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…2021年12月5日 オルタナ「食用鶏を生きたまま熱湯処理、英国では有罪判決も/NGOは「事故ではなく故意」」を寄稿 2021年11月30日 NHK クローズアップ現代「卵の値段が上がるかも!?“アニマルウェルフェア”って何?」にアニマルライツセンターが出演 2021年11月21日 オルタナ「専門家に聞く、ペットの「飼い主ガチャ」防ぐには」にアニマルライツセンターのコメントが掲載 2021年11月17日 Hotel Bank「伊香保温泉 ホテル松本楼、2027年までに卵をケージフリーに切り替え」アニマルライツセンターの取り組みが掲載 2021年11月17日 毎日新聞「ケージフリー卵100%に 群馬・伊香保の旅館、27年までに切り替え」アニマルライツセンターの取り組みが掲載 2021年11月16日 サステナブルブランドジャパン「ニッポンハムが「アニマルウェルフェアポリシー」策定、2030年度までに “妊娠ストール”廃止へ」にアニマルライツセンターのコメントが掲載 2021年11月15日 オルタナ「卵の価格上昇の背景に「ニワトリ大量殺処分」」を寄稿 2021年11月12日 オルタナ「日本ハム、30年までに妊娠ストール廃止へ/アニマルウェルフェアポリシーを制定」にアニマルライツセンターのコメントが掲載 2021年10月14日 オルタナ「山梨県が自治体初のアニマルウェルフェア認証」にアニマルライツセンターのコメントが掲載 2021年10月11日 朝日新聞sippo「動物虐待のガイドライン、産業動物はどうなる? 平等に守られるよう注視が必要」を寄稿 2021年10月9日 オルタナ「エビの福祉、「生きたまま熱湯」は法律違反の国も」を寄稿 2021年9月9日 オルタナ「動物福祉、「責任放棄」で閉幕した東京オリパラ」を寄稿…
2021年11月11日、豚たちにとって素晴らしいニュースを届けることができます。日本ハムが、以下の発表をしたのです。 アニマルウェルフェアに配慮した取り組みの推進 全農場の妊娠ストール廃止(豚) 2030年度末までに国内全農場にて完了※ 全処理場内の係留所へ飲水設備の設置(牛・豚) 2023年度末までに国内全拠点に設置完了※ 全農場・処理場への環境品質カメラの設置 2023年度末までに国内全拠点に設置完了※ https://www.nipponham.co.jp/csr/nhgroup/materiality-list/ 2030年妊娠ストールフリーへ! これまでアニマルライツセンターは、日本ハム株式会社と対話を重ねてきました。その中で私達の意見、主張に真摯に耳を傾けてくれました。社内での多くの調整、障害を乗り越え、今年2月にはすでに2農場が妊娠ストールフリーになっており、また新設する農場では妊娠ストールフリーにすることを表明していました。しかし、やはり能動的に切り替え、妊娠ストール飼育の終わりの期限を設定してほしいという願いを伝えていました。 その後、日本ハムは重要課題の一つにアニマルウェルフェアを据え、5月に発表した中長期計画の中の重要課題の中には、環境や人権と並んで動物福祉が含まれました。同時にVision2030を設定していますが、日本ハムが2030年にこうありたいと願う姿の中には、豚たちが妊娠ストールから解放されていることが含まれていたのです。 移行期間9年を長く感じる人もいるかも知れません。しかし、多くの海外企業も同様の期間をかけて、移行を進めているのです。私達アニマルライツセンターはこの日本ハムの決断を心から歓迎します。 2023年飲水設備完備へ! 日本の豚のと畜場の86%には、飲水設備がありません。新しくと畜場を建設する場合と建て替える場合には飲水設備をつけなさいというのが厚生労働省の対応で、その後改善が膠着状態に陥っていました。日本ハムは建て替えるわけではなくても2023年に飲水設備の完備を終えると表明しました。 2023年までにCCTV設置! 英国やフランス、イスラエルでは、と畜場など動物を扱う場所にCCTV、つまりカメラの導入が進んでいます。カメラが設置されているだけで、動物への扱いは穏やかなものに変わるという事実もあります。 以前の話し合いの中で、「人の手が介在すれば虐待的な扱いがどうしても発生する。監視カメラなどを他国は導入している。そういった裏付けなく丁寧だとは表現できない。」と説明し、適正な取り扱いを担保するための方法としてのカメラ設置をアドバイスしました。しかし、まだ私達はカメラ設置を決断するのはまだ先なのではと思っていたのです。 