動物愛護の制作の方針を決める基本指針を改正するため、鑑賞が意見の募集(パブリックコメント)を行っています。この基本指針にそって環境省がその後5年間の動物愛護行政を組みたてて行くものであり、またこの基本指針にそって地方自治体が動物愛護推進計画を策定するという、非常に重要な位置づけのものです。この基本指針が適正なものでなければ、5年後の基本指針の改正があるまで、環境省も地方自治体も不適正な動物愛護行政を繰り広げることになります。意見を送ろう締切は2020年2月28日(金)であり、あと3週間です。皆さまからも動物たちを守るための意見を送ってください。動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針の改正案に対する意見の募集(パブリックコメント)についてアニマルライツセンターでは、動物実験の廃止を求める会とPEACE 命の搾取ではなく尊厳をの3団体で意見をまとめ、提出します。最下部にその意見一覧を掲載しました。私達3団体の意見は多岐にわたっていますが、以下にぜひ意見してほしいポイントを数点挙げます。どちらを参考にしてくださっても、皆さま独自の意見でも構いません。・現在の(古い)基本指針と、今回作成された新しい基本指針案の比較表はこちらから(PDF)1:日本独自の動物観ってなに?!今回の基本指針には、むやみに「日本独自の動物観」という概念、言葉が出てきますが、これには全く決まったものがなくどうとも捉えられ、公式文章に記すには危険極まりないものです。環境省は、動物を管理するために都合の良い部分では「個々人における動物の愛護及び管理の考え方は、多様」だとし、一方で海外からの進んだ規制を取り入れなくてはならない部分では「日本人の動物観の特質」などと都合よく言葉遊びをしています。この都合の良い使い方によって、基本指針自体が矛盾した内容をはらむことにもなっています。「動物観」は一部の独特な研究者に好まれる研究材料であるようですが、多くは実際を反映しない非常に独善的な内容であることが多く危険です。また環境省の持つ「動物観」は基本的に猫を殺処分し動物が人の社会を自由に歩くことを許さない管理主義的な考え方であることは間違いがありません。一方で国民の動物の捉え方は多様です。動物観という言葉自体、造語で一般的なものですらありません。はたして、「動物観」は基本指針に入っていて然るべきものでしょうか?宗教観でも入れるのでしょうか?非常に曖昧です。下記が意見と変更すべき理由です。※変えるべき箇所が2箇所あります。該当箇所意見内容理由第1 動物の愛護及び管理の基本的考え方 P6 L10~12 (合意形成)日本人の動物観の特質や海外との違いを踏まえ、人と動物の関係についての丁寧な議論の積み重ねが重要である。国際状況との比較や、人獣感染症及びワンヘルスといった社会の持続可能性に係る課題を踏まえ、人と動物の関係はどうあるべきかについての丁寧な議論の積み重ねが重要である。l 日本にいる動物と、海外の同種の動物で、生物学的な性質がことさら違っているわけではない。動物が生理的に求める欲求を、日本人だから無視してよいなどということもない。「日本人の動物観の特質」などといった、十分に精査されていないものを前提にするべきではない。l 「日本人の動物観」とはそもそもなにか全く不明。P5 L16にご指摘の通り「個々人における動物の愛護及び管理の考え方は、いつの時代にあっても多様であり続けるものであり」、またP7 L1やP10 L7等にご指摘の通り「国民の動物に対する考え方は多様」である。l ステレオタイプの「日本人の動物観」は、特定の思想傾向のある人々に好まれるテーマであるが、実際には日本人の動物観は千差万別であり、現実を反映していない場合も多い。世論調査などの裏付けもない、「識者」の個人的な印象が幅を利かせている現状がある。l アニマルウェルフェアを科学的に実現するためには、個々の文化における動物観を改める必要がある場合もある。例えば、仏教においては、悪い行いをした者は畜生道に堕ちるといったことが説かれたが、これは裏を返せば、動物は悪人の生まれ変わりであり、苦しむのは当然だと日本人が考えていることの裏付けになっている可能性がある。しかし、このような科学的ではない動物観を前提に政策を考えることがよいことなのだろうか。l 多様な動物の見方を踏まえることには無理があり、また多様性や変化を認めるとする一方で「日本人の動物観」を定義しようとすることには矛盾が生まれており、ここで「日本人の動物観」を踏まえるとすることに強い違和感がある。日本と海外について検討するのであれば、必要なのは国際状況との比較であり、そのような文言に修文するべきである。l 改善へ向けた議論に時間が割かれるべきであり、現状の関係の分析にばかり時間をかけるべきではないため、「関係はどうあるべきか」という、方向性を持った表現にすることを要望する。l 国際状況に関しては、SARS、MARS、新型コロナウイルスなど、人々の健康・安全を脅かし、社会を恐怖におとし入れる感染症が人間の動物利用に起因していることを踏まえる必要がある。また工場畜産により、環境汚染や、気候変動リスクの上昇、薬剤耐性菌問題等が引き起こされており、動物の取扱いは、地球環境や社会の持続可能性を奪いかねない問題にも直結している。l 「人と動物の共生する社会」を目指すのであれば、動物観といったあやふやで無意味なものではなく、人の健康や社会の持続可能性に影響をもたらす課題を理解した上で、合意形成を行わなくては誤った合意に達しかねない。 該当箇所意見内容理由第2 今後の施策展開の方向1 基本的な視点(2)長期的視点からの総合的・体系的アプローチP7 L15~P8 L2 また、動物の愛護及び管理の分野においても、科学的・客観的な知見等の収集と政策の目的や効果の明確化を行い、適切な情報共有を通じて証拠に基づく政策立案(EBPM;Evidence Based Policy Making)を推進していくことが求められている。各種施策を着実に進めていくためには、長期的に、かつ科学、法律、倫理・動物観、生活・経済等の多角的な視点から動物の取扱いを検討し、できる限り定量的かつ客観的な内容を備えた目標及びその達成手段等を設定して総合的かつ体系的に取組を進めていく必要がある。また、動物の愛護及び管理の分野においても、科学的・客観的な知見等の収集と政策の目的や効果の明確化を行い、適切な情報共有を通じて証拠に基づく政策立案(EBPM;Evidence Based Policy Making)を推進していくことが求められている。各種施策を着実に進めていくためには、長期的に、かつ科学、法律、倫理・動物観、多様性、生活、経済等の多角的な視点から動物の取扱いを検討し、できる限り定量的かつ客観的な内容を備えた目標及びその達成手段等を設定して総合的かつ体系的に取組を進めていく必要がある。l 「合意形成」の箇所でも述べたように、日本人の動物観は多種多様であり、世論調査などの裏付けもない。ここに「動物観」を入れることは、EBPMの推進と相反するため、削除するべきである。l 動物の取扱いに関して個々が持つ「動物観」つまり動物の見方という曖昧模糊なものを考慮することは偏向した結果を招きかねない。l 倫理は社会的に認められた言葉であるのに対し、動物観は言葉自体の認知もなく、これら2つを並列することはおかしい。l P5 L16にご指摘の通り「個々人における動物の愛護及び管理の考え方は、いつの時代にあっても多様であり続けるものであり」、またP7 L1やP10 L7等にご指摘の通り「国民の動物に対する考え方は多様」であるため、「動物観」ではなく、「多様性」とすべきである。2:動物との触れ合いが必要?!やめて・・・環境省の案には、動物とのふれあいが子供の健全な育成に効果があるという指摘があると言っていますが、根拠は書かれていません。動物とのふれあいというのは往々にして人が一方的に動物を利用し”お触り”する行為であり、動物の適正な飼育管理、アニマルウェルフェア、動物愛護、どれも学ぶことができません。これは削除すべきと考えます。該当箇所意見内容理由P10 L14~18①現状と課題 また、生命尊重、友愛等の情操の涵養の観点から、特に子どもが心豊かに育つ上で、動物との触れ合いや家庭動物等の適正な飼養の経験が重要であることが指摘されており、適正な方法による機会の確保が求められている。 また、生命尊重、友愛等の情操の涵養の観点から、特に子どもが動物に対してやさしさを持つことや習性等についての正しい知識、適切な接し方を学ぶ経験が重要であることが指摘されており、アニマルウェルフェアや人獣共通感染症に配慮した適正な方法による機会の確保が求められている。