Ⅰ:セキセイインコ2002年10月、地域情報誌『ショッパー』の相模原、座間、大和版の紙面やホームページ上に、社団福祉法人 こどもの国協会・雪印こどもの国牧場主催で「セキセイインコをプレゼント」というイベント案内が掲載されました。この企画は、セキセイインコを5組つがいで(籠付き)プレゼントするというもので、希望者は往復葉書で申し込み、抽選の結果、11月3日の贈呈式で渡す計画でした。 この企画に対し、10月7日にアニマルライツセンターは、雪印本社に電話で中止の要請を行ないました。「事情を調査し、今日中に結論をだし、連絡します」との対応を受けました。そして10月8日、このプレゼント企画中止になりました。 株式会社雪印こどもの国牧場では、動物に触れる機会を作ろうと考え、また、子供たちへの情操教育の一助として、このプレゼントを企画したそうです。しかし、動物を物として扱っている『プレゼント』企画は、子供の情操教育という面では全く逆効果であり、同時に倫理に反する行為であると思われます。また、当選者が適切な飼養ができるか、終生飼養ができるかは大いに疑問です。このように集客数拡大のために、動物を利用することは許されることではありません。今回、こどもの国牧場の企画はARCや個人の働きかけにより中止になりましたが、今後もこのような悪質な企画が立てられる可能性は充分にあり得ます。 動物をプレゼント、景品などにする企画がありましたら、お知らせください。同時に会員の皆様からも中止の要望をして下さいますよう、お願いいたします。Ⅱ:牛こどもの国牧場では、乳牛約60頭がいます。牛たちは日中は放牧され、乳搾り体験のため、駆り出されます。生後間もない子牛2頭は母牛から引き離され、それぞれ単独房に入れられ、人間との触れ合い(人間から哺乳瓶でミルクをもらうなど)を強要されています。 動物を人間のために奉仕させる現場を見学することが、子供たちにとって真の教育となるのでしょうか。こどもの国牧場では、日中は大体の牛は狭い範囲内で放牧されていますが、夜は牛舎に短い鎖で繋がれます。そのため、牛の上部にはカウトレーナーが設置されています。カウトレーナーとは、つながれた牛の糞尿が糞尿溝に落ちずに牛自身が汚れてしまうのを防ぐため、または清掃の効率化のために、牛が放尿姿勢をとる際、前に出すぎると、牛の上部に預けられた電気の流れる金属(写真1参照)にあたるという装置です。Ⅲ:動物園こどもの国牧場には動物園も併設されています。 キツネ:10M×5Mほどの目の細かい金網(上部も覆われている)の中に、たった一匹のキツネが飼育されています。地面はコンクリートで全て固められ、台がいくつか置かれているだけの質素な空間です。 ニワトリ:1.5M×1Mほどのニワトリ小屋(食用と思われる)は、ビニールで覆われており、中の様子を見ると、およそ30羽のニワトリがひしめき合っていました。ほぼ全てのニワトリがストレスなどによって自らの羽をつつき、羽が抜け、赤い肌が剥き出しになっています。 ウサギ:うさぎは日中は「ウサギ、モルモットのふれあい広場」(コンクリート敷き、20M四方ほどの広さで、ウサギにとっては迷路のようになっている)に入れられます。夜は、広場に入れておくと逃亡する恐れがあるため、捕まえられて小さなケージに収容されます。 シカ:30頭あまりのしかが30M四方の斜面を利用した柵に収容されています。繁殖制限はされておらず、その代わり、雄は1頭しか残されないと説明されました。その一頭のオスの角は切断されていました。 その他に、ロバ、アライグマ、タイワンリス、オウム、クジャクなどが飼育されています。こどもの国牧場に対しては、改善及び段階的動物の削減を求める要望書を提出いたします。動物園の存続意義を問うまず、野生動物を捕獲し囲いの中で飼育する事がどういうことなのか理解しなくてはなりません。自然の中から引き離され、長距離の過酷な移動に耐え、柵に囲まれた自由のない異質の空間で自然の行動パターンを奪われた状態で飼育され、時には食べ物を餌に厳しく調教されます。動物たちが神経に異常をきたすこともしばしばみられます。 動物園の存在意義を確立するためには、彼らが奪われた多くの権利にも勝る重要性がなくてはなりません。 動物園の挙げる存在意義は、娯楽、教育、種の保存があります。 1.娯楽を提供する事によって(提供するのは動物園でなく動物だけど)、動物園を訪れる人を楽しませ、動物園は利益を得ます。しかし、娯楽は、動物たちの権利を奪い、苦しめる正当な理由にはなりえません。 2.よく、「動物愛護思想の普及をはかること」が動物園の目的になっています。監禁状態にある動物たちを前に動物愛護の思想を普及させるというのは一体どういったことでしょうか?動物を憐れむ心を育て、絶滅に瀕した動物が動物園で生きていけることを知ることで動物愛護思想が育つのでしょうか? 「生命の共存や自然との調和を学ぶ」ことも謳っておりますが、それをどのようにどこから学ぼうというのでしょうか。動物の生態について知ってもらうという意見を挙げることもあるかと思いますが、動物の生態はその動物がしかるべき場所にあってはじめてわかるもので、動物園の狭い範囲内では正確に知ることはできません。間違った知識を植え込む危険性があります。 また、動物園と言う特殊な環境は、人は自然を支配し、動物は人に奉仕するために存在する道具なのだという間違った自然観を植え付ける危険性があります。人も自然、地球、動物の一部であるということを学ぶことはできません。 3.「囚われの身の動物における遺伝子的多様性の欠如が、動物園の繁殖プログラムにとって深刻な問題である」(動物の権利) 近親勾配によって死亡率が通常の6倍以上高い種もあるといいます。 Aという絶滅危惧種がいたとして、Aの遺伝子を残すために動物園で飼育することになります。動物園で飼育される事になった数頭の不運なAたちの生涯を犠牲にして、いつか自然に戻すことができるかもしれないのだからAのためだと主張することができるのでしょうか?人工的な場所に監禁されて生き続けるのであれば、自然に任せたほうがその動物にとってはましだと言えないでしょうか。 動物園に費やされる財源と知識を動物が生息地保護にまわすことこそが種の保存なのはないでしょうか。 さらに、動物園では絶滅に瀕した動物より、瀕していない動物が繁殖されている。人工繁殖に成功したということは動物のためとは言えず、研究者、動物園の利益にしかなりません。クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Article動物病院に行く前に知っておいてほしいこと Next Articleペットフード 動物実験の有無の調査 2002/11/06