日本で初めて、実現します。アジアでも先進的です。海外輸出が多いタイの企業や、欧米やオーストラリア向けの食肉を加工する場合にはCCTVをつけるとしているところはありますが、自国の消費をメインとする日本企業が実現を表明してくれたのです。 この取組みは、国内の多くの豚、そして肉用鶏の福祉を大きく向上させるはずです。 世界に通用するアニマルウェルフェアへ大きな一歩 日本ハムの決断は、間違いなく動物たちの苦しみを減らすものであると同時に、国際的に通用するアニマルウェルフェアを目指すものでした。この具体的で、間違いなく畜産の現場に反映される変化こそ、動物たちが必要としているものです。 今後も多くの食品企業が、アニマルウェルフェアの変化を受け入れ、具体的な変化につながる未来を、一緒に描いてくれることを願います。…
アニマルライツセンターは2016年から毎年一回、畜産動物の飼育実態がどれほど認知されているのか、一般調査会社を利用して調査を行っています。 質問項目は次の10項目です。 母豚の多くが、妊娠ストールという、方向転換できない狭い囲いの中に閉じこめられていることを知っていますか? 子豚の多くが、麻酔なしで去勢、歯・尾の切断をされていることを知っていますか? 卵用の鶏の多くが、バタリーケージという、狭い金網の中(一羽あたり22センチ×22センチほど)で飼育されていることを知っていますか? 卵用の鶏の多くが、麻酔なしでクチバシを切断されていることを知っていますか? 肉用の鶏(ブロイラー)が、早く成長するように品種改変されており、その結果、病気になりやすくなっていることを知っていますか? 乳牛の多くが、つながれた状態でほとんどの時間を過ごしていることを知っていますか? 牛の多くが、麻酔なしで去勢、角の切断をされていることを知っていますか? 「アニマルウェルフェア」、あるいは「動物福祉」という言葉を知っていますか? 平飼い卵、あるいは放牧卵が、スーパーなどで販売されていることを知っていますか? ヨーロッパで禁止されている飼育方法が、日本で行われていることを知っていますか? 【調査名】畜産動物(肉・卵・乳)に関するアンケート 【調査主体】NPO法人アニマルライツセンター 【調査期間】2025/3/17-3/24 【有効回答数】2,853 【調査設計】 手法:一般調査会社を利用したインターネット調査(ネットモニター) 【調査地域】全国 2024年度は認知度の向上が見全体的にられなかった一年です。唯一、平飼いたまごがスーパーなどで売られているかについての認知度のみが向上した。 平飼卵、あるいは放牧卵が、スーパーなどで販売されていることを知っていますか?という問いだ。これは実際にスーパーなどの小売店での販売が拡大し店頭で見かけるようになっている人が増えていることや、2024年は大手コンビニエンスストアでも販売されるところが増えていることによると考えられます。 アニマルウェルフェアの課題は何一つ解決していません。農林水産省が目指すアニマルウェルフェアはレベルが低く、鶏肉のアニマルウェルフェアは大幅に低下しているような状態です。より多くの市民啓発が必要であり、日本の意識が改善していないということが今回の調査からは浮き彫りになりました。…
日本でも進みはじめた畜産動物・水産動物のアニマルウェルフェアですが、その動きを大きくするのは企業の取り組みです。この1年間で重要な一歩を踏み出した企業3社を高く評価し、アニマルウェルフェアアワード鶏賞、および豚賞を送ります。アニマルウェルフェアの取り組みにおいて日本はアジア諸国の中でも遅れており、まだまだ手探りのような状態。そのような中、取り組みや決断の裏には大変な努力があります。各社の取り組みや決断に、心から敬意を表します。 https://www.hopeforanimals.org/animal-welfare-award/ 🐔鶏賞:キユーピー株式会社様 2024年、キユーピー株式会社はOpenWingAllianceとのキャンペーンと交渉により、欧米では使用するすべての卵をケージフリーにすること、グローバルでは2027年までにマヨネーズに使用する卵を20%ケージフリーにすること、そして日本では2030年までにマヨネーズに使用する卵の20%にあたる量をケージフリーで調達し、さらにケージフリーの市場拡大を目指すことを明らかにしました。 これにより数十万羽の鶏がケージから解放されることとなり、これまでの国内企業の取り組みの中では最大の鶏への恩恵になるであろうことを評価しました。 