自分の好きなように動物を飼育することは誰にもできません。きちんとした規則が存在します。ペットショップ、動物園、ふれあいカフェ、隣の家の犬猫など、「扱いがひどい」「かわいそうだ」と感じたら動物愛護管理に関する法令・基準などを活用して当事者に意見して改善を求めてください。 規則は活用することで生き、実体のあるものになります。それでも改善されなければ、所轄の動物愛護行政に通報してください。 それでも変わらないことはあります。しかし声を届けることはとても重要です。動物愛護行政に入る苦情には、動物が「臭い」「うるさい」などといった人間本位のものが少なくありません。動物の立場からの苦情が増えれば、動物に思いやりのある社会に変わっていきます。動くことの出来ない短いリーシュ(足かせ)で展示されているフクロウ(2015.8月撮影)2015年8月、関東にある猛禽類(おもにフクロウ)のふれあいカフェに行った市民数名からARCに通報がありました。問題点1.口を開け息をしているフクロウが2羽いた。「この状態はどうなのか」スタッフに問うと、「暑くてハーハーしている」との回答。2羽ともかなり激しく口を開け呼吸。給水設備はなし。2羽のうち1羽にはその後スタッフが霧吹きをかけていた。暑い地域のフクロウと寒い地域のフクロウ両方が展示されている。また、数日前まで、エアコンが故障してたとのこと。2.フクロウは1羽1羽足かせで係留されており動けない状態。「頭の上から後ろに向けて撫ぜる」「顔やお腹、正面から手を出すと恐がる。」そのような注意事項があり、来店時にフクロウとの接し方を説明されていても、正面に手をかざす利用者がおりフクロウが驚き、羽根を羽ばたかせ逃げようとするが、足かせで逃げることはできない。しかしスタッフは注意をしない。3.15羽のふくろうの展示間隔が狭い4.一個体の展示時間は平日4時間、土日祭日は、6時間。たくさん触られたり、腕にフクロウを乗せる回数が多かったフクロウは、その場で「休憩中」のカードが置かれるが、場所は移動されない。 8月10日 視察に行ったARC会員が所轄の動物愛護行政へ通報。給水設備がなく、苦しそうにしてるフクロウ二羽がいたこと、数日前にエアコン壊れていたことを伝え指導を要請。8/21に行政職員がカフェに行き指導。職員が訪問したときは適温でハーハーするフクロウはいなかったが、きちんと飼育展示するよう指導。またエアコンが壊れた数日は、扇風機で対応したということだが「本来なら展示するべきではない」と指導したとのこと。これらの報告を受け、ARCは当該カフェへ改善提案を送付(2015.8.27)私共の元に市民の方から貴店のフクロウ等猛禽類の飼育方法に関して懸念の声が数件寄せられております。動物愛護の観点から、貴店へ改善提案をさせていただきます。 ご多用中恐縮ですが、ご検討いただけますよう、お願い申しあげます。■猛禽類の飼育スペースと利用客のスペースを分離したほうが良いと考えます。 それが難しければ猛禽類を利用客に触らせることを中止すべきです。市民からの通報では「正面から手を出すと恐がる」などの注意事項があっても、正面に手をかざす利用客がいた、またリーシュでつながれ逃げることのできないフクロウが驚き、羽根をバタバタさせても利用客は同じことを繰り返し、貴店スタッフも注意しなかったとも聞いております。 フクロウ等猛禽類は、インプリント個体であっても長い時間をかけて家畜化された種ではありません。我慢してはいますが、なでられることを喜ぶ猛禽類はほとんどいません。 人との距離が近い貴店では、猛禽類は常にパーソナルスペースに侵入されているという状況です。その上、人に触られるということは大きなストレスになると考えられます。 猛禽類に触れさせずフクロウカフェを営んでいる例もあり、触らせずとも利用客を満足させることは十分可能であると考えます。■猛禽類が自由飲水できるようにしたほうが良いと考えます。 それが難しければ適切な給水・温度管理のできる管理体制を整えるべきです。市民からの通報では、貴店の猛禽類はリーシュでつながれたまま動くことができず、水も飲めない状況だということです。また口を開け、かなり激しく呼吸をしているフクロウが数羽いたこと、貴店スタッフに尋ねたところ「暑いからだ」と答え一羽だけに、霧吹きをかけていたということも聞いております。 本来ならフクロウ等猛禽類も自由飲水できる水受けの設置が必要です。しかしそれが難しいならばタイムスケジュールに従った適切な給水と温度管理ができる体制を整える必要があると考えます。