Global Animal Partnership とは、世界でも主要なアニマルウェルフェアの認証機関だ。2008年にアメリカで創立して以来、牛・豚・鶏などの畜産動物に関する認証基準を設けてきた。
その Global Animal Partnership が2022年6月8日、初めて魚についての基準も発表した。
世界で養殖される鮭の約7割を占める大西洋鮭についてだ。1
3段階に分けられた認証基準は、環境エンリッチメントを必須にし、飼育密度の数値基準を設け、抗生剤の使用を制限、屠殺前の気絶処理を義務化し、掃除魚の福祉も含める。
最も注目すべき内容は、飼料に昆虫の使用が禁じられていることだ。
乱獲によって海の魚が減るにつれ、養殖の飼料として天然魚の代わりに養殖された昆虫を用いる可能性が”持続可能”だと誤解されて注目を浴びている。
しかし、昆虫の養殖も工場式であり、畜産と同様、大量の植物を比較的少量の動物性たんぱくに変換する効率の悪い産業だ。しかも昆虫は体が小さいため、物凄い数が犠牲になる。
昆虫の福祉がこのように大々的に具体化されたのは史上初めてだと言われている。
この画期的なG.A.P.認証の条件は、昆虫由来の飼料が海の生態系破壊に対する解決策では決してないということを業界に示すだろう。
今回の基準は、アニマルライツセンターも加盟している Aquatic Animal Alliance (水生動物連盟)が1年以上G.A.P.と連携を取ってきた成果でもある2。
1. https://www.prnewswire.com/news-releases/global-animal-partnership-takes-on-farmed-salmon-welfare-announces-new-standard-on-world-oceans-day-301563608.html 2. https://ali.fish/blog/gap-releases-leading-salmon-welfare-certification-for-aquaculture