🐔鶏賞:株式会社シャトレーゼ様 シャトレーゼは自社で放牧養鶏を始め、2024年にその卵を使ったプリンの販売を『YATSUDOKI』のブランドで開始しました。平飼い卵の安定調達と、中長期的に見た企業価値向上を目標に、大手製菓企業が自社内で養鶏を始めるのは新たな方法であることはもちろんのこと、放牧という世界水準を超えるアニマルウェルフェアに取り組むことは、日本の卵業界、および製菓業界に衝撃を与えます。放牧4万羽という数は決して少なくありません。 さらに昨今、ケージフリー卵の需要増加に対し、十分な供給ができない状態の国内養鶏を刺激した、インパクトの高さを評価しました。 🐽豚賞:株式会社七星食品 七星食品は香川県、徳島県に位置する養豚場です。国際的なアニマルウェルフェアをいち早く取り入れ、妊娠ストールフリーに取り組んできました。2025年、新たな一歩として、残りの母豚の妊娠ストール豚舎もストールフリーに建て替えることを決め、動き始めました。七星食品は1棟目の妊娠ストールフリー豚舎から、その価値と経験を、他の養豚業者にも伝えてくれています。養豚大手が妊娠ストールフリーに向けて動き始める一方で、国内の中小養豚場が取り残されつつあるなか、七星食品の活躍と姿勢は大きなインパクトを与えます。 アニマルウェルフェアを正しく前向きに捉え、従業員の働きがいにつなげ、小売業と協働で発信も行うという、アニマルウェルフェアを実践する生産者としての価値を、最大限に活かす姿勢を評価しました。 ▼アニマルウェルフェアアワードとは 前年度に国内のアニマルウェルフェアにとって効果的だった企業に贈るアニマルウェルフェアアワード。今年は鶏賞を2社に、豚賞を1社にを送ることが決定しました。 アニマルウェルフェアアワードは畜産水産動物福祉の向上に取り組む認定NPO法人アニマルライツセンターが、前年度(2024年4~2025年3月末)までの間のアニマルウェルフェア向上に最もインパクトのあった企業を評価するものです。 https://www.hopeforanimals.org/animal-welfare-award/ ▼アニマルウェルフェア、すべての食品企業が進める時代に 世界のアニマルウェルフェアの進みと国内の進みでは、速度が異なりますが、それでも国内でもようやく具体的な動きが始まりました。それが2024年度に起きたことです。しぶしぶ一歩を踏み出した企業も、価値を把握して意気揚々と一歩を踏み出した企業もありますが、その両方が国内の畜産動物たちの希望です。 しかし残念ながら肉用鶏のアニマルウェルフェアについては良い動きがありません。外国産の鶏肉のアニマルウェルフェアの水準まで全く追いつかない国内の鶏肉は、大きなリスクを抱えています。食の安全に直結する肉用鶏のアニマルウェルフェアを進めないことは、国民全体のリスクでもあります。2025年度以降は、肉用鶏のアニマルウェルフェアについても取り組みが深まることを期待します。 最後に、アニマルウェルフェアを上げることを検討し、行動をしてくれたすべての企業に感謝します。 ありがとうございました。 なお、受賞企業にはあらためてお礼をお伝えいたします。…
アニマルウェルフェアの設備投資に対して国が理解を示さず補助がないことがケージフリーや妊娠ストールフリー、鶏の屠殺場改善のネックになっている。このことを問題視し、自らも長崎県で放牧養鶏を行う国会議員、立憲民主党 山田勝彦議員が、衆議院農林水産委員会で大臣に理解を求めた。 山田議員から国際的な水準をクリアするケージフリー、ベターチキン、妊娠ストールフリー、つなぎ飼いフリーの設備投資に対し、支援があるかを確認したところ、農林水産省は牛の放牧については牧柵の支援などがあり、また採卵鶏の平飼い飼育については畜産クラスターで支援が可能であると回答した。 畜産クラスター事業での支援は以前から可能となっているが、実際には非常にハードルが高い。地域全体で畜産の収益性を向上させるために、畜産農家と地域の畜産関係者(流通加工業者、農業団体、行政など)が連携して事業を行うことが条件となるためだ。ケージフリーは1羽あたりの産卵率をあげるなどはできる可能性があるが、地域で収益性を上げたりを押し通すことは簡単ではないだろう。そもそも羽数を増加させるることはアニマルウェルフェアの目的にかなっていない。また、生産者がやろうとおもっても、その周辺の関係者の理解を得る必要があることも大きなハードルだ。 これに対し、山田議員はアニマルウェルフェアを独立させる必要があると訴えた。 江藤大臣は、アニマルウェルフェアは難しい課題だとし、「ゲージの中に入れて前しか向けない状態で卵を産み続けることについて、いかがなものかという指摘は国際的にもあ」ると課題は認識しているが、国内的にも批判が大きくなっていることは気がついていないようだ。