魚には知覚があり、「魚の知覚と認知能力がしばしば他の脊椎動物に匹敵するか、それを上回っている*1」とすら分析されているほどです。多くの国で同じ脊椎動物であれば法律が守る動物の種の範囲内に魚類は入っています。日本でも、罰則の範囲に両生類と魚類が含まれないという遅れた法律であっても、動物愛護法が守るべき対象の範囲には入っています。OIEの動物福祉規約も観賞魚は含みませんが養殖される魚について福祉を守らなくてはならないとして、科学的根拠に基づいた様々な勧告が規定されています。11月、アニマルライツセンターにホームセンターのカインズ(ベイシアグループ)にて、「金魚やメダカなどの動物がビニール袋に入れられて売られている、あまりにもかわいそうだし、生命を蔑ろにしている。なんとかしてほしい」という相談が寄せられました。正面と右横のラックに魚がいれられたビニール袋が陳列されているこのようにビニール袋が簡易的な棚に多数陳列されている状態。ビニールには水が入っているだけで何の配慮もなく、魚たちはただそこに浮かんでいるような状態でした。この状態は罰則こそなくても、動物の生態に反した飼育のあり方であり、動物愛護法に違反しています。また客に対しては生命を軽視することを推奨しているような売り方でもあります。人々はこのような方法で安売りされた動物たちを大切に扱うでしょうか。そうはならないでしょう。数匹死んでもいい、帰り道で死んでも別に気にならない、どうせ弱っているし、、、といった感覚に陥るのではないでしょうか。そして動物の命はこのように乱雑に扱っても許されるのだということを学習するでしょう。過去(2015年)にも別の系列のホームセンターで袋詰で売られていたことがありましたが、要望するとすぐに廃止してくれました。しかし、カインズはなんと、「担当部署に伝えるけど回答は一切行っていない」という残念な返答しか得られません。電話ではなく文書で要望と送っても回答はできないといいます。担当の部署というのも外部の業者であるような言い振りであり、カインズとして、またベイシアグループとして動物の命や苦しみを軽視した販売の方法を廃止することを決定してほしいと伝えてました。しかし、回答はもらえないとのことです。カインズは北海道から九州まで228店舗展開する大手ホームセンターであり、ベイシアグループとしては大型スーパーマーケットベイシアを含めて1,946店舗、「2020年10月に「グループ売上1兆円」」を達成したという影響力の大きい企業です。そのような企業が動物の苦しみを蔑ろにし、さらには全てのお客様や団体に対して一切の回答をしないと決めているというのです。私たちはカインズからの回答がなければ、改善がすべての店舗、すべての期間行われているかどうか把握することはできません。このような対話ができない企業が動物たちの扱いを改善をしてくれる唯一の動機は、消費者からの声です。どうかカインズに、魚をビニール袋のようなアニマルウェルフェアの低い状態で陳列販売することを辞めるよう、意見を届けてください。カインズ アニマルライツセンターからの要望内容(中略)当会に貴社の売り場での動物の扱い(貴社の店舗における魚の飼育方法)について、「あまりにもひどいのではないか、なんとかしてほしい」という通報がありました。私達も実際に金魚やメダカなどの魚類の陳列を確認し、確かに貴社の陳列販売の方法は動物愛護管理法違反であり、改善が必要であると判断しました。そこで、アニマルウェルフェアおよび動物愛護の観点から改善していただきたく、ご連絡させていただきました。日本では、動物愛護管理法において、魚は罰則規定の対象には入っていませんが、動物愛護管理法自体は、魚にも適用されるものです。動物愛護管理法には次のように書かれています。「(基本原則)第二条 動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない。2 何人も、動物を取り扱う場合には、その飼養又は保管の目的の達成に支障を及ぼさない範囲で、適切な給餌及び給水、必要な健康の管理並びにその動物の種類、習性等を考慮した飼養又は保管を行うための環境の確保を行わなければならない。」この原則は魚であっても適用されます。しかし貴社の魚の扱いは、この原則に反するものになっています。また環境省告示の「動物愛護管理基本指針」には次のように書かれています。「人と動物とは生命的に連続した存在であるとする考え方や生きとし生けるものを大切にする心を踏まえ、動物の命に対して感謝及び畏敬の念を抱くとともに、この気持ちを命あるものである動物の取扱いに反映させることが欠かせないものである。」残念ながら、貴社の魚の扱いには、命を大事にするという姿勢は感じられませんでした。貴社のような大きな売上を上げ、多くの人々が利用する企業が、このような方法で動物が陳列販売していることにはより大きな問題があります。企業は売上を追うだけでなく、社会的な責任を負っており、その責任はより大きな企業であるほど大きなものになります。貴社が動物の命を軽視するという立場を取りつづけることは、日本の社会を悪い方向に導いているということなのです。要望:魚を袋に詰めて陳列販売するのを中止し、適切な広さおよびすぐにケアが可能な水槽での飼育に切り替えること。貴社のすべての業態(テナント含む)において、今後生きた動物を、袋詰にするなどのアニマルウェルフェアの低い販売方法を行わないことを決定すること。早急にご検討及びご決断いただけますよう、お願い申し上げます。事前に貴社コールセンターでも同様の要望をさせていただきました。しかし、残念ながら一切の回答は行わないことになっているとのことでした。文書で要望を送ったとしても回答を望めないとコールセンターからは何度も念押しいただきました。しかし、私たちは貴社のすべての店舗及びすべての期間に改善された又はされるということを、貴社からの回答以外で知る術がありません。飼育方法について、どういった改善をしていただけるか、ご回答いただけますよう、再度お願いします。*1 https://link.springer.com/article/10.1007/S10071-014-0761-0クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Articleボルソナロからルラ政権に変わることは動物にも朗報か? Next Article近代以前の日本にみる動物との共生 No3〜鳥類と日本人 その2 「鶏」〜 2022/11/28