l 普及啓発には、生きた動物を直接触らせる「触れ合い」やペット飼育が必ずしも必要ではない。子どものための出張授業で動物同伴をやめた自治体もあり、動物のストレス等を考慮し、動物を利用しない方法での普及啓発、教育の機会を優先すべきである。l 「指摘されて」いるのであれば、だれがどのような場で指摘しているのか、その根拠を示すべき。l 動物との触れ合いがない子どもが心豊かに育たないとも受け取れ、心豊かに育つことと動物の触れ合いを関連付ける記述を削除すべき。l 子どもを動物と接触させたいあまりに、アニマルウェルフェアが無視されている実態がある。例えば、動物を輸送する(長距離輸送の場合もある)、不適切な動物種を用いる、劣悪飼育を行っている事業者を呼ぶ、時間や人数に配慮がない、監視体制がなく乱暴な扱い等をしていても指導しない、動物にケガや疾病が見られても使う、生態や動物の持ち方などを間違って教えている、水・エサへのアクセスが断たれている、恐怖やストレスを感じているサインがあるのに無理やりに触らせる、寝ているところを起こす等、問題は非常に多く、動物の愛護及び管理のための指針であるならば、アニマルウェルフェアについて言及するべき。l 人獣共通感染症のリスクを併記せずに触れ合いを助長させる記述をするべきではない。子どもの命を奪いかねず、無責任な記述である。家畜化されていない動物はもとより、犬猫のような家畜化されている動物であっても感染症を媒介することは多々ある。l アメリカでは、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)や全米州公衆衛生獣医師協会(NASPHV)が、5歳未満の子どもには爬虫類(カメ、ヘビ、トカゲなど)、両生類、ヒヨコを含む生きた家禽、フェレット等を触らせてはいけないというガイドラインをつくっている。子牛・ヤギ・ヒツジなど特定の家畜も細心の注意が払われていない限り適していないとされている。3:附則に入っている両生類、ちゃんと検討してくれるんでしょうか?改正法の附則には、「2 国は、両生類の販売、展示等の業務の実態等を勘案し、両生類を取り扱う事業に関する規制の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」と入ったにもかかわらず、両生類という文字は一つも入っていませんでした。ロビー活動の結果、広く動物と入りましたが、あまりに曖昧です。動物とすれば現在愛護動物に含まれていない動物種であることが不明確になってしまいます。動物と広く言うのであれば、「両生類や観賞魚、脊椎動物以外のペットを含む」と明確にすべきです。団体としては観賞魚などペットを対象としましたが、本来的には使用目的により差別することはあってはならないことです。ぜひ「両生類、魚類、甲殻類、円口類」と明記いただければありがたいです。該当箇所意見内容理由第2 今後の施策展開の方向2 施策別の取組(10)調査研究の推進P27 L4~7②講ずべき施策 オ 関係機関が協力して、諸外国の制度、科学的知見に関する文献、国内における動物の飼養保管の実態、ペット飼育による社会的効用や新たな社会需要等に係る情報収集を行うこと。オ 関係機関が協力して、諸外国の制度、科学的知見に関する文献、動物取扱業者による動物の飼養又は保管の状況、動物(愛護動物に限らない。広く両生類や観賞魚、脊椎動物以外のペットを含む)の国内における飼養保管の実態、ペット飼育による社会的効用や動物を取り巻く課題等に係る情報収集を行う。 l 「動物」と書かれているだけでは、どこまでの範囲を意味するのかがわかりづらい。従来の業規制と愛護動物の範囲の動物と誤解される可能性が非常に高い。l 改正法附則第八条に以下の内容が入ったことから、両生類を含む動物取扱業者の動物の飼養保管の実態について現状を把握する必要があり、そのことを基本指針内でも明言するべきである。 「2 国は、両生類の販売、展示等の業務の実態等を勘案し、両生類を取り扱う事業に関する規制の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。 3 前二項に定めるもののほか、国は、動物取扱業者による動物の飼養又は保管の状況を勘案し、動物取扱業者についての規制の在り方全般について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」l 附則には両生類のみが加わったが、観賞魚等についても販売等取扱いの実態を把握し、将来的な規制に備える必要がある。l 本基本指針は、脊椎動物に限らず昆虫等に至るまであらゆる動物種を対象とするというのが環境省の見解である。様々な生き物が販売されている現状に鑑みても、できる限り幅広く把握することを明示していただきたい。l 動物愛護法はペット飼育を推進するための法律ではなく、また国や地方自治体がペット飼育による効用をアピールし、飼育を促す必要はない。「ペット飼育による社会的効用や新たな社会需要」と言った記述は削除するべきである。l ペット飼育により人間社会が利益を得られるのかどうかということは動物愛護法が扱うべき問題の範疇を逸脱しており、わざわざ効用だけ探そうとすることも不自然である。ペット業界からの要望にのみ応えようとする態度が歴然としているように感じられる。社会的効用がうたわれることにより動物の扱いに問題が生じるという、アニマルウェルフェアの観点から情報収集を行うのであれば、その旨を記すべきである。l 「新たな社会需要等」の意味がわかりづらいため、修正いただくと良いと考える。規制の対象となりうる新たな業種の拡大についての動向調査であれば納得するところだが、動物の利用を推進する目的であれば動物愛護法の趣旨を逸脱する。常に把握が必要なのは、動物の取扱いをめぐって起きる、そのときどきの問題・課題等の把握だと考える。アニマルライツセンターのコメント2020年2月7日環境省自然環境局総務課動物愛護管理室御中改正動物愛護管理基本指針素案に対する意見認定NPO法人アニマルライツセンター〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町12-3ニュー渋谷コーポラス1009電話番号:03-3770-0720 FAX番号:03-4540-4049改正動物愛護管理基本指針素案に関し、以下の「意見内容」欄の通り修正することを求める意見を提出いたします。下線部:素案に対する要望箇所 赤字:修正要望箇所第1 動物の愛護及び管理の基本的考え方該当箇所意見内容理由P3 L2~3 (動物の愛護)人と動物とは生命的に連続した存在であるとする考え方人と動物とは生命的に連続した存在であるとする科学的な知見 l 人間もヒト科の動物であり、進化の歴史を経て、感覚や意識など多くの機能を動物と共有していることを明確にするため、現行の「科学的な知見」のままにするべき。動物の適正な取扱いやアニマルウェルフェアを考える上で非常に重要な科学的事実であるため、現行の基本指針から変更するべきでない。l 「考え方」に変更してしまうと、輪廻転生などの非科学的な概念を連想させ、特定の宗教に肩入れをしているように感じられる。行政文書にふさわしくない。P3 L4~6 (動物の愛護) 動物の命に対して感謝及び畏敬の念を抱くとともに、この気持ちを命あるものである動物の取扱いに反映させることが欠かせないものである。動物が苦しみや痛みを感じうる感覚ある存在であることを理解し、動物に対して共感や責任の念を抱くとともに、この気持ちを命あるものである動物の取扱いに反映させることが欠かせないものである。l 国際的にも動物保護・ウェルフェアの大前提となっている、動物が感覚を有する存在であることについて、冒頭で言及するべき。モノや植物と動物を分けているものは何なのかを示さずして動物愛護は語れないはずである。l 「愛護」という言葉には、慈しみ愛する要素も含まれるはずである。しかし、現行の基本指針の冒頭は、動物を殺すことばかりに目を向けすぎであり、動物とどのような関係を結ぶべきなのかに関する示唆が希薄である。l 必要不可欠でない殺しについて、動物を殺してもよい言い訳として「感謝の念」が使われることに対する拒絶反応も強い。ここでは、「感謝及び畏敬の念」といった宗教的な文言ではなく、「共感や責任」といった現代的な関係を示唆する言い回しに改めることを要望する。P3 L8~12 (動物の愛護)人は、他の生物を利用し、その命を犠牲にしなければ生きていけない存在である。