「化粧品(医薬部外品含む)の商品開発に際し、外部委託も含めて動物を用いた試験は行なっていない」という方針を公式ウェブサイトに掲載した富士フイルムに対し、美しさに犠牲はいらないキャンペーン実行委員会がその真偽について確認を求めていたところ、2016年3月3日付の書面にて化粧品・医薬部外品の完成品・原材料ともに、外部委託を含め、動物実験を行っていない。また基礎研究においても実施していないとの回答を得ることができました。 富士フイルムは、安全確保技術の進歩や消費者の要望、業界動向などを踏まえて、2015年6月より、新たな方針をウェブサイトに掲載するに至ったとのことです。 ただし、輸入化粧品に対して動物実験を課している中国への輸出や、化粧品による事故が発生した場合の原因究明など、動物実験を例外的に行う条件設定は、これまで動物実験廃止を表明した大手企業と同様です(※)。また、富士フイルムが取り扱う化粧品以外の製品に対して動物実験が行われている場合があります。 それでも、化粧品目的の基礎研究や新規原料を市場に出すための国に対する薬事申請なども含め、原則として化粧品分野における動物実験の廃止が確認できたことは大きな前進です! 原料調達でも「動物実験なし」徹底を要望 この回答を受け、CFBでは富士フイルムに対し以下を要望しました。〒106-0031東京都港区西麻布二丁目26番30号富士フイルム株式会社 代表取締役会長・CEO 古森重隆 殿 代表取締役社長・COO 中嶋成博 殿 化粧品の動物実験廃止にかかる調達先への周知徹底を求める要望書 私たちは、美しさを追求するはずの化粧品開発に際して、美しさとは対極に位置する残酷な動物実験が行われていることを憂慮し、一刻も早くそれが全廃されることを望んでいます。 さて、貴社は2015年6月、公式ウェブサイト上に「化粧品の動物実験に関する考え方」として「化粧品(医薬部外品を含む)の商品開発に際し、外部委託を含めて動物を用いた試験は行っていない」「今後も行う予定はない」との方針を掲載され、本年3月には当会に対して「化粧品・医薬部外品の完成品・原材料ともに、外部委託を含め、動物実験を行っていない。また基礎研究においても実施していない」旨を明らかにされました。「社会に対して安全性の説明責任が生じた場合」や輸入化粧品に対して動物実験を課している中国への輸出など、動物実験を実施する例外条件はあるものの、消費者からの要望等を踏まえて「今後もしない」という決断に踏み切り、医薬部外品に対する将来的動物実験実施の可能性を排除されたことを、私たちは、「美しさに動物の犠牲はいらない」と考える消費者を代表して、評価し、歓迎します。 一方、これまで私たちが複数の大手化粧品企業に対して「自社における動物実験の実施の取りやめ」「外部への動物実験の委託の取りやめ」という決断を促してきたなかで、原料調達先における動物実験の問題が、新たな課題として浮かび上がってきています。すなわち、消費財メーカーが「動物実験を廃止した」と公言しているにもかかわらず、その製品の原料に対して動物実験が行われているようでは、動物実験を行わないという方針は機能しているとはいえません。その方針は、原料調達先をはじめとするサプライチェーン全体に到達し、共有され、順守されて初めて機能するものと考えます。実際にEUでは、2009年3月11日以降(一部2013年3月11日以降)動物実験が行われた化粧品及びその原料の流通(輸入)が禁止されており、その運用が滞りなく行われていることからも、日本でも一企業がかような対応をとることは現実的に可能であることを示しています。 消費者の要望や業界動向等を踏まえて化粧品の動物実験を今後も行なわないとした貴社のご英断を確かなものとするためにも、貴社が調達される化粧品等原料に動物実験が行われることのないように、下記のとおり要望いたします。 なお、ISO26000では消費者課題として、動物福祉への配慮及び動物実験実施の有無を含む動物福祉に関連する情報提供が掲げられているところ、富士フイルムホールディングスではISO26000に則って積極的な情報開示を行っておられますので、ぜひ、貴社としてだけではなく、富士フイルムグループ全体としてのご対応をお願い申し上げる次第です。 記1. 富士フイルムとしてだけではなく、富士フイルムグループとして、品質方針の中に「化粧品の動物実験に関する考え方」を導入してください。