*該当規則 第一種動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目 第5条の一のト 第5条の一のチ■リーシュ(足かせ)展示の廃止。 それが難しければ、半数ずつ展示するなどして個体の休息時間を増やすとともに、個体ごとの距離を広く保った展示に変えるべきだと考えます。市民からの通報ではリーシュ(足かせ)は、キュウキュウに締め付け、動けないようにされていたということです。動きたいのか、羽根を羽ばたかせるフクロウも何羽かいたという話も聞いております。歩くという日常的な動作も行えないリーシュ(足かせ)展示は大きな問題があると思われます。 こういった展示が一日4時間(火曜日を除く平日)あるいは6時間(土日祝)続くのは異常なことではないでしょうか。 展示の合間の休憩のさせ方も、貴店で行われているような「休憩中」という札を立てて、その間利用客が触れるのを禁止するのみで、リーシュ(足かせ)をつけたまま同じ場所に展示されるのでは休息とはなり得ません。 どうしてもリーシュ(足かせ)展示以外に方法がないのであれば、半数ずつの展示にするなどして個体の展示時間を減らすべきです。(展示時間外の飼養施設は、自由に動き飲水ができ、種に応じて砂浴び、水浴びのできる設備、飛ぶことのできる空間を有する必要があります。) また個体ごとの距離も現在よりも広く保つべきではないでしょうか。 フクロウは群れで生活する生き物ではなく、広い縄張りに1ペアで暮らす生き物です。自分と違う種であれば食い殺される危険があり、同種ならば縄張り争いをするライバルであって、個体間の近さはストレスになります。*該当規則 第一種動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目 第3条の一 第4条の一 第4条の二 第5条の一のリ■猛禽類を購入しようとする者に適切な情報の提供 市民からの通報では、貴店スタッフから「足かせ(繋ぎ飼い)すると飼いやすい」との説明を受けたとのことです。飼育者の立場ならばその通りですが、フクロウからしたら自由に動き飛ぶことができる環境が好ましいはずです。「繋ぎ飼いで良い」と購入者が勘違いしてしまうような情報提供ではなく、下記のような正しく適切な情報提供が必要ではないでしょうか。 ・基本は部屋を一つ飼育スペースに充てること。ケージ飼育、繋ぎ飼育する際は、自由に飛び、動ける時間を設けること。 ・インプリント個体であっても長い時間をかけて家畜化された種ではなく、フクロウの飼育は簡単ではないこと。 ・トイレのしつけができないこと。 ・縄張りを主張するために大きな声で鳴くことがあること。 ・いろんなものをおもちゃにして壊し、ゴムや靴下などを誤飲することもあること。 ・水分の多い糞をよくすること。 ・近所に猛禽を見てくれる獣医がいるかどうかの確認が必要なこと。*該当規則 動物の愛護及び管理に関する法律 第二十一条の四以上です。お忙しい中、読んでいただきありがとうございます。 お手数ではございますが、私共の提案について、どのように対応いただけるか書面(郵便またはFAX)あるいは電子メールにてご連絡いただければ幸甚です。 何卒、よろしくお願い申し上げます。当該猛禽類カフェが違反していると考えられる法令■第一種動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目第3条 飼養施設に備える設備の構造、規模等は、次に掲げるとおりとする。 一 ケージ等は、個々の動物が自然な姿勢で立ち上がる、横たわる、羽ばたく等の日常 的な動作を容易に行うための十分な広さ及び空間を有するものとすること。また、飼 養期間が長期間にわたる場合にあっては、必要に応じて、走る、登る、泳ぐ、飛ぶ等 の運動ができるように、より一層の広さ及び空間を有するものとすること。ただし、 傷病動物の飼養若しくは保管をし、又は動物を一時的に保管する等特別な事情がある 場合にあっては、この限りでない。第4条 飼養施設に備える設備の管理は、次に掲げるところにより行うものとする。 一 ケージ等に、給餌及び給水のための器具を備えること。ただし、一時的に飼養又は 保管をする等の特別な事情がある場合にあっては、この限りでない。 二 ケージ等に、動物の生態及び習性並びに飼養期間に応じて、遊具、止まり木、砂場 及び水浴び、休息等ができる設備を備えること。第5条 動物の管理は、次に掲げるところにより行うものとする。 一 動物の飼養又は保管は、次に掲げる方法により行うこと。 