このため、動物の利用や殺処分を疎んずるのではなく、自然の摂理や社会の条理として直視し、厳粛に受け止めることが必要であり、動物の命を軽視したり、みだりに利用したりすることは誤りである。人は、他の生物を利用し、その命を犠牲にしなければ生きていけない存在ではあるが、動物の命を軽視したり、みだりに利用したりすることは誤りである。動物は苦しみや痛みを感じうる感覚ある存在であり、利用や殺処分に際しては最大限に苦痛を取り除くことが必要である。また、アニマルウェルフェアに配慮すること自体が人の健康や持続可能性につながることを認識しなくてはならない。l 動物の利用や殺処分が存在するわけではあるが、それを直視し、受け止めるだけでなく、犠牲を少なくする努力をすることが人間の責任であることを、わかりやすい語順で明示すべきである。該当部分では、「人は、他の生物を利用し、その命を犠牲にしなければ生きていけない存在である。このため(中略)動物の命を軽視したり、みだりに利用したりすることは誤りである」という構成になっているが、日本語として、なぜ「このため」なのか、因果関係が不自然に感じられる。「他の生命を犠牲にしなければならないとしても、動物の命を軽視したり、みだりに利用したりすることは誤りだ」という逆接の接続詞で結び、結論をわかりやすく先に書くべきである。l 厳粛に受け止めていても苦痛を与えることに無頓着であれば意味がない。気持ちの問題ではなく、動物の苦痛ができる限りないことが重要である。なぜ動物の命を軽視したり、みだりに利用したりしてはいけないのか、その根拠となる事実(動物が感覚ある存在であること)を明示するべきである。l 国際的に重要となっているワンヘルスや持続可能性とアニマルウェルフェアの関係性を明記すべきである。P3 L12~15 (動物の愛護)社会における生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養を図るためには、命あるものである動物に対してやさしいまなざしを向ける態度が求められる。社会における生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養を図るためには、命あるものである動物に対して思いやりを持ち、適正に取り扱う態度が求められる。l 「まなざしを向ける」という表現が抽象的過ぎ、ただ眺めているだけでもよいと受け止められる。l 気持ちを向けるだけではなく、行動に移す必要がある。P3 L22 (動物の管理)鳴き声、糞尿等による迷惑を含め、鳴き声、糞尿等による迷惑や、動物との接触による感染症の発生、危険な動物による殺傷事故等を含め、l 「動物の管理」のセクションがペットによる迷惑のみに偏っているのはおかしいのではないか。狂犬病等の感染症予防業務と並行して行われていることや、特定動物の規制があることも「管理」の一環であったはずである。l 特定動物については、愛玩飼養は禁止されたが、動物園等では合法な飼育が継続される。逸走だけでなく、死亡や重傷に至る事故も多く、警鐘を鳴らす意味でも、明示すべきである。P4 L2~7 (動物の管理)この際、逸走やみだりな繁殖を防止する措置等により動物の行動等に一定の制約を課す必要が生じる場合があることのほか、所有者がいない動物に対する恣意的な餌やり行為等が、動物による害の増加やみだりな繁殖等、動物の愛護及び管理上好ましくない事態を引き起こす場合があることにも十分に留意する必要がある。この際、逸走や雌雄分離飼育による繁殖防止措置等により動物の行動等に一定の制約を課す必要が生じる場合があることのほか、犬猫では不妊去勢手術による繁殖制限措置等も必要であり、所有者がいない動物に対して餌やり行為を行うだけでは、動物による害の増加やみだりな繁殖等、動物の愛護及び管理上好ましくない事態を引き起こす場合があることにも十分に留意する必要がある。l 「みだりな繁殖を防止する措置」のうち、不妊去勢手術は「動物の行動」を制限する措置ではないため、日本語として不自然に感じられる。また犬猫では特に手術による繁殖制限が必要であることを明確化するため、あえて特記することを要望する。l 「恣意的な餌やり行為」が何か不明である。地域猫活動については、例えば「自分のできる範囲で不妊去勢手術と餌やりだけ行う」といった取組でも、飼い主のいない猫の削減につながる貴重な行為である。できるだけボランティアを増やすためには、その取組のハードルをあげすぎるべきではない。P4 L19~23 (動物の管理)動物の所有者等は、ほえ癖や臭気などによる迷惑や被害の加害者に自分がなり得ることへの意識がややもすると希薄な傾向にあり、被害者の置かれた状況を認識し、動物を所有し、又は占有する者としての社会的責任を十分に自覚して、適正な飼養等に努めなければならない。動物の所有者等は、ほえ癖や臭気などにより迷惑をかけ得ることへの意識がややもすると希薄な傾向にあり、迷惑を受ける者の置かれた状況を認識し、動物を所有し、又は占有する者としての社会的責任を十分に自覚して、適正な飼養等に努めなければならない。l 「加害者」「被害者」という表現はあたかも違法行為を与えた者、受けた者という強い印象を与え、当事者同士のトラブルをいたずらに助長しかねない。l 動物愛護部会でも委員から同様の意見が出た。P5 L18~23 (合意形成)人と動物の共生は、人間社会の中における動物をそれぞれの役割に応じて人間が適正に取り扱うことも包含しており、その合理的な目的に応じた適正な動物の取扱いがなされるならば、実験動物や家畜等の利用についても、その在り方の一つであると考えられる。人と動物の共生は、人間社会の中における動物をそれぞれの役割に応じて人間が適正に取り扱うことも包含しており、実験動物、畜産動物等も対象に含まれると考えられる。利用に際しては、倫理的責任が伴うことを理解する必要があり、目的の合理性や動物の取扱いの適正さが求められるであろう。l 素案原文の文末が何を言いたいのか、意味不明である。意図を明確にすることを強く要望する。l この文章において、もし動物利用の正当化をしたいのであれば、OIE(国際獣疫事務局)のアニマルウェルフェアの指導原則にあるように、利用には倫理的責任が伴うことも併せて明記しなくては、不均衡であり、国内企業がアニマルウェルフェアを意識し始めている昨今において、国際社会だけでなく国内の流れにも反する内容となりえる。P6 L10~12 (合意形成)日本人の動物観の特質や海外との違いを踏まえ、人と動物の関係についての丁寧な議論の積み重ねが重要である。国際状況との比較や、人獣感染症及びワンヘルスといった社会の持続可能性に係る課題を踏まえ、人と動物の関係はどうあるべきかについての丁寧な議論の積み重ねが重要である。l 日本にいる動物と、海外の同種の動物で、生物学的な性質がことさら違っているわけではない。動物が生理的に求める欲求を、日本人だから無視してよいなどということもない。「日本人の動物観の特質」などといった、十分に精査されていないものを前提にするべきではない。l 「日本人の動物観」とはそもそもなにか全く不明。P5 L16にご指摘の通り「個々人における動物の愛護及び管理の考え方は、いつの時代にあっても多様であり続けるものであり」、またP7 L1やP10 L7等にご指摘の通り「国民の動物に対する考え方は多様」である。l ステレオタイプの「日本人の動物観」は、特定の思想傾向のある人々に好まれるテーマであるが、実際には日本人の動物観は千差万別であり、現実を反映していない場合も多い。世論調査などの裏付けもない、「識者」の個人的な印象が幅を利かせている現状がある。l アニマルウェルフェアを科学的に実現するためには、個々の文化における動物観を改める必要がある場合もある。例えば、仏教においては、悪い行いをした者は畜生道に堕ちるといったことが説かれたが、これは裏を返せば、動物は悪人の生まれ変わりであり、苦しむのは当然だと日本人が考えていることの裏付けになっている可能性がある。しかし、このような科学的ではない動物観を前提に政策を考えることがよいことなのだろうか。l 多様な動物の見方を踏まえることには無理があり、また多様性や変化を認めるとする一方で「日本人の動物観」を定義しようとすることには矛盾が生まれており、ここで「日本人の動物観」を踏まえるとすることに強い違和感がある。日本と海外について検討するのであれば、必要なのは国際状況との比較であり、そのような文言に修文するべきである。l 改善へ向けた議論に時間が割かれるべきであり、現状の関係の分析にばかり時間をかけるべきではないため、「関係はどうあるべきか」という、方向性を持った表現にすることを要望する。