http://www.fujifilmholdings.com/ja/sustainability/vision/quality.html2. 富士フイルムグループとして、期限を定め、その日以降に動物実験が行われた原料は調達しないとする「動物実験していない化粧品等原料」の調達方針を新たに策定するなどして、貴社の「化粧品の動物実験に関する考え方」を取引先に周知徹底し、調達する原料に対しても動物実験が行われていないことを保証してください。3. 富士フイルムグループが調達における取引先に対して求める「重要なCSR項目」のなかに、化粧品(医薬部外品を含む)に対する動物実験の廃止を示す項目を追加してください。 以上ご検討いただきますようお願い申し上げます。上記要望事項につきまして、6月末日をめどにご検討の結果を書面にてご回答をいただきたくお願い申し上げます。もし検討に時間を要し、期限内のご回答が不可能な場合は、ご回答の可能な時期についてお手数でもご一報ください。 2016年3月15日〒150-0042東京都渋谷区宇田川町12-3ニュー渋谷コーポラス1009 アニマルライツセンター内 TEL/FAX03-3770-0720美しさに犠牲はいらないキャンペーン実行委員会亀 倉 弘 美(JAVA理事)岡 田 千 尋(ARC代表理事)東 さ ち こ(PEACE代表)構成団体: NPO法人動物実験の廃止を求める会(JAVA)NPO法人アニマルライツセンター(ARC)PEACE~命の搾取ではなく尊厳を化粧品の原料調達「2017年4月1日以降動物実験された原料は調達しない」方針を徹底上位の要望に対し、6月30日、同社より「化粧品(医薬部外品含む)の原料調達にあたり、『2017年4月1日以降に動物実験が行われた原料は調達しない』旨、原料調達先各社に確認・徹底することとする」との回答がありました。また、この内容について、富士フイルムグループのホームページに記載するとのことです。 「動物実験を廃止した」と公言していても、外部から購入する原料に対して動物実験が行われているようでは、動物実験を行わない方針が機能しているとはいえません。その方針は、原料調達先をはじめとするサプライチェーン全体に到達し、共有され、順守されて初めて機能するものです。 2015年秋から原料調達先に書面確認の徹底を始めた花王に続いて、富士フイルムが期日を決めて対応を始めたことは快挙であり、大きな前進です。動物実験の廃止を宣言しているほかの大手メーカーがこれに続き、原料業界でも動物実験の縮減・廃止がメインストリームとなって、食品や医薬品など他の業界へと広がっていくことが期待されます! 回答「美しさに犠牲はいらないキャンペーン実行委員会」亀倉 弘美 様岡田 千尋 様東 さちこ 様 平成28年6月30日株式会社富士フイルムヘルスケアラボラトリー代表取締役社長 山口 豊 「化粧品の動物実験廃止にかかる調達先への周知徹底を求める要望書」への回答 拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。 さて、2016年3月15日付にて、貴委員会より富士フイルム株式会社および株式会社富士フイルム ヘルスケア ラボラトリーに送付頂きました「化粧品の動物実験廃止にかかる調達先への周知徹底を求める要望書」につきまして、両社を代表して弊社より 以下の通り回答いたします。 化粧品(医薬部外品含む)の原料調達にあたり、「2017年4月1日以降に動物実験が行われた原料は調達しない」旨、原料調達先各社に確認・徹底することといたします。また、富士フイルムグループのホームページに上記内容を記載します。 以上、貴委員会より頂きました書面への回答といたします。ご査収のほど、よろしくお願い申し上げます。 敬具 ※「*社会に対して安全性の説明責任が生じた場合や、一部の国において行政から求められた場合を除きます。」との但し書きがあります。輸入化粧品に対して動物実験の実施を課している中国への輸出の問題については「中国での動物実験についてのCFBの見解」をご覧ください。クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Article【署名】拘束されて動けない フクロウのカフェの撤廃を Next Articleエンリッチケージ と バタリーケージ 2016/07/13