たった一人で、孤独な状態で自由のない檻の中で、50歳、60歳まで生きるとしたら、あなたは耐えられるだろうか。日本にはそういうゾウがまだ多数いる。たとえ、今現在、2頭、3頭、5頭で飼育されていたとしても、ゾウは動物園で次々と死んでいく。イルカと同じ、たまたま強い生命力を持った一頭だけが、ひたすら長く、生きる。社会性が高い動物たちにとって、仲間がいないことは、それだけで虐待的な飼育だと言える。多くの動物種の中でも、長く生き、他のどの動物よりも脳が大きく妊娠期間も長いゾウにとって、人間の支配下での、動物園での生涯は辛いものとなる。これに関しては、日本動物園水族館協会も2017年に「単独飼育ゾウの環境改善について」というゾウの単独飼育を「複数頭の飼育が肝要である」ため改善を促す声明を出している。私達はゾウを手放してほしい、タイのサンクチュアリに送ってほしいことを要望してきた。それができない場合、最低限、今飼育しているゾウのエンリッチメントとそのゾウが死んだ後は二度とゾウを飼育しないことを求めている。これまでに、おびひろ動物園、桐生市動物園(すでに死亡)、井の頭自然文化園(すでに死亡)、遊亀公園動物園は今いる象が死亡した後(2箇所はすでに死亡)は、象を飼育しない方針であることを確認している。姫路動物園にいる姫子に関しても同様の要望を行っていたところ、回答をいただき、サンクチュアリへ送ることは考えられていないが、エンリッチメントの努力と姫子が亡くなった後はゾウを飼育しないとの意思を確認することができた。今いるゾウが死亡した場合、現在の施設でゾウを飼育することは難しいと考えており、新たに入手する意思はありません。今の姫子は2代目だ。1代目は大変大変、悲惨な運命をたどっている、ぜひ検索してほしい。なぜ2代目の姫子をたった1頭の状態で飼育し始めてしまったのか、悔しくてならない。姫子自身を救えず改善を促すしかない状態があと何十年続くのか、と憤る人もいるかも知れない。しかし、どこかでストップしなければ3代目が来るのだ。他の動物園の多くは、飼育を諦める決断をいまだにしていない。適切に飼育できないことが明白であるにも関わらず、だ。皆さんからも、近くの動物園、日本全国の動物園に、ゾウをもう二度と新たに導入しないでほしいこと、行動エンリッチメントをもっと多く取り入れてほしいことを伝えてほしい。今、声をあげていかなければ、円山動物園のように新たにゾウをいれるという倫理に反した、時代遅れな結果になってしまうのだ。アニマルライツセンターから姫路動物園への要望書2019年9月5日姫路市長 清元 秀泰様象の飼育に関する要望書私たちアニマルライツセンターは人と動物が穏やかに共存できる社会を目指し1987年から活動を続ける認定NPO法人です。2016年5月末、東京にある井の頭自然文化園の象はな子が亡くなったことは、日本、および世界で大きな話題になりました。日本国内の声と世界の声の内容は少し異なり、世界中がはな子の飼育環境の悪さに驚き、改善を求めていました。しかし、改善はなされないまま、はな子の長い人生は終焉を迎えました。貴市が管理されている姫路市動物園にも、1972年から飼育されている孤独なアジアゾウの姫子がいます。その飼育環境、飼育方法は、はな子と同じではありませんが、本来の象の習性、姫子の見世物として使役される人生を考えると、これまで以上に改善の必要があるものであると私たちは考えています。象の特性、本能、欲求を理解したうえでの改善をお願いいいたします。 象を長年飼育し続ける貴市は、私ども以上に象を理解しておられるものと存じます。しかし1代目の姫子の生涯や、2代目姫子をたった一頭で1994年に導入したこと、また現在の姫子の様子を見るにつけ、象の高い社会性、多様な習性をご理解いただけていないのではないかと考えられるのです。象は一日16~20時間活動を続け探索しながら採食し続ける動物です。活動時間の90%以上を採食に費やしています。残りの時間を使って、水浴びをし、泥浴びや砂浴び、仲間とのコミュニケーション、睡眠などを行います。 この行動欲求を満たすことが重要で、退屈であることは象を精神的に追い詰めます。 