l 国際状況に関しては、SARS、MARS、新型コロナウイルスなど、人々の健康・安全を脅かし、社会を恐怖におとし入れる感染症が人間の動物利用に起因していることを踏まえる必要がある。また工場畜産により、環境汚染や、気候変動リスクの上昇、薬剤耐性菌問題等が引き起こされており、動物の取扱いは、地球環境や社会の持続可能性を奪いかねない問題にも直結している。l 「人と動物の共生する社会」を目指すのであれば、動物観といったあやふやで無意味なものではなく、人の健康や社会の持続可能性に影響をもたらす課題を理解した上で、合意形成を行わなくては誤った合意に達しかねない。 第2 今後の施策展開の方向 1 基本的な視点 (1)国民的な動物の愛護及び管理に関する取組の推進該当箇所意見内容理由P6 L20~P7 L4 人と動物の共生する社会の実現を図るためには、今後とも、多くの国民の共感を呼び、幅広い層に対して自主的な参加を促していく施策を、学校、地域、家庭等において展開し、社会を構成する全ての当事者が、適正飼養の観点から必要な取組を推進するとともに、国民の動物に対する考え方は多様であることを前提にしつつ、目指す社会の姿や動物の取扱いに関する行為規範の在り方について、中長期的に検討していく必要がある。人と動物の共生する社会の実現を図るためには、今後とも、多くの国民の共感を呼び、幅広い層に対して自主的な参加を促していく施策を、学校、地域、家庭等において展開し、社会を構成する全ての当事者が、適正飼養の観点から必要な取組を推進する必要がある。その際に、国際的なアニマルウェルフェアの基本原則である五つの自由(飢え・渇きからの自由、不快からの自由、痛み、負傷、病気からの自由、本来の行動がとれる自由、恐怖・抑圧からの自由)について十分に配慮しなければならない。また、国民の動物に対する考え方は多様であることを前提にしつつ、目指す社会の姿や動物の取扱いに関する行為規範の在り方について、中長期的に検討していく必要がある。l 衆議院環境委員会の決議及び参議院環境委員会の附帯決議には「十三 国際的なアニマルウェルフェアの基本原則である五つの自由について十分に配慮して、動物愛護管理に係る諸施策を執り行うよう、飼養保管基準の遵守義務をはじめとした法制度の理解の浸透・周知徹底を図ること。」と明記されおり、立法者の主旨を反映させるべきである。l 五つの自由の考え方は世界基準となっているだけでなく、国民にもわかりやすく、明記することで動物の適正な飼養の最低ラインを明確にすることができる。l 動物愛護部会で委員からも意見があったように、五つの自由の表記については、日本語として国民にわかりやすい表現にすることを検討していただくと良いかと思う。 第2 今後の施策展開の方向1 基本的な視点(2)長期的視点からの総合的・体系的アプローチ該当箇所意見内容理由P7 L15~P8 L2 また、動物の愛護及び管理の分野においても、科学的・客観的な知見等の収集と政策の目的や効果の明確化を行い、適切な情報共有を通じて証拠に基づく政策立案(EBPM;Evidence Based Policy Making)を推進していくことが求められている。各種施策を着実に進めていくためには、長期的に、かつ科学、法律、倫理・動物観、生活・経済等の多角的な視点から動物の取扱いを検討し、できる限り定量的かつ客観的な内容を備えた目標及びその達成手段等を設定して総合的かつ体系的に取組を進めていく必要がある。また、動物の愛護及び管理の分野においても、科学的・客観的な知見等の収集と政策の目的や効果の明確化を行い、適切な情報共有を通じて証拠に基づく政策立案(EBPM;Evidence Based Policy Making)を推進していくことが求められている。各種施策を着実に進めていくためには、長期的に、かつ科学、法律、倫理・動物観、多様性、生活、経済等の多角的な視点から動物の取扱いを検討し、できる限り定量的かつ客観的な内容を備えた目標及びその達成手段等を設定して総合的かつ体系的に取組を進めていく必要がある。l 「合意形成」の箇所でも述べたように、日本人の動物観は多種多様であり、世論調査などの裏付けもない。ここに「動物観」を入れることは、EBPMの推進と相反するため、削除するべきである。l 動物の取扱いに関して個々が持つ「動物観」つまり動物の見方という曖昧模糊なものを考慮することは偏向した結果を招きかねない。l 倫理は社会的に認められた言葉であるのに対し、動物観は言葉自体の認知もなく、これら2つを並列することはおかしい。l P5 L16にご指摘の通り「個々人における動物の愛護及び管理の考え方は、いつの時代にあっても多様であり続けるものであり」、またP7 L1やP10 L7等にご指摘の通り「国民の動物に対する考え方は多様」であるため、「動物観」ではなく、「多様性」とすべきである。 第2 今後の施策展開の方向1 基本的な視点(3)関係者間の協働関係の構築該当箇所意見内容理由P8 L23~P9 L3 その際、相互理解に基づく多様な関係者の主体的な参画・協働によって、地域づくり、社会福祉、公衆衛生といった社会課題の同時解決を図る視点が必要である。その際、相互理解を目指す、多様な関係者の主体的な参画・協働によって、地域づくり、社会福祉、公衆衛生といった社会課題の同時解決を図る視点が必要である。様々な立場の人たちの協働であることから、相互理解ができていることが前提であるのはおかしいため。 第2 今後の施策展開の方向2 施策別の取組(1)普及啓発・多様な主体との相互理解の醸成該当箇所意見内容理由P10 L6~11①現状と課題また、国民の動物に対する考え方は多様であることを前提とし、社会規範としての動物の愛護及び管理に関する考え方や動物の取扱いに関する行為規範について、その整理と意識醸成に向けた取組の必要性が指摘されている。 意味が理解できる文章への修正を求める。 例文:また、国民の動物に対する考え方は多様であることを前提とし、動物の取扱いについて、法令によってどこまで制限するか、罰を与えるかといった社会規範に関する考え方や、どこまでマナーや自主的改善の取り組みにゆだねてよいかといった行為規範に関する考え方について、動物の愛護及びアニマルウェルフェアの側面と動物の管理の側面との両面に即した整理と意識醸成に向けた取組が必要である。l 素案の文章の意味が理解できないため。l 「動物愛護管理をめぐる主な課題への対応について(論点整理)」98~100ページの内容に対応する部分であるとのことだが、内容が同じであるように感じられない。l 素案文章から、このようなことが言いたいのだろうか?と感じられる内容を例示したが、読解の誤りであれば、環境省自ら直していただきたい。l 「その整理と意識醸成に向けた取組の必要性」をいったい誰が指摘しているのかも読み取れない。「指摘もある」とするのであればその根拠を示すべき。P10 L14~18①現状と課題 また、生命尊重、友愛等の情操の涵養の観点から、特に子どもが心豊かに育つ上で、動物との触れ合いや家庭動物等の適正な飼養の経験が重要であることが指摘されており、適正な方法による機会の確保が求められている。 また、生命尊重、友愛等の情操の涵養の観点から、特に子どもが動物に対してやさしさを持つことや習性等についての正しい知識、適切な接し方を学ぶ経験が重要であることが指摘されており、アニマルウェルフェアや人獣共通感染症に配慮した適正な方法による機会の確保が求められている。l 普及啓発には、生きた動物を直接触らせる「触れ合い」やペット飼育が必ずしも必要ではない。子どものための出張授業で動物同伴をやめた自治体もあり、動物のストレス等を考慮し、動物を利用しない方法での普及啓発、教育の機会を優先すべきである。l 「指摘されて」いるのであれば、だれがどのような場で指摘しているのか、その根拠を示すべき。l 動物との触れ合いがない子どもが心豊かに育たないとも受け取れ、心豊かに育つことと動物の触れ合いを関連付ける記述を削除すべき。l 子どもを動物と接触させたいあまりに、アニマルウェルフェアが無視されている実態がある。例えば、動物を輸送する(長距離輸送の場合もある)、不適切な動物種を用いる、劣悪飼育を行っている事業者を呼ぶ、時間や人数に配慮がない、監視体制がなく乱暴な扱い等をしていても指導しない、動物にケガや疾病が見られても使う、生態や動物の持ち方などを間違って教えている、水・エサへのアクセスが断たれている、恐怖やストレスを感じているサインがあるのに無理やりに触らせる、寝ているところを起こす等、問題は非常に多く、動物の愛護及び管理のための指針であるならば、アニマルウェルフェアについて言及するべき。