アニマルウェルフェアを独立させるのは、小さな予算しかとれない可能性などを示し否定的だった。だが、これは単なる制度の技術的な話でしかない。本質は、アニマルウェルフェア自体に価値を認めるかどうかなのだが、この部分はぼかしたままとなった。 もう一点重要なことは、「環境省の法律に従ってですねやってることだけはご理解いただきたい」と述べ、農林水産省のアニマルウェルフェアへの取り組みが動物愛護管理法が根拠となっていることを明言したことだ。主体性のない環境省が主導なのではお先真っ暗である。別の記事で書くが、畜産動物のアニマルウェルフェアの特性を考えると、必ずしも環境省の動物愛護管理法だけが根拠ではないはずだ。食料・農業・農村基本法という農林水産省の法律があり、これもまたアニマルウェルフェアを推進しなくてはならない根拠なのではないかと思う。 2025年4月8日農林水産委員会質疑全文(該当箇所のみ) 山田勝彦議員:次に、アニマルウェルフェア、動物福祉についてです。 私自身、8年前、スイスに農業福祉を学びに行った際、畜産の方法が日本と全く違うことに驚きました。 牛も豚も鶏も放し飼いでなければ法律違反になることを知りました。 私は帰国してすぐ、地元長崎県の大自然の中で放し飼いで養鶏を始めました。 おそらく700人以上いる国会議員の中で、動物福祉を実践している人は少ないと思います。そういった意味で現場の思いを込めて質問させていただきます。 アニマルウェルフェアとは、動物が意識や感覚がある存在であることを理解し、たとえ短い一生であっても、動物の生態欲求を妨げることのない環境で適切に扱うことと定められています。 この考え方は1965年イギリスで提唱され、世界中で採用されています。 そして日本は世界に比べ、このアニマルウェルフェアがかなり遅れています。 世界中で動物保護活動を行う世界動物保護協会が発表した2020年の動物愛護指数ランキングで日本は最低ランクのGです。 資料5をご覧ください。 国際水準のレベルを取り入れなければ評価されません。 狭く窮屈な環境から動物たちを解放していく、卵はケージフリーへ、肉用の鶏はベターチキン、豚は妊娠ストールフリー、牛は繋ぎ飼いフリーこのような動物福祉に配慮した環境を整えるための設備投資に対し、国からどのような支援があるのでしょうか? 松本畜産局長:お答えします。 アニマルウェルフェアに対応してできる生産方式としましては、例えば牛の放牧に必要な牧柵、吸水施設等の整備に対する支援、また、乳用牛の自主的な行動を促す飼養管理システムであります搾乳ロボットや、採卵鶏の平飼い方式の導入に対しまして、畜産クラスター事業やICT化等機械装置の導入事業などによりまして支援を行ったとこでございます。 山田勝彦議員:はい、ありがとうございます。 畜産クラスター事業の中で、アニマルウェルフェアの取り組みを支援できるようになったということですただ、畜産農家のほとんどはこの情報を知りません。壱岐の島で新たに放牧を始めた若手農家さんから話を伺いました。 みんな良い牛を育てるために環境が大切だと理解していて、限られた環境、牛舎の中で牛のストレスを減らす努力をしていると私に教えてくれました。 畜産動物の放牧を積極的に進めていくのであれば、例えば、アニマルウェルフェア環境整備支援事業として畜産クラスターから独立させ、現場にわかりやすく発信していくべきだと考えております。 こういった考えに対して、大臣、ご賛同いただけでしょうか 江藤拓農林水産大臣:このアニマルウェルフェアですね。 難しいですね。平飼いをされてることでありますが、ゲージの中に入れて前しか向けない状態で卵を産み続けることについて、いかがなものかという指摘は国際的にもあります。 しかし日本の限られたこの今土地の状況の中でですね、国民の需要を満たすために卵を生産することについてはですね、なかなか現状では難しい部分ありますが、ただいま環境省の法律に従ってですねやってることだけはご理解いただきたいと思います。このアニマルウェルフェアの部分を畜産クラスターから分離するということでありますが内数であることの方がですね、やりやすいと思いますよ。これを別途にするとですね、果たしてどれだけの予算規模を獲得できるのかっていうこともあるかもしれませんし、基本的にはアニマルウェルフェア推進すべきだと思いますが思っておりますが、しかし日本の現実ともですね、見合いながら日本で日本の事情があるということもですね、同時に国際社会には説明する必要もあるんだろうというふうに思ってます。…