三重県多度大社の上げ馬神事は、大きな議論を日本中に巻き起こし、告発もされ現在捜査中となり、大きな転換点を迎えています。アニマルライツセンターは公益財団法人動物環境・福祉協会Evaとともに三重県知事と県動物愛護担当者と面会し、動物を利用しない形態への移行とそれができない場合には大幅な改善案を提示しました。しかし、決定権は多度大社および祭りを主催する御厨総代会にあります。そこで、私達は8月に御厨総代会に対し、対話のための面会を依頼していました。残念ながら、検討はしたが面会できる状態にないとして、対話を拒否されました。その後、メディアは多度大社側が改善案をまとめたとし、以下の改善策が報じられました。坂を上るまでの馬場が砂利交じりで硬いため馬の脚に負担にならないような素材を使う坂の距離を延ばして急坂をなだらかにする坂を盛り上げ、土壁を1メートル程度の高さに低くする垂直の土壁を25度ほど進行方向側に傾ける私達は、専門家の意見も聞いた上で、この改善策の場合、継続して馬が怪我をしたり死亡させられる恐れがあると判断しました。また、生きた動物の利用を継続する場合、より多くの事項を改善していかなくてはならないはずであり、報道された内容だけでは不透明と言えます。アニマルライツセンターとEvaは11月9日付けの手紙で、再び懸念を伝えるとともに、対話の場を設けることを依頼しました。送付した内容令和5年11月9日多度大社 御厨総代会 殿公益財団法人動物環境・福祉協会Eva代表理事 杉本彩NPO法人アニマルライツセンター代表理事 岡田千尋拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申しあげます。過日は丁寧なお返事の文書をいただき、私どもの提案についてもご検討くださったとのこと、感謝申し上げます。日経新聞では、「馬にも人にも安全な形で、時代に合わせた神事を行えるよう改革する」との発言も拝読し、動物への配慮に対して前向きな姿勢をお示しくださったことにも感謝しております。とはいえ、お会いしての対話ができないことをわたしたちは残念に思っています。「現状においてお会いできる状況にない」とのご回答でしたが、改善方針を県に対して提示されたとの報道もございましたため、年末前に対話の機会をいただけますよう、再度のご検討をお願い致します。またこの度は、報道された改善方針についての懸念をお伝えしたく、再度ご連絡をいたしました。※わたしたちが報道により把握できている改善内容は以下のものです。坂を上るまでの馬場が砂利交じりで硬いため馬の脚に負担にならないような素材を使う坂の距離を延ばして急坂をなだらかにする坂を盛り上げ、土壁を1メートル程度の高さに低くする垂直の土壁を25度ほど進行方向側に傾けるわたしたちは、今回の改善方針では、馬だけでなく人も含め、これまでと変わらず、またはこれまでとは異なる事故、怪我、アニマルウェルフェアの著しい低下が見込まれるものと考え、再考をお願いしたいと考えています。懸念点1:土壁が残されていること馬術競技等、たとえ数年、数十年かけて訓練したとしても、1メートルの高さを飛び越えることで死亡するケースがあります。ましてや、短期間の限られた時間での訓練では、技術が伴わず人も馬も危険が高いと考えられます。また壁を1メートルにすることで、挑戦してしまう馬の増加が想定されます。馬は色彩への反応も鈍いため、坂と壁の区別がつきにくく、また1メートルの壁が目の前に来た時には視界から外れることで壁に追突し骨折する危険性や追突の衝撃で人が投げ出される可能性も高いとの指摘もあります。懸念点2:角度がなだらかになったとしても坂が残ること坂の距離を伸ばしてなだらかにするとの案ですが、現状、どの競技でも馬がジャンプする際の地面は平らであり、登り坂の途中に飛び越えないとならない障害があることは考えにくく、前方に傾げることが出来ない馬の足の構造上、失敗の可能性や足を痛める可能性があります。懸念点3:その他の改善点が不明例えば獣医師の待機、馬運車の待機、走路に入る人員の整理、観客の位置、竹棒やハミの扱い、トレーニングの改善などについて不明であり、懸念が残ります。その他楠の周りを回らせる際にも不適切な状況が生み出されていることもわかっており、そもそもの馬の扱い方、人々の意識にも問題があるように見られます。わたしたちは引き続き、生きた動物を使わない形での文化継承を願っております。もし生きた動物を利用するまま改善されるとすれば、良好なアニマルウェルフェアが保たれ一切の残酷さがないレベルまで引き上げて頂く必要があります。それは、長年の批判があったにも関わらず改善が進まなかったことと、本年の開催後の対応や決断も遅かったことなどから、社会的なハードルが上がっていることを認識しておく必要があると思われます。社会の理解を得るだけでなく、今回の改善が社会から高く評価され、多度大社とその地域の新しい魅力になるような英断をしていただくことを期待しています。まずは対話の機会をご検討いただき、ご回答頂きたく存じます。対話の機会をいただけない場合は、文書での改善策の詳細についてお教えいただくとともに、わたしたちの懸念に対しての解決策をお教えいただけますようお願い致します。写真:Evaクリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Article10月のアクショングループ活動報告 Next Articleアニマルフリーへの転換期 2023/11/13