l 人獣共通感染症のリスクを併記せずに触れ合いを助長させる記述をするべきではない。子どもの命を奪いかねず、無責任な記述である。家畜化されていない動物はもとより、犬猫のような家畜化されている動物であっても感染症を媒介することは多々ある。l アメリカでは、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)や全米州公衆衛生獣医師協会(NASPHV)が、5歳未満の子どもには爬虫類(カメ、ヘビ、トカゲなど)、両生類、ヒヨコを含む生きた家禽、フェレット等を触らせてはいけないというガイドラインをつくっている。子牛・ヤギ・ヒツジなど特定の家畜も細心の注意が払われていない限り適していないとされている。P11 L10~13②講ずべき施策 イ 社会規範としての動物の愛護及び管理に関する考え方や動物の取扱いに関する行為規範について、幅広い関係主体の参画による議論を活性化しつつ、中長期的に検討していくこと。意味が理解できる文章への修正を求める。例文:イ 動物の愛護やアニマルウェルフェアのあり方、もしくは動物の管理のあり方に関しては、法令によってどこまで規制するか、罰を与えるかといった社会規範に関する考え方や、どこまでマナーや自主的改善の取り組みにゆだねてよいかといった行為規範に関する考え方について、幅広い関係主体の参画による議論を活性化しつつ、中長期的に検討していくこと。l 素案の文章の意味が理解できないため。l 「動物愛護管理をめぐる主な課題への対応について(論点整理)」98~100ページの内容に対応する部分であるとのことだが、内容が同じであるように感じられない。国がどういう取組をするつもりなのかがはっきりしないと、政府や業界にとって都合のよい取組がなされるのではないか?と、国民は不安を感じる。l このようなことが言いたいのだろうか?と感じられる内容を例示したが、読解の誤りであれば、環境省自ら直していただきたい。具体的に、何を検討するのかを明確にしてほしい。P11 L14~22②講ずべき施策 ウ 動物を見せることや動物と触れ合うことを目的とした、動物の展示利用については、多種多様な利用形態ごとに意義と課題を整理するとともに、情操の涵養などその効用を効果的にもたらすこと及び感染性の疾病の予防等、動物の健康及び安全を確保することの双方の観点から、展示利用における動物の取扱いに関する基本的な考え方を整理・検討すること。また、学校飼育動物の取扱いに関しても同様に基本的な考え方を整理・検討すること。 ウ 動物を見せることや動物と触れ合うことを目的とした、動物の展示利用については、多種多様な利用形態ごとに目的や課題を整理するとともに、情操の涵養などその効用を効果的にもたらすこと及び感染性の疾病の予防や、動物の健康及び安全を確保しアニマルウェルフェアに配慮すること等の双方の観点から、展示利用における動物の取扱いに関する基本的な考え方を整理・検討すること。また、学校飼育動物の取扱いに関しても、原則、飼養を行うべきではないことから、同様に適正な飼養管理を行いつつ、廃止に向けて基本的な考え方を整理・検討すること。 l 動物の展示や触れ合いに意義があるとは考えられないため、言い換えをするべき。実施者が美辞麗句を掲げつつ、実態としてはオモチャをあてがうような感覚で行っている触れ合いや、単なる娯楽行為としてのショー・餌やり・見世物行為等を排除するため、目的と実態の精査は必要であり、「意義」を「目的」に変更することを要望する。l 「動物の健康及び安全の確保」は、それ自体が最重要課題であり、「感染性の疾病の予防等」に付随するものではない。素案の文章では、「感染性の疾病の予防等」と「動物の健康及び安全の確保」が同列の言い換えであるかのように感じられ、日本語の表現としてもおかしく、修文を求める。l 休日に給餌給水を行わない、風雨や暑さ・寒さの防げない環境下に置く、病気や怪我をしても治療を受けさせないなど、学校や幼稚園等で飼養されている動物が劣悪な状態に置かれているという問題は各地で起こっている。l どんな生き物を飼養するにも、費用や手間が必要であるにもかかわらず、十分な予算を確保していない学校が多いうえに、そもそも児童・生徒の指導で手一杯の教師に動物の世話までさせることは不可能である。仮に獣医師や専門飼養者がいたとしても、子どもたちに頻繁に触られる学校や幼稚園といった教育の場で動物を適切に飼養することは無理があり、原則、禁止にすべきである。即時、禁止は困難な現状を考慮し、禁止を睨んで、飼養できない方向に移行すべきである。 第2 今後の施策展開の方向2 施策別の取組(2)適正飼養の推進による動物の健康及び安全の確保並びに返還・譲渡の促進該当箇所意見内容理由P12 L5~6①現状と課題依然として安易な購入と飼養放棄、遺棄、虐待等の問題が一部において発生している。依然として安易な購入と飼養放棄、遺棄、虐待等の問題が一部において発生している。多くの自治体や動物愛護団体が、飼育放棄や遺棄、虐待された動物を多数保護し、新しい飼い主を探す取組に大変苦労している現状から考えても、また、今改正で罰則の大幅な強化がなされたことの背景を考えても、「一部において」というのは事実に反する誤った表現であり、削除するべきである。[新設]①現状と課題②講ずべき施策[新設] ①現状と課題に追加家畜化されていない動物種の飼養については、動物の本能、習性及び生理・生態に即した適正な飼養の確保が一般的に困難であるにもかかわらず、規制のない中で飼養が拡大し、不適切な飼養及び遺棄につながっている。 ②講ずべき施策に追加家畜化されていない動物種の飼養は限定的であるべき旨について、市民及び動物取扱業者に対し、周知徹底を図る。l 「(2)適正飼養の推進による動物の健康及び安全の確保並びに返還・譲渡の促進」というタイトルであるのに、内容が犬と猫のことだけになっている。その他の動物についても言及し、施策として取り組むべきである。l 委員会決議/附帯決議には「四、家畜化されていない野生由来動物の飼養については、動物の本能、習性及び生理・生態に即した適正な飼養の確保が一般的に困難なことから、限定的であるべき旨について周知徹底を図る」と明記されおり、立法者の主旨を反映させるべきである。l 家畜化されていないいわゆるエキゾチックペットの流通は多く、密輸や遺棄、違法採取の原因となっていることは明らかである。さらに繁殖個体であっても家畜化された動物とは異なり飼育に向かず、また獣医療も不足している。l 無制限のエキゾチックペットの繁殖、飼育は将来的には生態系の破壊にも繋がる。l 無制限のエキゾチックペットの捕獲、輸入、繁殖及び飼育は人獣共通感染症の蔓延に繋がる可能性も高く、さらには鳥インフルエンザ等家畜伝染病の蔓延にも繋がりかねず、他国を見ると各州に入る際に獣医師による検査証明書を添付するなど厳しい規制が行われている。[新設]①現状と課題②講ずべき施策[新設] ①現状と課題に追加特定動物については、飼養施設の強度を担保し逸走防止策を図ろうとするあまり、施設が狭隘であったり、生理生態に即した豊かな環境が与えられていなかったりする現状がある。移動檻での常時飼育など、不適切な状況でも飼養保管許可が出されている。 ②講ずべき施策に追加特定動物のアニマルウェルフェアについても指導、監視できるよう検討し、「特定飼養施設の構造及び規模に関する基準の細目」及び「特定動物の飼養又は保管の方法の細目」の見直しを行う。l 衆議院環境委員会の決議及び参議院環境委員会の附帯決議に「七 特定動物の飼養・保管の許可については、人体への危害の防止、住民不安の解消、災害時の対策等の観点から、娯楽、触れ合い等を目的とした飼養・保管を規制する措置も含めた規制の在り方を検討すること。また、飼養施設の強度を担保し逸走防止策を図るだけではなく、移動檻での常時飼育などの不適切な扱いを防止し、特定動物のアニマルウェルフェアについても指導、監視できるよう検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。」と入ったことを基本指針に書き加えるべきである。l 2020年施行へ向けた省令等の見直しにおいて、「特定飼養施設の構造及び規模に関する基準の細目」及び「特定動物の飼養又は保管の方法の細目」については全く検討が行われていないため、見直しが必要であることを基本指針に書き込み、対策を行う必要があると考える。l 第55回動物愛護部会にて、事務局より中長期的に検討していくとの回答があったことを基本指針に反映してほしい。