アジアゾウの発する低周波は、1.6km先にまで届き、それだけ広範囲の移動やテリトリーを前提としています。 社会性、群れとのつながり、家族との愛情がとても強く、特に雌はともに子育てを分担したり、仲間を看病するなど、人間と同等もしくはそれ以上に愛情深い動物です。時には雄も他の雄と小さなグループを作ります。 アジアゾウは熱帯林、草原で暮らしており、高地にも登ります。さらに長距離を泳いで移動することも可能です。 人間と同程度に長い寿命の間、自然界の象は多様な人生を歩みます。人間よりも長い22ヶ月間の妊娠期間を経て生まれた象は、約4年間の母親による子育てとその後の15才程度で成人するまでの成長を群れの中で支えられます。伴侶を見つけ、子を産み、育てます。その人生はまるで人間と同じ経過時間をたどります。以下要望いたします。要望1:象の姫子を手放し、海外のサンクチュアリ、又は群れ飼育が可能な施設へ移動させることメスの象は群れで暮らし、長いライフサイクルを群れの中で過ごし続ける動物です。1頭で人間に飼育され続けること自体、あってはならない状況であることは当然ご存知のものと思います。象の行動範囲は広く、適切なアニマルウェルフェアを提供するためには貴動物園のすべての面積でも足りないでしょう。アメリカにある象のサンクチュアリは屋外設備1群40万㎡(東京ドーム8.6個分)、屋内設備だけでそれぞれ1800㎡あります。トロント動物園は4000㎡の象の飼育場であったにもかかわらず、象に適切な飼育環境を与えられないことを理由に2013年に象を手放し、サンクチュアリに2頭の象を送り出しました。適切な環境を用意できない中で、動物を飼育することはアニマルウェルフェアを著しく損ないます。多くの動物園が、象の飼育を諦め、手放す選択をしています。国内でも、おびひろ動物園、桐生市動物園、井の頭自然文化園、遊亀公園動物園は今いる象が死亡した後(2箇所はすでに死亡)は、象を飼育しない方針であると回答しています。日本動物園水族館協会も2017年に「単独飼育ゾウの環境改善について」というゾウの単独飼育を「複数頭の飼育が肝要である」ため改善を促す声明を出しています。北米にあるサンクチュアリは日本からの象を受け入れることはできませんが、アジアゾウの生息地でもあるタイなどのサンクチュアリは、日本の象を受け入れることができる所もあります。どうか、20年という長い歳月、市民のために奉仕してきた姫子を、使役から解放し、彼女自身の生き方を尊重してください。1代目の姫子の無残な様子を2代目の姫子と重ねられるのは不本意かもしれませんが、貴市は2頭合わせて実に68年に渡り、象を孤独にしながら使役しています。近年は動物園自身が教育につながることを強く打ち出していますが、生態に反した姿を子供のうちから見せ続けることは、国内のすべての動物の福祉に悪い影響を及ぼします。要望2:施設面と行動面でのエンリッチメントを行うことまたエンリッチメントに必要な人員を補充し、トレーニングも行うこと姫子はストレスの発現である常同行動をしています。その様子を観客が笑って見ている様子は、恐ろしいものです。監禁されている動物である社会的弱者の苦悩を、大人も子供も楽しんで見るという行為は、貴市が思い描く未来に合っているものなのでしょうか。いじめられている子供を、別の子供や大人が笑って見ているようなものです。象は精神的に一層追い詰められていきます。エンリッチメントの方法について、別紙資料をご覧ください。要望3:姫子を手放した後又は姫子の死亡後を含め、新たな象を飼育しないことどうか、残りの寿命を、人間の楽しみのためではなく、姫子自身のために使えるよう、取り組みを検討してください。上記3点の要望についてご検討いただき、貴市のお考えを下記連絡先までご返答くださいますよう、お願い致します。 クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Article馬への竹での鞭打ち、やめて。愛知県高浜市 Next Articleにわとりの魅力 コンテスト結果 #CageFreeJapan 2019/10/04