神奈川県保健福祉部との交渉 2013ARCは、「いのくら(県民のいのちとくらしを守る共同行動委員会)」の保健医療部階の位置団体として、毎年神奈川県保健福祉部交渉に出席し、以下の点について要求し、交渉しました。その内の論点のあるものについてご報告します。交渉内容■ARC : 実験動物飼養施設は、その性質上、監視の目が行き届かない業態である。 大震災や津波も予測されている中で、逸走等、動物の管理が不能になる可能性があり、その際、住民の安全が危惧される。また、実験動物福祉のためには、すべての動物実験施設に3Rを遵守させなければならない。兵庫県、静岡県で実施されているように、実験動物飼養施設の場所、構造、動物の種類、頭数を把握する仕組み、及び立入検査の仕組みをつくること。 ■県 : 実験動物を飼養している施設については、平成20年からの10年間の計画である「神奈川県動物愛護管理推進計画」(以下「計画」という。)の中で、その飼養状況等について把握し、飼養保管基準等の普及啓発を図ることにより、管理者による自主管理の推進を図ることとしており、これまで、施設の把握や3Rの普及啓発に努めてきたところです。 今後も、これらの対応を継続し、実験動物飼養施設における適正飼養の推進を図ります。 ■ARC : 現在、県が把握する実験動物飼養施設の数や概要を説明し、現状ではどのくらいの頻度で巡回指導できているのか説明すること」 実験動物に関する法改正は行われなかったが「動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律案に対する付帯決議」(2012年)の中で 『実験動物の取扱いに係る法制度の検討に際しては、関係者による自主管理の取組及び関係府省による実態把握の取組を踏まえつつ、国際的な規制の動向や科学的知見に関する情報の収集に努めること。また、関係府省との連携を図りつつ、3R(代替法の選択、使用数の削減、苦痛の軽減)の実効性の強化等により、実験動物の福祉の実現に努めること。』 とある。今後3Rの実効性の強化のために、県として具体的にどういったことを行うのか、説明すること。 また今年改正された「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」には 『管理者は、定期的に、本基準及び本基準に則した指針の遵守状況について点検を行い、その結果について適切な方法により公表すること。なお、当該点検結果については、可能な限り、外部の機関等による検証を行うよう努めること。』という項目が追加された。 「適切な方法による公表」がされているのかどうか、県としてどう把握していくのかを説明すること。 ■県 : 現在、実験動物を飼養している又は飼養していると想定される施設として本県が把握している施設は15施設ありますが、確実な把握方法がないことから、引き続き、把握に努めているところであり、巡回指導は実施しておりません。 本県では、改正された「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」を上記15施設に対して通知したところであり、今後も、本基準に基づき、各施設において実験動物が適正に飼養管理されるよう、努めてまいります。 なお、「適切な方法による公表」については、必要に応じてインターネット等を活用し、情報収集に努めてまいります。 ■ARC : 再々質問 改正法の届出範囲が拡大することによって、届出事業所を訪問しての指導や状況把握が忙しくなると思われるが、人員の拡充など対応をどうしていくのか説明すること。 また、実験動物飼養施設の内部状況がわからないので、とりあえずいくつか訪問してみること。 また、実験動物施設の届出制を実施している兵庫県では施設数が65あります。神奈川県内で15施設というのは把握状況が低いと感じるがどうか。現状の把握方法について説明すること。 また、『動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針』に「国は、実験動物の飼養保管等基準の遵守状況について定期的な実態把握を行うこと」とされていることを踏まえ、環境省は実験動物施設に対して定期的なアンケート調査を実施しています。2012年には3500以上の、実験動物施設を有する可能性のある団体にアンケートを送付したとしています。この内容は承知していますか。 また、環境省に「神奈川県下の実験動物施設を有する可能性のある団体のデータ」のデータ提供を受け、改正された「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」を該当団体すべてに送付し、実験動物の飼養の有無を確認してほしいがどうか。 ■県 : 検討します。 まとめ動物実験自体が動物取扱業の規定から除外されてしまっているが、対象の動物を飼育していることは事実です。 動物は不適切に扱われるべきではないという動物愛護管理法の主旨は、これら実験動物にも適応されるものです。動物実験を行うことができる人間を限定することもなく、動物実験を行うことが出来る場所を限定することもない今の状況は、とても恐ろしいものです。 動物を隠すことは簡単であり、その中で不適切な飼育を行っていることを隠すことも簡単です。実験動物にかぎらず、密室の中で、動物を大量に飼育すれば、虐待的なことが行われないということはほぼないと思っていいでしょう。 数々の不正行為が表沙汰になりますが、それが氷山の一角であろうことは多くの人が感づいているでしょう。 自主規制は、動物に対する適正な扱いが行われていると信用するに値する言葉ではありません。 不適切な扱いを把握もできず、放置するしかないというのは、この神奈川県に15施設しかないと県が回答していることにも現れています。クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Article化粧品開発における動物実験に関する意識調査 業界誌に論文掲載されました Next Articleサーカスに動物を使わないで!意見を伝えよう。 2013/12/13