P13 L19~22②講ずべき施策また、①、③については飼い主責任の徹底や無責任な餌やりの防止により引取り数を減少させ、結果的に該当する動物の数を減らしていくこと。また①、③については飼い主責任の徹底や地域猫活動の促進・普及により引取り数を減少させる、③については収容施設の飼養管理の基準をつくることで改善を図り死亡数を抑制するなどし、結果的に該当する動物の数を減らしていくこと。不妊去勢手術を行わなければ、引取り数の減少にはつながらない。もし、「餌をなくして餓死すれば引取り数が減る」という意図ならば、国として不適切な考えである。l 引取り後の死亡には、センター・保健所等の獣医療環境の不備や、暖房がないことなど飼養管理の問題で死亡しているケースも含まれるはずである。かねてより懸案の、自治体収容施設の基準について取り組むことを明記するべきである。l 衆議院環境委員会の決議及び参議院環境委員会の附帯決議において「十 地方自治体における動物収容施設については、収容動物に対する適切な飼養管理を図る観点から、その実態把握を踏まえ、適正な施設や管理の水準等に係る指針の策定を、第一種動物取扱業の基準に準じる形で検討すること。」と書かれていることを基本指針にも反映させ、実行に移すべきである。P13 L23~P14 L1②講ずべき施策① 譲渡することが適切ではない(治癒の見込みがない病気や攻撃性がある等)① 譲渡することが適切ではない(治癒の見込みがない病気や矯正が不可能な攻撃性がある等)トレーニングを行い、攻撃性をなおしてから譲渡する試みを行っている自治体もある。攻撃性がある=譲渡は適切ではないとひとくくりにし、生きる機会を奪うべきではない。P14 L5~11②講ずべき施策ウ 野犬が多い地域等では、引取り数・殺処分率又は殺処分数を減少させるため、集中的に捕獲を実施し、再生産を抑制することが必要な場合があり、短期的にこれらの数値が増加してもやむを得ない面があるなど、中長期的な視点に立ち、地域の実情に応じた殺処分と譲渡の考え方を整理するとともに、必要な普及啓発等の取組を推進すること。全文削除する意図は理解するが、そもそも野犬が増えすぎる前に十分な対策を講じなかった自治体にも大きな責任がある。この項目によって「引取りや殺処分が増えても仕方ない」と自治体が考えてしまえば、野犬が増えないようにするための遺棄防止や不妊去勢手術の徹底、譲渡の推進といった対策に力を注がないままになる恐れもある。あえてこの内容を基本指針で示す必要はないと考える。P14 L16~20②講ずべき施策オ 令和元年の法改正において、動物愛護管理センターとしての機能・業務が明確化されたことを踏まえ、災害対応や多様な関係者の参画・協働にも役立つ地域拠点としての役割も考慮して、引き続き、返還・譲渡の促進に向けた施設整備を推進すること。オ 令和元年の法改正において、動物愛護管理センターとしての機能・業務が明確化されたことを踏まえ、災害対応や多様な関係者の参画・協働にも役立つ地域拠点としての役割も考慮して、引き続き、返還・譲渡の促進に向けた施設整備を推進すること。また、地方自治体における動物収容施設については、収容動物に対する適切な飼養管理を図る観点から、実態把握を行うとともに、適正な施設や管理の水準等に係る指針の策定を第一種動物取扱業の基準に準じる形で行うこと。衆議院環境委員会の決議及び参議院環境委員会の附帯決議において「十 地方自治体における動物収容施設については、収容動物に対する適切な飼養管理を図る観点から、その実態把握を踏まえ、適正な施設や管理の水準等に係る指針の策定を、第一種動物取扱業の基準に準じる形で検討すること。」と書かれていることを基本指針にも反映させ、実行に移すべきである。 第2 今後の施策展開の方向2 施策別の取組(3)周辺の生活環境の保全と動物による危害の防止該当箇所意見内容理由P15 L21~P16 L6①現状と課題所有者不明の犬又は猫について、新たに地方公共団体が引取りを拒否できる場合が規定されたが、動物による危害及び迷惑問題は、所有者等とその近隣住民等との間で感情的対立を誘発しやすいなどの性格を有していることもあるため、危害や迷惑防止の観点を踏まえ、行政主導による合意形成を踏まえたルール作り又はルール作りに対する更なる支援等、地域の実情に合わせた対策・対応が必要である。 所有者不明の犬又猫について、新たに地方公共団体が引取りを拒否できる場合が規定されたが、危害や迷惑防止の観点から、地域の実情に合わせた対策・対応が必要である。引取りに当たっては、駆除目的で捕獲された猫の引取りは原則認められないこと、また、持ち込まれた犬又は猫に所有者・占有者がいる可能性もあることに十分に留意して対応することが必要である。また、動物による危害及び迷惑問題は、所有者等とその近隣住民等との間で感情的対立を誘発しやすいなどの性格を有していることもあるため、危害や迷惑防止の観点を踏まえ、行政主導による合意形成を踏まえたルール作り又はルール作りに対する更なる支援等、地域の実情に合わせた対策・対応が必要である。l 環境省の素案では、「拒否できる場合が規定されたが、危害や迷惑をかける犬猫なら引き取りなさい」と言っているも同然であり、愛護に反する引取り、所有権の侵害等、違法性のある引取りをなくすという、この改正の趣旨に反する。l 前回改正の決議「八 (略)なお、駆除目的に捕獲された飼い主のいない猫の引取りは動物愛護の観点から原則として認められないが、やむを得ず引き取る際には、猫の所有者又は占有者を確認しつつ関係者の意向も踏まえた上で、引取り後に譲渡の機会が得られるよう最大限努めるよう、各地方自治体を指導すること。」と、今回改正の決議「九 所有者不明の犬猫の引取り拒否の要件の設定に当たっては、狂犬病予防法との整合性、当該犬猫に飼い主がいる可能性及び地域猫活動等も考慮し、地域の実情に配慮した要件を設定すること。」の意図をきちんと反映させるべきである。P16 L12~15②講ずべき施策ア 住宅密集地等において地域住民の十分な理解の下に飼い主のいない猫への不妊去勢の徹底と給餌・排せつ物の管理などを実施する地域猫活動の在り方に関し検討を加え、適切な情報発信を行うこと。ア 住宅密集地等において地域住民の十分な理解の下に飼い主のいない猫への不妊去勢の徹底と給餌・排せつ物の管理などを実施する地域猫活動等を推進するため、地域の実情を踏まえた計画づくり等への支援や助成金を含め、飼い主のいない猫を生み出さないための取組を行い、猫の引取り数削減の推進を図ること。l 例えば「地域住民には話してはいないが、自分のできる範囲で不妊去勢手術だけ行う」「餌を与えている人がやっと手術は承認したので緊急で手術のみ行う」といった取組でも、飼い主のいない猫の削減につながる貴重な行為である。l 飼い主のいない猫を減らすための活動は、ボランティアで行われている活動に大きく依存していることからも、できるだけボランティアを増やすためには、その取組を細かく規定しすぎてハードルをあげたり、厳しく縛りつけるべきではない。l 同時に助成金等の支援を行い、国、自治体が地域猫活動を全面的に後押しすべきであることを示す必要がある。単なる情報発信では弱い。 第2 今後の施策展開の方向2 施策別の取組(4)所有明示(個体識別)措置の推進該当箇所意見内容理由P18 L1~4①現状と課題 令和元年の法改正において、販売される犬又は猫へのマイクロチップの装着、情報登録等の義務化が所有者に課されたことから、所有明示措置の推進が一層求められており、令和元年の法改正において、販売される犬又は猫へのマイクロチップの装着、情報登録等の義務化が所有者に課されたことから、所有明示措置の推進が一層求められており、。l 販売される犬又は猫へのマイクロチップの装着が義務付けられたのは事実であるが、それ以外の動物に対してまで所有明示の推進が一層求められているとまでは感じられず、またその根拠が不明である。 P18 L9~12②講ずべき施策ア 販売される犬又は猫へのマイクロチップ装着、所有者情報の登録等が義務化された令和元年の法改正の趣旨を踏まえ、遺棄の防止や返還の促進を図る効果的な制度運用に向け、必要な検討を行うこと。 ア 販売される犬又は猫へのマイクロチップ装着、所有者情報の登録等が義務化された令和元年の法改正の趣旨を踏まえ、生年月日の証明やトレーサビリティの担保、遺棄の防止や返還の促進を図る効果的な制度運用に向け、必要な検討を行うこと。販売される犬や猫にマイクロチップ装着を義務付けた一番の目的が抜けている。P18 L13~16②講ずべき施策イ 義務化対象外の犬又は猫の所有者に対し、マイクロチップを始めとする所有明示の必要性に関して啓発を推進しつつ、マイクロチップ装着等の義務対象範囲について検討すること。 