世界の土地利用変化を海藻養殖で軽減する

農業を拡大して食料や資材に対する需要の増大を満たすことは、土地利用の変化を引き起こす重大な要因であり、気候変動と生物多様性の喪失を加速させている。海洋で養殖される海藻バイオマスは、食料や飼料、バイオ燃料を代替・補完するこ…

農業によらない食料生産

食料システムをより持続可能なものにするための取り組みでは、農業が環境に与える悪影響を軽減することに重点が置かれてきた。これとは対照的に、農業に頼ることなく食料を生産できる化学的・生物学的プロセスは、これまでにあまり注目さ…

歳入リサイクルで炭素価格への国民の支持を高める

炭素価格(カーボンプライシング)*1 は、気候変動に取り組むうえで強力な手段となるが、政治的には議論の分かれる問題である。しかし、炭素価格から得られた歳入の使途を政府が適切に調整すれば、炭素価格に対する国民の支持を集めら…

美食の卓越性と倫理的責任のバランス ガストロノミーにおけるアニマルウェルフェアに関する科学的視点

料理業界は美食の卓越性を追求するだけでなく、アニマルウェルフェアへの社会的関心の高まりにも対応しなければならない。この総説では、現代の食料システムの中でアニマルウェルフェアに関連する科学技術の進歩(培養肉やプラントベース…

EAT-Lancet健康食の目標は、土地資源・水資源を保護しつつ達成できる

健康的な食生活にはコベネフィットがあることが知られており、環境への影響を軽減し、同じ農業資源でより多くの人口を養うことができる。EAT-Lancet 健康基準食*を採用した場合、人間の健康と生態系に複合的な利益があるが、…

高齢者の体組成・筋力・身体機能に対する植物性タンパク質の効果 無作為化対照試験に関するシステマティックレビューとメタアナリシス

筋肉量、筋力と身体機能の維持は高齢者にとって極めて重要である。運動に加えて食事からのタンパク質摂取が推奨されているが、最も研究されているのは動物性タンパク質である。植物性タンパク質源は消化率が低く、アミノ酸プロファイルも…

カナダの食生活で動物性タンパク質の一部を植物性タンパク質に置き換える 栄養・健康・気候に関する相乗効果とトレードオフ

多くの食事ガイドラインでは植物性タンパク質食品の摂取が強く推奨されているが、動物性タンパク質を植物性タンパク質に置き換えた場合に、食生活と関係する持続可能性の諸側面にどのような影響があるかは不明である。 本研究では、カナ…

動物性食品は社会と気候に大きなコストをもたらす

畜産による温室効果ガス排出は気候変動の大きな要因であるにもかかわらず、畜産が気候に及ぼすコストは統合的な方法によって定量化されていない。マクロ経済と気候を結びつける手法を用いて、世界の農業経済と産業経済を連結し、これらの…

世界の畜産サプライチェーンにおける窒素排出

世界の畜産サプライチェーンは、過去数年にわたって窒素の流れを大きく変化させ、環境と人間の健康を脅かしている。ここでは、畜産部門が世界の窒素フローと排出に及ぼす影響について、国際貿易による影響を含めて詳細に検証した。 その…

大学カフェテリアのベジタリアン料理は、カウンターに並ぶ順番と他の料理との距離によって売り上げが変わる

カフェテリアのカウンターで料理を並べる順番を変えることは、肉の消費量を減らす方法のひとつとして提案されてきたが、その効果についてはほとんど検証されていない。この問題について、英国の大学カフェテリアにおいて2つの実験研究を…

公共政策と民間部門、文化におけるイノベーションの結合が、持続可能性に向けて食糧システムを転換させる

世界の食糧システムに関する分析では、食生活を持続可能なものに移行させることが喫緊の課題となっているが、現代世界のフードレジームにおいてこれをどのように達成するのかについては十分に検討されていない。 本稿では、過去70年間…

新規食品を欧州の食生活に採り入れた場合、地球温暖化係数・水使用量・土地使用量を80%以上削減できる

持続可能な方法によって健康的かつ十分な栄養を提供することは、世界の食糧システムが直面する課題であり、気候変動と世界人口の増加によるタンパク質需要の増加のために深刻になりつつある。新規食品*の生産技術における最近の進歩は、…

粒子状物質汚染に関連した中国の早期死亡は、食生活のシフトで減らすことができる

肉類を多く使う食生活への変化は、環境の悪化を招いて間接的に健康に影響を及ぼしてきた可能性がある。ここでは、1980年から2010年の中国における食事パターンの変化によって、微小粒子状物質(PM2.5)による大気汚染が悪化…

より健康的な食生活への持続的なシフトは、英国の平均寿命を最長10年まで延ばせる

健康的な食事パターンを遵守することは、非伝染性疾患の発症を予防することにつながり、平均寿命にも影響を及ぼす可能性がある。ここでは、英国の一般人口からUKバイオバンクに登録された前向きコホートのデータを用いて、不健康な食事…

動物性成分を含まない培地を用いた培養鶏肉の連続製造 技術経済性分析による費用対効果は高い

畜産物に対する需要は増大しつつあり、細胞農業の目的はこれを満たすことにある。しかし、現在の生産技術では収量が低いため、経済的な見通しから培養肉の生産を拡大するのは難しい状況にある。 本研究では、タンジェンシャルフローろ過…

英国における肉の消費削減に最も大きく寄与しているのは、肉のポーションサイズを減らすことである

肉の消費量を削減することは、環境や健康に関するアウトカムを改善するのに役立つが、肉を減らすための具体的な戦略の効果は状況によって変わる。本研究では、英国における全国食事栄養調査のデータ(2008-2009年から2018-…

個人の食習慣は、惑星の限界と健康上の目標に一致する

飢餓の撲滅と持続可能な食生活の推進は滞っており、その結果、食料システムのために生態系は損なわれ、7億人以上が栄養不足に陥っている。本研究では、どのような食品の組み合わせであれば環境および栄養に関する制約を満たすことができ…

肉の消費、健康と環境

世界における肉の消費量は、1人当たりの平均としても世界全体の総量としても上昇しつつあり、その動因となっているのは個人の平均所得の増加と人口の増加である。さまざまな種類の肉や肉製品を摂取することは、人々の健康に大きく影響し…

プラントベース食を遵守するオーストラリア人における骨密度と体組成

背景と目的: 骨密度と体組成*1は、健康な代謝と身体機能の維持のために重要な役割を果たしている。プラントベースの食事に含まれるタンパク質とカルシウムは、肉を含む食事に比べて低いことが知られており、骨密度と体組成に影響して…

持続可能な食習慣の普及がスウェーデンの公衆衛生に及ぼす影響

背景: 人類と地球の健康をより良くするため、より持続可能な食生活へ早急に移行することが求められている。これを達成するための方法の一つは、持続可能な食習慣が主流になることである。本研究では、スウェーデンにおいて消費者・研究…