近年、プラダやグッチ、シャネルやアルマーニといったラグジュアリーブランド含め、多くのファッションブランドが毛皮を扱わないことを宣言している。毛皮廃止の動きはメーカーにとどまらず、昨年はカリフォルニア州が毛皮の販売を禁止するなど、毛皮廃止への動きは加速している。 現在の動きをみると、今後毛皮産業が衰退することこそあれ、盛り返すことはないだろう。毛皮の使用が規制され始めているのは、毛皮が残酷だからだ。 中国1 2だけでなく、カナダ、リトアニア、フィンランドと各国でその残酷な実態が更新されつづけており、毛皮の製造過程は残酷1 2 3 4 5だという認識は、もはや常識になっている。問題はその残酷性にとどまらない。毛皮生産大国であり、日本の毛皮輸入先でもある中国では、毛皮・皮革の製造の過程で使われる多量の薬品による公害、人体への悪影響が問題1 2になり、さらに今年に入ってからは新型コロナウィルスが毛皮農場で発生した。世界第4位の毛皮生産国であるオランダで、2つのミンク農場の、ミンク(と従業員)が新型コロナウイルスに感染したことが明らかになった後、感染農場は17に拡大、オランダ議会は2020年6月23日に、ミンクの飼育を即時停止する法案を可決した。おそらく2020年中に同国のミンク農場は終了するだろうと予測されている(オランダ政府はもともとミンク産業を2024年に終了する予定だったので、前倒しになった格好)*。新型コロナ感染は、動物を一か所に、大量に閉じ込めて飼育するという毛皮用動物養殖場が、動物虐待、環境破壊、健康被害につながるというだけでなく、感染症の拡大にもつながることを明らかにした。毛皮産業への補助しかしそういう状況にありながら経済産業省は「皮革産業振興対策事業費補助金」として、毛皮産業へ補助金を出し続けている。近年の毛皮団体への補助金交付状況をみると2014年 9,362,000円(1団体)2015年 9,265,400円(1団体)2016年 9,265,400円(1団体)2017年 9,265,400円(1団体)2018年 15,650,000円(2団体)2019年 14,893,000円(2団体)2020年 19,428,600円(2団体)参照:経済産業省 補助金等の交付決定に関する情報*2018年からは、交付対象にもう一団体加わった。これまでの一団体は毛皮を扱う団体だったが、加わった1団体は皮革と毛皮の両方を扱う団体。*2013年以前も毛皮団体には補助金が出ている。Life Investigation Agency (LIA) さんの報告によると2003年から2013年の間に1億2757万7千円が毛皮団体に交付。経済産業省へ意見を毛皮だけでなく、「牛革」などの肉産業の過程で生産される革についても、その畜産の過程の残酷性を考えると廃止を目指さなければならないが、毛皮についてはもう即時の廃止が求められる時代になっているといえよう。その残酷性、環境破壊、人体への悪影響に加えて、人畜共通感染症のリスクまでもが明らかになったのだ。「皮革産業振興対策事業費補助金」の目的は「中小・小規模事業者が大部分を占める日本の皮革関連産業において、自ら改革意欲を持って前向きな取組みをする事業者を支援し」とあるが、毛皮産業の改革とは、その廃止、人工毛皮(フェイクファー)への移行しかないだろう。基本的なことを言うなら、補助金と言うのはその性格からいって公共性・公益性のあるものにたいして支払われるべきもののはずだ。経済産業省にそのことを聞いてみたところ、公共性や公益性は考慮されるが、団体の事業計画に問題がなく、皮革産業振興という目的にかなうならば補助金の対象となるということであった。 毛皮の扱いが違法ではない日本では、いたしかたないことなのかもしれない。しかしこれだけのリスクが明らかになっている以上、公共性・公益性のあるものとはいえないのではないだろうか。ぜひ皆様からも、経済産業省に意見を届けてみてほしい。経済産業省意見先*20200630 ナショナルジオグラフィック 新型コロナウイルスが廃止早める オランダのミンク産業クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous ArticleGood news! Wicca’s underwear(ウィッカズ アンダーウエアー)、ファーフリー! Next Article世界食肉加工トップ10のアニマルウェルフェア 情報開示状況 2020/07/12