イ 義務化対象外の犬又は猫の所有者に対し、マイクロチップを始めとする所有明示の必要性に関して啓発を推進するつつ、マイクロチップ装着等の義務対象範囲について検討すること。l 所有者明示の方法としては、首輪によるものが多いのが現状であるにもかかわらず、マイクロチップが主な方法であるかのような例示をするのは不自然である。l この基本指針が公表される段階では、販売される犬又は猫への装着義務付けも施行されておらず、その時点で義務化対象範囲の検討について述べるのは拙速に過ぎることから、削除すべきである。 第2 今後の施策展開の方向2 施策別の取組(5)動物取扱業の適正化該当箇所意見内容理由P19 L14~17②講ずべき施策イ 動物取扱業の更なる適正化を図る上で、地方公共団体による動物取扱業者に対する周知や指導・監視の強化、規制の実効性の確保が必要であり、国によるこれらに対する支援を検討すること。 イ 動物取扱業の更なる適正化を図る上で、地方公共団体による動物取扱業者に対する周知や指導・監視の強化や、必要に応じ勧告、命令及び登録取消し等の行政処分並びに刑事告発も適切に行うなど、規制の実効性の確保が必要であり、国によるこれらに対する支援を検討すること。l 衆議院環境委員会の決議及び参議院環境委員会の附帯決議において「一 動物取扱業者による不適正な飼養・保管が後を絶たない現状に鑑み、地方自治体が、動物取扱業者に対する立入検査を積極的に行い、必要に応じ勧告、命令及び登録取消し等の行政処分並びに刑事告発も適切に行うよう、規制の実効性を担保するための必要な措置を講ずること。」とあることを基本指針に反映すべきである。P19 L18~21②講ずべき施策ウ 動物取扱業者や事業者団体が社会において果たすべき役割を自ら考え、優良な動物取扱業者の育成及び業界全体の資質の向上を図るようその主体的な取組を促進すること。全文削除するこの公の基本指針において、一部の業界についてのみ、その役割や資質の向上等に触れるのは偏っており、不適切である。 第2 今後の施策展開の方向2 施策別の取組〔新設〕該当箇所意見内容理由P19 L21の後、実験動物の項目の前に新規項目として新設〔新設〕 ①現状と課題動物を殺処分せざるを得ない状況においては、動物の殺処分方法に関する指針(平成19年11月12日環境省告示第105号)に基づき、殺処分動物の生理、生態、習性等を理解し、できるだけ速やかに、かつ心身ともに苦痛を軽減しなくてはならないが、動物の殺処分は容易ではなく、技術と知識及び動物愛護の意識がなくては動物に著しい苦痛を与えかねない。また、国際的にはより人道的な殺処分方法が随時開発されており、これらの動向に配慮し、より適正な方法を採用していく必要がある。 ②講ずべき施策ア 改正法において、殺処分の方法についての国際的動向に十分配慮するよう努めなければならない旨が盛り込まれたことから、動物の殺処分方法に関する指針を見直す。l 2019年の法改正により第四十条(動物を殺す場合の方法)第三項に、「前項の必要な事項を定めるに当たつては、第一項の方法についての国際的動向に十分配慮するよう努めなければならない。」と加わったことを本指針に反映させるべきである。l できる限り苦痛のない方法によって殺処分を行うことは、アニマルウェルフェアにとって最重要とも言える課題であり、基本指針にセクションが設けられていないこと自体が問題である。 第2 今後の施策展開の方向2 施策別の取組(6)実験動物の適正な取扱いの推進該当箇所意見内容理由P20 L1~9①現状と課題実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準(以下「実験動物の飼養保管等基準」という。)は、平成25年にその基準の内容を改正し、遵守状況の点検、その結果の公表、可能な限りの外部機関等による検証の実施について位置づけを行っている。平成29年には実験動物飼養保管等基準解説書研究会による「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準の解説」を作成し、関係機関等に周知を行ってきた。実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準(以下「実験動物の飼養保管等基準」という。)は、平成25年にその基準の内容を改正し、遵守状況の点検、その結果の公表、可能な限りの外部機関等による検証の実施について位置づけを行っている。平成29年には実験動物飼養保管等基準解説書研究会による「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準の解説」を作成し、関係機関等に周知を行ってきた。しかし、国や自治体が全ての施設の現状を把握することは困難な状況がある。「現状と課題」では、本当に基準が守られているかどうか誰も確認していない現状について正直に記載するべきである。P20 L9~18①現状と課題動物を科学上の利用に供することは、生命科学の進展、医療技術等の開発等のために必要不可欠なものであるが、その飼養及び科学上の利用に当たっては、動物が命あるものであることにかんがみ、科学上の利用の目的を達することができる範囲において、国際的にも普及し、定着している実験動物の取扱いの基本的考え方である「3Rの原則」(代替法の活用:Replacement、使用数の削減:Reduction、苦痛の軽減:Refinement)を踏まえた適切な措置を講じること等が必要とされている。動物を科学上の利用に供することは、生命科学の進展、医療技術等の開発等のために行われているが、できる限り早く、動物を供する方法に代わる方法へ転換させることを目指し、その飼養及び科学上の利用に当たっては、動物が命あるものであることにかんがみ、科学上の利用の目的を達することができる範囲において、国際的にも普及し、定着している実験動物の取扱いの基本的考え方である「3Rの原則」(代替法の活用:Replacement、使用数の削減:Reduction、苦痛の軽減:Refinement)を踏まえた適切な措置を講じること等が必要である。l 「必要不可欠なもの」としてしまえば、今後永久に「動物実験ありき」と述べているも同然である。これでは、動物の愛護及び管理に関する法律に3R、とりわけ「できる限り動物を供する方法に代わり得るものを利用すること」が盛り込まれている意味がない。l 必要かどうかの価値判断については動物愛護法が扱うべき問題の範疇を超える。ほかの問題(ペット飼育や動物の展示、畜産動物のと殺等)について、個別の施策部分ではわざわざ必要不可欠と述べないのに、実験動物についてはなぜこのように述べたいのか。実は実験動物が最も必要性について疑問が呈されており、批判があるからではないのか。l EUは、2010年に改正された実験動物保護指令において、動物実験の完全廃止へ向けた第一歩だということを明示しており、例えばオランダは、2025年までに毒性試験等の動物実験をなくす方針を示している。アメリカも、政府組織であるICCVAM(代替法検証省庁間連絡委員会)が動物実験に代わる「新しいアプローチ方法論 (NAMs)」への転換を戦略的ロードマップで掲げるとともに、EPA(環境保護庁)が2035年までに哺乳類の試験を要件から外すことを宣言した。動物実験の廃止は国際的な流れであり、過去の価値観にとらわれていると科学の進展を阻害する。l 動物実験に代わる実験方法の開発に携わる人々の研究を否定することにもなりかねず、この「必要不可欠なもの」の一言によって、研究者そして、国民の少しでも動物の犠牲を少なくすることに努める意欲が減退する。l 改正法附則第九条に以下の内容が入ったことから、「現状と課題」にも動物実験からの転換を目指すべきであることについて言及をしてほしい。「国は、動物が科学上の利用に供される場合における動物を供する方法に代わり得るものを利用すること、その利用に供される動物の数を少なくすること等による動物の適切な利用の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」P20 L20~P21 L2②講ずべき施策ア 関係省庁、団体等と連携しながら、実験動物を取り扱う関係機関及び関係者に対し、「3Rの原則」、実験動物の飼養保管等基準の周知・遵守の徹底を進めるとともに、当該基準の遵守状況について、定期的な実態把握を行い、適切な方法により公表すること。