化粧品の動物実験は国内でも企業の取組によって明確に廃止の流れに進んでおり、あとは一部の企業が継続しているだけになっています。この一部の企業の中には、歯磨き粉や殺虫成分を含んだ化粧水のような商品を開発する企業が含まれます。多くの企業が目先の利益よりも倫理を優先し動物実験を行わずに商品を開発する中、企業間の不平等が発生してしまっています。この問題の解決のためにはNGOと企業という民間での取り組みだけではなく、そろそろ国の動きが必要になっています。一方で、食品の動物実験はいまだに食品メーカーによって継続されています。しかし、多くの国民は自分たちが日常的に口に入れ、体内を形成するものに、まさか動物実験が必要とされるほど危険なものが使われているとは思っていないのではないでしょうか。食品はそのものが栄養素であり、栄養という”効能”がありますが、一部の企業はいまだに、より多く売りたいがために”効能”や”機能”を追加するために動物実験を行っています。NPO法人動物実験の廃止を求める会によると伊藤園、キッコーマン、ヤクルト本社、日清食品グループ、不二製油グループ、キユーピー、アサヒグループホールディングスがすべての食品のための動物実験を廃止しています。*海外の法律で要求された場合は除くしかし、その他の大手企業は”ヘルスクレーム”のためには動物実験を行わないとは答えるものの、法的に求められた場合やヘルスクレーム以外のためには行うという線引をしています。この、「ヘルスクレーム」とは食品の機能性や有効性を言いますが、法的に求められる場合を除いているため機能性食品などで申請時に必要であれば行うということです。またその他安全性や予備試験など、つまり基本的に動物実験は行うが、一部の動物実験は避けると言っているに過ぎません。または何の表明もしていない企業では動物実験が継続されていると考えられます。このような食品企業の低い意識は残念でなりません。そこで、アニマルライツセンターでは2023年4月に化粧品及び食品のための動物実験についての意識調査を行いました。化粧品のために動物を犠牲にしたくない2016年6月22日~6月24日にLUSHジャパン株式会社が行った調査では、同じ設問に対して、24.1%がそう思う、46%がどちらかといえばそう思うと回答し、合計70.1%の人々が化粧品の動物実験に否定的であることを示した。今回2023年の調査では37.3%がそう思う、37.1%がどちらかといえばそう思うと回答し、合計74.4%の人々が化粧品のために動物を犠牲にすることに否定的であることを示した。とくにより強く否定的な割合が増えたようだ。また特に女性は、81.4%が化粧品の動物実験に否定的だった。食品に新たな効能を追加するために動物を犠牲にしたくない同様の質問を食品の動物実験に関して行った。29.5%がそう思う、38.9%どちらかといえばそう思うと回答し、合計68.4%の人々が食品に新たな効能を追加するために動物を犠牲にすることに否定的であることを示した。男女の違いで見ると、化粧品同様に女性がより動物実験に否定的であり、女性の75.5%が食品の動物実験に否定的であるといえる。医薬品のために動物を犠牲にしたくない比較のために医薬品についても同様の質問をすると、23.3%がそう思う、35.4%がどちらかといえばそう思うと答え、58.6%が医薬品のために動物が犠牲になることに否定的だった。これは私達にとって意外な結果であり、化粧品や食品など動物実験が不要であることが明確にわかるもの以外でも、動物実験を削減し、動物の犠牲を減らすことを国民の半数以上が望んでいるということを示した。化粧品のための動物実験は必要だよりはっきりした意思表示のための設問をすると、約10%程度の人が態度を変えている。この場合そう思わないと答える人が動物実験に否定的な人であるた、その回答は27.5%、どちらかといえばそう思わないが34.5%、合計62%であった。上記の結果と同じように女性の方が否定的な割合が高かった。食品のための動物実験は必要だ食品についても化粧品同様に10%程度、動物実験に否定的な割合が減少した。医薬品のための動物実験は必要だ医薬品についても同様である。とくに医薬品はすでに日本でも43.2%の人々が動物実験を行うことに否定的であり、医薬品、特に化学品などについて企業はよりいっそう動物実験を削減する努力が求められる。それを問うたのが次の設問だ。企業には動物実験をせずに商品を開発してほしい商品を特定しなくても、61.1%の人々が企業に動物実験を行わない開発を望んでいることがわかった。以上、化粧品と食品の動物実験は傾向は同じであり、過半数以上の人々が動物実験に否定的であることがわかります。また化粧品や食品以外ではより多くの動物実験が行われていますが、これらについても動物実験削減、廃止に向けた取り組みが企業には求められています。調査期間: 2023/04/10 ~2023/04/11調査方法: 民間調査会社によるインターネット調査調査対象: 15歳~69歳の男女2,653名クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Article毎年100件以上の養鶏場など畜産場の火災。99%の犠牲者は鶏 Next Article近代以前の日本にみる動物との共生 No5〜卵〜 2023/05/01