糸満ハーレーは糸満市の指定文化財に指定されています。しかし、プログラムの中のアヒル取り競争には、毎回、動物への身体的な暴力、および、動物に対する極度の心理的抑圧が加えられます。2017年に糸満市教育委員会に対して要望を行った際には、「審査する際に、動物の扱いに配慮しているとの報告があったため指定した」と説明しました。しかし、形上の配慮はあれど、実際には環境省が示す動物虐待の定義に当てはまる状況であり、その”配慮”はまったく足りないことが明白です。この状況に対し、糸満市教育委員会はこれまでまるで無関係かのように静観していました。一方で三重県の上げ馬においては、三重県教育委員会が改善を求める建議を発出し、足りないとは思えど、その責任を果たそうとしています。糸満市の糸満市文化財保護条例では、教育委員会が「指定又はその認定を解除することができる」ことを定めており、また教育委員会が「現状又は管理、修理若しくは環境保全の状況につき報告を求めることができる」と定めています。糸満市教育委員会は、条例のとおり、この責任を果たす必要があります。糸満市に対し、下記の要望を郵送で提出しました。糸満市長 當銘 真栄 殿 糸満市教育委員会 御中2023年10月14日指定文化財「糸満ハーレー」の管理の報告を求める要望書 認定NPO法人アニマルライツセンター東京都渋谷区宇田川町12-3ニュー渋谷コーポラス1009代表理事 岡田千尋時下ますますご清栄のことと、お慶び申し上げます。平素は動物福祉に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。私たちは、アニマルウェルフェア(動物福祉)を向上させるべく活動する動物保護団体です。アニマルウェルフェアとは動物の飼育や取り扱い方法を、その生態に即した適正な方法に変えることで、動物が動物らしい一生を送り、社会や環境、衛生面にもよい影響を与え、社会の持続可能性をも高める取り組みです。貴市の指定文化財として登録されている「糸満ハーレー」ですが、御存知の通り、そのプログラムの一部にアヒル取り競争が含まれており、このプログラムの中で動物虐待罪を構成する可能性のある行為が散見されています。糸満市文化財保護条例によると、市指定文化財の管理者に対し、管理、修理若しくは環境保全の状況につき報告を求めることができるとされています。これまで、糸満市教育委員会では、貴会が指定している文化財であるにも関わらず、内包される動物虐待について、申請者の責任であるとして、静観されています。しかし、申請を受理し、無形民俗文化財として指定している主体者は、間違いなく、糸満市教育委員会です。動物虐待の罰則に当たる可能性のある行為が過去にも、そして今年の開催時にも散見され、さらには、罰則に当たらずとも動物愛護及び管理に関する法律に違反する行為は更に多く行われています。申請者がどのように答えるかではなく、事実として、違法行為があるのです。三重県多度大社での上げ馬神事も同様に三重県の文化財ですが、三重県教育委員会は、主催者に対して改善を求める建議を発出し、その責任を果たしています。糸満市教育委員会においても、文化財指定を行った責任を全うし、糸満市文化財保護条例 第14条の報告を、糸満ハーレー行事委員会に対し求めてください。また、動物虐待があると認められた場合には、第5条にある文化財の指定解除を行ってください。第5条には、解除は教育委員会が行うものと規定されており、申請者が行うものなどという手続きは明記されていません。企業においても、自社だけでなく取引先や原料の調達元を含めたガバナンスは当然守るべきものとして、社会は変わってきました。法律を守るということは、企業よりも行政はより強く求められるのは当然のことです。リスクを予見し事前に対応できないことが、最大のリスクです。つまり、本来ならば、動物虐待に当たる可能性があるだけでなく、その噂があるだけでも、即座に対応をはじめることが求められる時代なのです。早急に動物虐待の芽をできるだけ早く摘んでいくことが、糸満市民、糸満市の産業、ひいては糸満の伝統自体を守っていくことになります。ご検討いただき、ご対応いただけますよう、お願い致します。本要望に対するご検討の結果と、ご対応方法について、10月末日までにご回答くださいますよう、お願い致します。敬具回答送付先150-0042 東京都渋谷区宇田川町12-3ニュー渋谷コーポラス1009認定NPO法人アニマルライツセンター代表理事 岡田千尋糸満市文化財保護条例より抜粋第5条 前条第1項の規定により指定された文化財(以下「市指定文化財」という。)が市の区域内に所在しなくなった場合、市指定文化財としての価値を失った場合又はその保持者等が心身の故障のため若しくは団体の存続が不可能となったため保持者等として適当でなくなったと認められる場合、その他特殊な事由があるときは、教育委員会は、その指定又はその認定を解除することができる。2 前項の規定による解除には、前条第5項の規定を準用する。3 前項で準用する前条第5項の規定による指定又は認定の解除の通知を受けた者は、すみやかに当該指定書を教育委員会に返付しなければならない。4 市指定文化財が県又は国の指定を受けたときは、当該指定の日から市の指定は、その効力を失なうものとする。(報告及び調査)第14条 教育委員会は必要があると認めたときは、市指定文化財の管理者に対し、当該市指定文化財の現状又は管理、修理若しくは環境保全の状況につき報告を求めることができる。羽を切った、泳いだこともない、海には生息しないアヒルを海に放り投げる これが糸満市が指定した文化財かクリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Article敵を動物に例える非人間化はジェノサイドの予兆:動物への差別をなくそう Next Article日本のケージフリー飼育の鶏の割合は1.11%、ケージ飼育が98.89%(2023年調査結果) 2023/10/19