ア 関係省庁等と連携しながら、実験動物を取り扱う関係機関及び関係者に対し、「3Rの原則」(代替法の活用:Replacement、使用数の削減:Reduction、苦痛の軽減:Refinement)及び実験動物の飼養保管等基準の周知・遵守について指導・徹底するとともに、当該基準の遵守状況及び「3Rの原則」の達成度に関して定期的な実態把握を行い、実験動物の使用数統計などの指標を用いて、適切に公表すること。l この項目は「3Rの原則」と飼養保管等の基準について述べている項目であるから、「3Rの原則」が毎年どの程度達成できているのかについても把握を行い、公表することを明記すべきである。l 主要国の中で実験動物の使用数の統計すらないのは日本のみであり、代替・削減がどれだけすすめられているかの1つの指標として、実験動物の使用数調査を国が行い、毎年発信することには意義があると考えられる。l 改正法附則第八条に以下の内容が入ったことから、動物取扱業に追加すること等が検討課題として盛り込まれており、使用数は飼養保管の実態の基礎的なデータとしても収集する必要があると考える。「国は、動物を取り扱う学校、試験研究又は生物学的製剤の製造の用その他の科学上の利用に供する動物を取り扱う者等による動物の飼養又は保管の状況を勘案し、これらの者を動物取扱業者(第一条による改正後の法第十条第一項に規定する第一種動物取扱業者及び第一条による改正後の法第二十四条の二に規定する第二種動物取扱業者をいう。第三項において同じ。)に追加することその他これらの者による適正な動物の飼養又は保管のための施策の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」P21 L3~13②講ずべき施策イ 令和元年の改正法の附則において、実験動物を取り扱う者等による実験動物の飼養保管状況を勘案し、これらの者を動物取扱業者に追加すること、その他これらの者による適正な動物の飼養保管のための施策の在り方について検討を加えること、また代替法の活用、使用数の削減等による動物の適正な利用の在り方について検討を加えることが規定されたことから、関係省庁と連携し、現行の機関管理体制(自主管理体制)の仕組みについてレビューを行い、その結果を踏まえて、必要な検討を行うこと。イ 令和元年の改正法の附則において、実験動物を取り扱う者等による実験動物の飼養保管状況を勘案し、これらの者を動物取扱業者に追加すること、その他これらの者による適正な動物の飼養保管のための施策の在り方について検討を加えること、また代替法の活用、使用数の削減等による動物の適正な利用の在り方について検討を加えることが規定されたことから、関係省庁と連携し、その実現に向けて現行の機関管理体制(自主管理体制)の仕組みについてレビューを行い、その結果を踏まえて、必要な措置を講じること。l 附則の内容について、「必要な検討を行う」では弱すぎる。実現させることを目指して進めていく前向きな姿勢を示すべきである。l 自主規制のもとで行われている現行の取り組みは、あくまで関係者による民間の自主的な取り組みに過ぎず、国が評価を行うことになじまない。一方、国の取り組みについては、ほとんど皆無に近いことは歴然としており、レビューを行うほどのものではない。l 動物福祉法で動物実験施設を登録制としているアメリカや、動物保護法で登録制としている韓国等でも同様だが、実験動物保護を目的とした法制度が確立した場合でも、自主的な取り組みは併存するのであって、自主的な取り組みがあるからといって法制度が不要になるような性質のものではない。議論をミスリードさせるような表現を避けるべき。 第2 今後の施策展開の方向2 施策別の取組(8)災害対策該当箇所意見内容理由P24 L1~3②講ずべき施策 エ 産業動物等、ペット以外の動物の災害対策についても、関係省庁間の連携・情報共有を図りつつ、対応を推進すること。エ 産業動物等、ペット以外の動物の災害対策についても、関係省庁間の情報共有を図りつつ、動物の避難場所の確保を可能な限り推進し、かつ飼料や飲料水、物資、発電機、燃料等の事前の災害対応準備の方法を検討することで必要な体制整備を整え、また災害対応が可能な飼養方法や飼養数に切り替えていくことを指導する等の対応を推進すること。l ペットの多頭飼育者のみでなく、学校飼育動物、畜産動物、実験動物等についても災害対策の必要性が求められてきたところである。l 畜産動物については、東日本大震災での被害が甚大かつ深刻であったが、令和元年12月3日の衆議院環境委員会における鳥居敏男政府参考人(環境省大臣官房審議官)の答弁によると、畜産動物の災害対応についての取組としては、関係省庁からの情報提供をしてもらったことと、省庁間連絡会議での情報共有を行ったことのみとなっており、基本指針の内容への取組が非常に薄いことがわかる。年間10億が利用される畜産動物に対し、無策の状態が続くことになる。具体的に動物愛護の観点からの対策を明記すべきである。P24②講ずべき施策 〔新設〕 〔新設〕オ 動物取扱業における災害対策は前述のペット同様に捉え、対策がなされるよう指導を行うこと。今年の台風被害ではペットショップの被災による動物の死亡についても、報道やネットでの炎上事例があり、事前の対策の不備が指摘されたところである。 第2 今後の施策展開の方向2 施策別の取組(10)調査研究の推進該当箇所意見内容理由P27 L4~7②講ずべき施策 オ 関係機関が協力して、諸外国の制度、科学的知見に関する文献、国内における動物の飼養保管の実態、ペット飼育による社会的効用や新たな社会需要等に係る情報収集を行うこと。オ 関係機関が協力して、諸外国の制度、科学的知見に関する文献、動物取扱業者による動物の飼養又は保管の状況、動物(愛護動物に限らない。広く両生類や観賞魚、脊椎動物以外のペットを含む)の国内における飼養保管の実態、ペット飼育による社会的効用や動物を取り巻く課題等に係る情報収集を行う。 l 「動物」と書かれているだけでは、どこまでの範囲を意味するのかがわかりづらい。従来の業規制と愛護動物の範囲の動物と誤解される可能性が非常に高い。l 改正法附則第八条に以下の内容が入ったことから、両生類を含む動物取扱業者の動物の飼養保管の実態について現状を把握する必要があり、そのことを基本指針内でも明言するべきである。 「2 国は、両生類の販売、展示等の業務の実態等を勘案し、両生類を取り扱う事業に関する規制の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。 3 前二項に定めるもののほか、国は、動物取扱業者による動物の飼養又は保管の状況を勘案し、動物取扱業者についての規制の在り方全般について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」l 附則には両生類のみが加わったが、観賞魚等についても販売等取扱いの実態を把握し、将来的な規制に備える必要がある。l 本基本指針は、脊椎動物に限らず昆虫等に至るまであらゆる動物種を対象とするというのが環境省の見解である。様々な生き物が販売されている現状に鑑みても、できる限り幅広く把握することを明示していただきたい。l 動物愛護法はペット飼育を推進するための法律ではなく、また国や地方自治体がペット飼育による効用をアピールし、飼育を促す必要はない。「ペット飼育による社会的効用や新たな社会需要」と言った記述は削除するべきである。l ペット飼育により人間社会が利益を得られるのかどうかということは動物愛護法が扱うべき問題の範疇を逸脱しており、わざわざ効用だけ探そうとすることも不自然である。ペット業界からの要望にのみ応えようとする態度が歴然としているように感じられる。社会的効用がうたわれることにより動物の扱いに問題が生じるという、アニマルウェルフェアの観点から情報収集を行うのであれば、その旨を記すべきである。l 「新たな社会需要等」の意味がわかりづらいため、修正いただくと良いと考える。規制の対象となりうる新たな業種の拡大についての動向調査であれば納得するところだが、動物の利用を推進する目的であれば動物愛護法の趣旨を逸脱する。常に把握が必要なのは、動物の取扱いをめぐって起きる、そのときどきの問題・課題等の把握だと考える。 クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Articleケージフリーとはなにか。企業が持つべきケージフリーポリシーの定義 Next Article動物愛護法の運用を左右する施行規則、ロビー活動とパブコメを終えて 2020/02/07