ト 動物の生理、生態、習性等に適した温度、明るさ、換気、湿度等が確保され、及 び騒音が防止されるよう、飼養又は保管をする環境(以下「飼養環境」という。) の管理を行うこと。特に、販売業者が、夜間(午後8時から午前8時までの間をい う。以下同じ。)に犬及び猫以外の動物の展示を行う場合には、明るさの抑制等の 飼養環境の管理に配慮すること。 チ 動物の種類、数、発育状況、健康状態及び飼養環境に応じ、餌の種類を選択し、 適切な量、回数等により給餌及び給水を行うこと。 リ 走る、登る、泳ぐ、飛ぶ等の運動が困難なケージ等において動物の飼養又は保管 をする場合には、これによる動物のストレスを軽減するために、必要に応じて運動 の時間を設けること。*第一種動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目を遵守していない場合は、動物の愛護及び管理に関する法第二十三条に基づき、都道府県知事から改善勧告や命令が出されることがあります。その命令に従わない場合は第十九条に基づき業務停止命令ができます。■動物の愛護及び管理に関する法律第二十一条 四 第一種動物取扱業者のうち犬、猫その他の環境省令で定める動物の販売を業として営む者は、当該動物を販売する場合には、あらかじめ、当該動物を購入しようとする者(第一種動物取扱業者を除く。)に対し、当該販売に係る動物の現在の状態を直接見せるとともに、対面(対面によることが困難な場合として環境省令で定める場合には、対面に相当する方法として環境省令で定めるものを含む。)により書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)を用いて当該動物の飼養又は保管の方法、生年月日、当該動物に係る繁殖を行つた者の氏名その他の適正な飼養又は保管のために必要な情報として環境省令で定めるものを提供しなければならない。*動物の愛護及び管理に関する法律の第二十一条四を遵守していない場合は、動物の愛護及び管理に関する法第二十三条に基づき、都道府県知事から改善勧告や命令が出されることがあります。その命令に従わない場合は第十九条に基づき業務停止命令ができます。2015年8月29日当該カフェの責任者から電話をいただき、話をしました。 「出来るところは改善したい」とのことで、追って回答をくれるとのことです。また、その後入った情報によると「鳥類の止まり木は太さがバラバラである自然木のほうがよい」そうです。 鳥類の専門家によると「同じ太さということは、足の裏に同じ部分がずっと当たっている状態で、これが長期化すると趾瘤症という病気になるから」とのこと。 この点についても追加で当該カフェへ知らせ、改善を求めています。2016年1月 所管の動物愛護管理センターへ通報当該カフェと何度か電話で意見交換しましたが、「個体間の距離を広くした」こと以外に具体的な改善をしていただけないため、動物愛護管理センターへ通報。 リーシュ(足かせ)展示について、違法に当たる懸念があり、止めるよう指導してほしい旨を伝えたところ、現地に視察に行ってくださいました。「展示動物の飼養及び保管に関する基準」には下記のように書かれています。動物園動物又は触れ合い動物の飼養及び保管を適切に行う上で必要と認められる場合を除き、本来の形態及び習性を損なうような施術、着色、拘束等をして展示しないこと。(太字はARC)しかし動物保護に関するどの法令にも、繋ぎ紐(リーシュ)の長さなど具体的な数値はありません。最終的な判断は各自治体の愛護行政にゆだねられることになります。どういった判断になるかと考えていたところ、約一か月後「視察に行った」との連絡をいただきました。 結果、リーシュ(足かせ)展示そのものについては止めるよう指示してもらえませんでした。しかし現在の展示したままでカードをたてて「休憩」とするやり方については指導してくださり、バックヤードでつながないで休憩させるように指示したとのこと。また休憩時間外でもストレスを感じているフクロウは休憩させるようにも指示したとのことでした。 休憩方法については15羽を1/3ずつくらいに分けて長めに休憩させるよう伝えたとのことです。 そして、(これが重要ですが)指示したことが改善されたかどうか、また抜き打ちで調査に行ってくれる、とのことでした。クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Articleモー信じられない!牛乳のウソ&ホント Next ArticleGood News!!!GUESS?がアンゴラ廃止を宣言! 2016/02/15