで 札幌・円山動物園」マレーグマなどの急死が相次いだ札幌市円山動物園が30日、同市動物管理センターに改善報告書を提出した。公募市民らによる市民動物園会議で組織改革の議論も始まり、同園の再生に向けた取り組みが本格的にスタートした。ただ、飼育管理体制をめぐっては、実現が簡単ではない課題が山積している。一定の方向性を出すとしている年内までに、具体的内容をどこまで詰められるのか、検討の実効性が問われる。「(動物の死を予防するための)実効性を担保することは難しいが、専門家の意見を聞きながら運営に生かしていきたい」。30日に、改善結果などを報告した後、夜に記者会見した田中俊成(としなり)園長は神妙に語った。同園は報告書に、獣医師の増員や職員の教育、飼育マニュアルの整備など5項目の改善結果を盛り込んだ。今後の中期的な検討課題として、飼育管理などの組織強化や人材の確保と育成、開園時間と休園日のあり方の3項目を挙げた。旭山動物園(旭川市)の小菅正夫前園長を環境局参与(仮称)に起用し、助言役となってもらうほか、有識者の外部アドバイザー3人から意見をもらい、検討するとした。この中で、特に調整が難しいのは組織改革に絡む課題だ。現在は他の部署への異動がある園長、獣医師のあり方が検討される。ただ、園長については、獣医師ら衛生職のポストだったが、05年に「動物の餌に」と寄贈されたコメなどを複数の職員が持ち帰る不祥事が発覚し、動物園以外の発想を取り入れるため、06年に事務職に変更した経緯がある。獣医師のポストに戻すなど、専門性を高める場合、過去の見直しとの整合性が問われる。また、同園は来年夏に新施設・アフリカゾーンの全面開業、17年度にホッキョクグマ館の新設などを控える。業務が拡大する中で、限られた財源で人手をどう確保するかも、検討課題となりそうだ。市民動物園会議のこの日の会合では、これらの重い課題を前に「最終目標をどこに置くのかが見えない」「新施設を造った他の動物園で、(業務拡大により)動物の事故が増えた例はないのか」などの厳しい指摘が相次いだ。「市民の声を検討し、行政に伝えるのが私たちの責務」。同会議の金子正美委員長(酪農学園大教授)は険しい表情で、この日の議論を締めくくった。(須田幹生、相川康暁)10月7日同園でニホンザルの「ゆり太」が死亡。 https://www.city.sapporo.jp/zoo/nihonnzarufuhou.html 園内で、捕獲・移動にサル同士による咬傷が発生。6頭を病院へ搬送し、治療。そのうち一頭が死亡した。2016年6月23日札幌市円山動物園は23日、ライオンの雌「ティモン」(19歳10カ月)が22日夕に死んだと発表した。夏に全面開業するアフリカゾーンへ5月25日に輸送した後、6月上旬から食欲不振が続いていた。輸送によるストレスなどとの因果関係は不明。23日午後に北大獣医学部で解剖し、死因を調べる。 同園では昨年8月、グラントシマウマがアフリカゾーンへ輸送中、ストレスが原因とみられる肺水腫で急死した。飼育下のライオンの寿命は20年前後とされ、同園は、高齢による衰弱の影響を含めて検証する。(北海道新聞web記事) http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0285423.html2017年11月8日北海道新聞電子版に「円山動物園「動物第一」 札幌市、触れ合い重視から転換」というタイトルで、同動物園が来秋をめどに、動物が生活しやすい環境を充実させることを中心に据えた新たな基本構想を策定するという記事が掲載された。記事によると「年間間入園者数を100万人にすることなどを定めた現構想から方針を転換。目標人数を盛り込まず、動物の暮らしや生物の多様性保全を重視した内容にする考えだ。」 https://www.hokkaido-np.co.jp/article/143719?rct=n_livingthingクリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous ArticleMeat Free Monday All Japan キックオフパーティーへのお誘い Next Article企業は畜産動物福祉に対して社会的責任がある-CSRスタンダード 2015/09/08