狭まる動物実験国への包囲網 2018/07/247月10日~12日、化粧品規制協力国際会議の第12回会合(ICCR-12)が東京にて開催されるなか、CFBは11日、NGOなどステークホルダーが意見を述べる「ステークホルダーセッション」に参加し、各国の代表団に対し化粧品業界における動物実験の廃止を強く訴えました。ICCRとは化粧品規制協力国際会議(International Cooperation on Cosmetics Regulation, ICCR)とは、日本、米国、欧州連合、カナダ、ブラジルの化粧品規制当局からなる国際会議です。「国際貿易への障壁を最小化しつつ、最高レベルの世界的な消費者保護を維持すること」を目的として、2007年に設立されて以降、毎年開かれる会議ではこれまで「適正製造規範(GMP)」「化粧品国際命名法(INCI)」など共通のシステムづくりのためのトピックのほか、国を超えて懸念が示されている「ナノテクノロジー」「微量汚染物質」「アレルゲン」などが議論されてきました。もちろん、設立当初から「動物実験代替法」も重要テーマとして掲げられています。ICCRが東京で開催されるのは2013年の第7回会合(ICCR-7)に続いて今年で2回目。5年前のICCR-7のステークホルダーセッションには、CFBの構成団体であるアニマルライツセンター(こちらを参照)および動物実験の廃止を求める会(JAVA)(こちらを参照)、そして海外から国際的な活動団体として、CFI(Cruelty Free International)と、HSI(Humane Society International)の4団体が参加し、さまざまな角度から「化粧品の動物実験からの撤退」を主張しました。今年は、私たちCFBとHSIの2団体が参加しました。「グローバルな禁止へ向けて」CFBから提言CFBは今回、ICCRに対して次の2点を要望しました。1.ICCR加盟国間で「化粧品の動物実験は廃止されるべきである」という認識を共有し、明文化してほしい2.ICCR加盟国において、化粧品のための動物実験の禁止の期日を設定し、それまでの具体的なロードマップを策定してほしい禁止への包囲網5年前のセッションではアニマルライツセンターもJAVAも、加盟各国が化粧品の動物実験禁止に向けて措置をとるようにリードしてほしいと訴えましたが、「ICCRとしてできることとできないことがある」(EU規制当局)とのコメントのように、きわめて慎重な姿勢が示されました。しかし、それから5年が経過する間に、化粧品の動物実験を取り巻く状況は大きく変わりました。2013年のICCR-7開催当時、イスラエルとEUが動物実験の実施および動物実験が行われた製品の流通禁止(いわゆる完全禁止)、インドが実験のみ禁止という状況でした。国内では資生堂とマンダムが動物実験廃止を公表したばかりでした。それがいまはどうでしょうか。EUにならい、各国で次々と化粧品の動物実験禁止法案が審議されるようになり、可決され、すでに施行されている国々もあります。それはいまなお増え続けています(図参照)。ICCRの加盟国を見渡すと、EUはすでに完全禁止を実現。カナダはこの6月に禁止法案が上院を通過し、今秋にも下院で可決が見込まれています。米国は連邦議会に禁止法案が上程されている一方、バージニア、ニュージャージー、ニューヨーク、そしてカリフォルニアの各州でも州法として禁止法案が審議中ないし可決。ブラジルも同じく法案が連邦議会にかけられている一方、国内化粧品産業の7割が含まれる、サンパウロ州など6つの州がすでに禁止…というように、明らかに化粧品の動物実験の根絶に向かって進んでいると言えるでしょう。日本はどんどん取り残されていくでは、日本はどうなのでしょうか。日本でも、CFBの働きかけによって、コーセー、ポーラオルビス、花王カネボウなど主要メーカーが続々と動物実験廃止を決定・公表し、富士フイルムやロート製薬、ヤクルト本社など他業種から化粧品に参入してきたメーカーもそれに続いています。動物実験廃止が事実上のスタンダードになったといっても過言ではありません。しかしながら、法的な取り組みに関しては、日本はほぼ野放しの状況です。たとえば、動物実験施設をつくるにあたっていかなる許可も登録も必要なく、罰則も公的な査察も報告制度も存在しません。したがって、日本ではどれだけの動物が実験に使われたかを誰も知ることはできません。それは化粧品分野においても同様です。つまり、日本では、市民が動物実験の縮減に向けて政府を動かすことが容易ではないのです。だからこそ、私たちは、世界レベルでの化粧品の動物実験廃止を、ICCRに託したいと考えてきたことを伝えました。EU「動物実験禁止を他国へ促す」決議CFBの発表に対して、EU代表として欧州委員会のサルバトーレ・ダクント氏から「今年5月、欧州議会で、他国にも動物実験禁止を働きかけていくという決議が採択された(こちらを参照)。あなた方の運動も実を結びつつある」とコメントがありました。ICCRとしての取り組みではないものの、ICCRで主要な立ち位置を占めるEUがこのようなスタンスであることは私たちの運動にとってまさに追い風でしかありません!ICCR-12の関連イベントとして7月13日に開かれた「化粧品規制に関する国際シンポジウム」(厚生労働省と日本化粧品工業連合会の共催)の議論でも、EU側からICCRが今後注目すべき課題として動物実験問題が強く挙がるなど、動物実験廃止に向けた流れが強く意識されたものでした。参加した数多くの日本の化粧品規制当局者や化粧品業界関係者は、動物実験廃止をもはや対岸の火事とは言っていられない状況に追い込まれたはずです。世界的な化粧品の動物実験廃止に向けて、いよいよカウントダウンが始まりました。私たち日本人が、その動きの足を引っ張ることのないように、CFBは、化粧品業界に対しても、行政機関に対しても、今まで以上に働きかけを続けていきます。 クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Articleフランドル地域が毛皮農場禁止=ベルギーから毛皮農場なくなります Next Articleボランティア募集!ラッシュ福岡パルコ店で「NO動物実験!」 2018/07/28