経済産業省は「皮革産業振興対策事業費補助金」として、毎年毛皮産業振興への補助金を出し続けています。2021年度の皮革産業振興対策事業費補助金の公募は、例年通りであれば1月20日から始まります(公募は2021年度予算成立の前に行われ、採択された団体は採択予定者となり、予算の成立等をもって採択者となります)。そして例年通りに行くと毛皮を扱う団体に、今年も補助金が出ることになります。現在の公募要領(「皮革産業振興対策事業費補助金」に係る補助事業者募集要領)の内容のままであれば、毛皮団体であっても補助金の対象となってしまいます。2021年度は毛皮団体への補助金がなされないようにするためには、要領の改正も必要かもしれません。おりしも10月29日に出たIPBES(「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム」。環境省もIPBESの取り組みを支援するために年間30万ドルを拠出)のレポートは毛皮用動物養殖がパンデミックリスクとなる可能性について言及しています。動物倫理の問題だけでなく、人獣共通感染症リスクまである産業です。毛皮用ミンクファームでミンクが新型コロナに感染し、ミンクから人への感染も引き起こしています。その結果2000万近くのミンクが殺されています。このような産業を振興させる必要性はどこにもないと思います。アニマルライツセンターは経済産業省と、経済産業大臣に、2021年度の毛皮産業振興の補助金に毛皮産業が含まれないよう、要望を出しました。ぜひ皆さんからも意見を届けてみてください。経済産業省 意見先https://mm-enquete-cnt.meti.go.jp/form/pub/honsyo03/meti_toiawaseアニマルライツセンターから提出した意見2020年12月17日当法人は動物の権利の向上を目指して市民運動を行う認定NPO法人です。令和3年度の「皮革産業振興対策事業費補助金の公募」について要望がありご連絡差し上げました。・要望「「皮革産業振興対策事業費補助金」に係る補助事業者募集要領」の改正を行うなどして、本事業の補助金支援の対象に、毛皮産業が含まれないようにしていただきたい。毛皮の残酷性が知られるようになったことから、プラダ、グッチ、シャネル、アルマーニといったラグジュアリーブランド含め、多くの企業が毛皮を扱わないことを宣言しています。毛皮廃止の動きはメーカーにとどまりません。2019年10月、カリフォルニア州が毛皮の販売を禁止しました。2020年9月にはフランスが毛皮農場を廃止(ウサギは除く)することを決定しました。毛皮生産世界第三位のポーランドでは、現在毛皮廃止法案が審議されています。同じく毛皮生産大国のフィンランドは2020年8月に、最大政党が毛皮廃止に取り組むと発表しました。すでにヨーロッパでは13か国が毛皮のための動物飼育を禁止しています。動物倫理の問題だけではありません。新型コロナを機に人獣共通感染症のリスクも明らかになったことからも毛皮産業は縮小の方向に向かっています。2020年4月に世界第4位の毛皮生産国であるオランダの2つのミンク農場で、ミンクと従業員が新型コロナウイルスに感染したことが明らかになりました。その後、同国での感染農場は67に拡大し270万頭のミンクが殺処分されました。オランダ議会は2020年6月23日に、ミンクの飼育を即時停止する法案を可決しています。2020年中に同国のミンク農場は終了するだろうと予測されています(オランダ政府はもともとミンク産業を2024年に終了する予定だったので、前倒しになった格好です)感染はオランダのみにとどまりません。スペイン、アメリカ、デンマークのミンク農場でも感染が確認されました。デンマークでは、変異した新型コロナウイルスが発見され、ミンクから人への感染が確認されたことを受け、2020年11月4日、国内の毛皮用のミンク1500万頭以上をすべて殺すことを発表しました。2020年11月24日、ハンガリーは各地のミンク農場での新型コロナの感染発生を受けて、動物福祉と公衆衛生上の懸念から、ミンク・キツネ・ケナガイタチ・ヌートリアの毛皮農場の禁止を決定しました。2020年10月29日には、環境省が年間30万ドルを拠出するIPBES(生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム)が人獣共通感染症に関する報告書「IPBES Workshop on Biodiversity and Pandemics」を発表しました。この中でも毛皮用動物養殖がパンデミックリスクとなる可能性について書かれています。以下レポートから一部引用します。「飼育下で飼育されている動物がCOVID-19の出現に関与したかどうかは不明ですが、ウイルスが人々の移動を通じて世界的に広まった後、オランダ、デンマーク、米国で毛皮のために飼育されているミンクに感染し、オランダではさらに人間への感染を引き起こしました。」(パンデミックのリスク軽減の政策として)「パンデミックリスクの高い消費パターン(例:養殖野生生物の毛皮の使用)を特定、ランク付け、ラベル付けして、代替案のインセンティブを提供する。」「肉、木材、野生生物製品(毛皮など)などの特定の商品に対する世界的な需要は、病気の発生に直接関連している可能性があり、場合によっては、先進国での消費によって促進される可能性があります。」「SARSの発生中には、生きている動物市場のタヌキが感染していることが判明しましたが、新型コロナウィルスにも感受性があります。タヌキは、中国を含む多くの国で合法的に飼育されており、主にヨーロッパ、北米、その他の地域で国内総生産が高い国のファッション産業に供給するために輸出される毛皮のために飼育されています。」動物倫理の観点から毛皮産業への批判が世界的に広がる中、新型コロナウイルスのパンデミックが、毛皮産業の衰退を加速させているというのが今の状況です。補助金と言うのはその性格からいって公共性・公益性のあるものにたいして支払われるべきもののはずです。動物倫理、公衆衛生の観点から縮小の方向に向かっている産業の振興のために補助金を出さないでほしいというのが当法人の要望です。ご多用中恐縮ですが、ご回答をいただけますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。経済産業省からの回答2020年12月18日いろんな意見があるので、(毛皮業界の言い分もある)ので、意見の一つとして承ります。2018年リトアニアのミンク農場 写真/動物権利団体Tušti narvai2018年フィンランドのキツネ 少しでも毛皮を多く採れるようにブクブクに太らされている 写真/動物の権利団体Oikeutta eläimille2019年中国の毛皮農場2020年中国の毛皮農場クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Article平和問題と動物問題のつながり:彼にとってたった一度の人生です Next Article2020年、人気のあった動画10選 Comments (0)コメントを残す コメントをキャンセル 2020/12/19