G7会議の広島開催にあたり、ヨーロッパでロビー活動を専門で行う動物福祉団体Eurogroup for Animalsと、英国最大の動物福祉団体である英国王立動物虐待防止協会(RSPCA)と、日本で畜産動物福祉向上に取り組むアニマルライツセンターは、採卵鶏のケージ飼育廃止を求める声明を出しました。声明:日本はケージフリー飼育に切り替える必要性がある世界は鶏のために変化しています。世界で需要が高まっているため、KFC、バーガーキング、ネスレなどの世界的な大企業130社以上が、ケージ飼育の鶏卵の調達廃止をグローバル拠点での方針として表明しています。実際に地域ごとの変化があり、例えば米国では、ケージで飼育される鶏の割合が2016年の90%から現在は65%に減少しており、今後5年間で30%程度まで減少する可能性があると予測されています。イギリスやEUでも同様の変化が起きており、EUでは2027年までに家畜動物のケージを段階的に廃止する法律の導入が約束されています。一方、日本は家畜福祉において、他のG7諸国から大きく遅れをとっています。ワールド・アニマル・プロテクション (WAP)の動物保護指数には、家畜動物の保護には「A」から「G」のランク評価があり、日本は「G」評価となっています。日本の採卵鶏の飼育の94.3%が、怪我の要因になったり、羽を広げるなどの自然行動がとれないバタリーケージ(過密なワイヤー製のケージ)を使用しています。またデビーキング、強制換羽が行われ、屠殺前の気絶処理も義務付けられていません。5月に広島で開催される予定のG7サミットは、日本はケージフリー鶏卵生産への世界的な移行を支援することを約束し、家畜福祉に関する評価を高める機会です。サステナビリティのグローバルリーダーである日本は、劣悪な家畜福祉基準が環境、気候変動、生物多様性を損なうことを認めなければなりません。ケージの卵の生産方式は、大気汚染や水質汚濁、森林破壊、生物多様性の損失、化石燃料の使用など、甚大な生態系へのダメージを与える要因の一つになります。また、食の安全や抗菌剤耐性への影響もあります。欧州食品安全機関(EFSA)によると、ケージ式の生産現場はサルモネラ菌に汚染される可能性が25倍も高いといいます。汚染、生物多様性の損失、気候変動による人間、自然、動物の存亡の危機、さらにコロナによる経済、社会への破壊的な影響は、日本が動物との関係を見直すことが急務であることを示しています。米国やEUの変化、大企業のグローバルなコミットメントは、世界がケージシステムから急速に脱却しつつあることを示しています。日本が出遅れないためには、早急に対策を講じる必要があります。例えば、農林水産省は、ステークホルダーと協働して、ケージフリー飼育への移行を含む家畜福祉ガイドラインを作成し、移行を支援していくべきです。また日本は他国の経験を活用すべきです。注目すべき点は、日本のEUとの自由貿易協定に家畜福祉に関する協力の仕組みが含まれていますが、十分に活用されていません。EUは2012年にバタリーケージを禁止し、2027年までに完全なケージ禁止を約束していることから、その経験を日本と共有し、日本政府とともにケージフリー飼育への移行方法に向けて、生産者向けの支援や研修を実施することができます。また、国際的な銀行が持続可能な金融を通じてこの変化を支援するよう、協力関係を築くことができます。欧州議会のフランシスコ・ゲレイロ議員は、「日本の家畜福祉、特に採卵鶏については改善の余地があります。日本の持続可能性への約束は、家畜福祉を向上させることで強化されます。このステップは、EUが経験とノウハウを共有することで支援できます。」と述べています。政治において意志と資源があれば、日本は家禽の家畜福祉基準を向上させることができ、その結果、将来の危機に対する回復力を高め、持続可能性に関する世界のリーダーとしての評判を確固たるものにすることができます。このような行動は、人間と動物の将来の見通しを向上するために取るべきステップです。Eurogroup for Animals Political Affairs Manager Stéphanie GhislainRoyal Society for the Prevention of Cruelty to Animals Head of International Paul LittlefairNPO法人アニマルライツセンター 代表理事 岡田千尋クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Article超過密なイワシ展示、九十九里町からの回答 Next Article「将来肉食べられなくなるから…」企業の植物性タンパク質への取り組みでは地球が救えない理由 Comments (0)コメントを残すコメントをキャンセル 2023/05/19