犬猫の殺処分ゼロを目指す超党派議連の中に作られている動物愛護法改正プロジェクトチーム(PT)は2023年8月25日を皮切りに、21回のPTが開催された。関係者からのヒアリングと議論を行い、方向性を定めてきている。しかし、この21回の中で畜産動物に割り当てられたのはたったの1回、実験動物に割り当てられたのもたったの1回だった。10億の畜産動物が毎年殺されているが、国会議員の課題意識はまだまったくついてきていない。たった1回行われたPTでは、感触は悪くないものの、2025年の改正では満足の行く改正は行われないだろうと予見される。このままでいけば・・・第17回PT 畜産に関するヒアリング機関投資家、アニマルウェルフェア畜産協会、アニマルライツセンターがヒアリング対象者であり、それぞれの視点から問題点を指摘した。発言した機関投資家は当会でも社内での研修などに協力をさせてもらっており、アニマルウェルフェアに詳しい。ESG投資のなかで、アニマルウェルフェアが重視されてきていることや、日本の食品企業に対する畜産動物のアニマルウェルフェアにおける評価が低いことなどが指摘された。また国内でも他の機関投資家向けのアニマルウェルフェアの講義などが行われており、意識が向上している現状を紹介した。アニマルウェルフェア畜産協会からは、農林水産省が作成したアニマルウェルフェアに関する飼養管理指針(および世界動物保健機関の動物福祉規約)すら現在の畜産業においては守られておらず、ここに強制力をもたせる必要があることが指摘された。また、食肉処理場で働く獣医師が、動物の健康を守る立場であるにも関わらず動物への不適切な扱いを指摘する根拠法がなく、獣医師としての本分を果たせていないことが指摘された。例えば飲水設備がないことなどだ。そして私達アニマルライツセンターからは、現在の畜産業者の実際の意識の低さを内部告発をもとに指摘し、とくに飼育密度の適正化と、屠殺時の事前スタニングが必要である理由を訴えた。屠殺時の事前スタニングが8割以上の鶏の屠殺場で行われておらず、国際的なルールから明らかに逸脱していることなどを訴えた。国会議員の反応は悪くはないが、実際には厳しい状況が続いている。なぜなら現在の国会議員は畜産動物のアニマルウェルフェアを実際に上げていくことに基本的に無関心であるからだ。ずっと「犬猫が先だ」「犬猫の問題が終われば畜産や実験をやる」などと言われ続けてきたが、これはまったくの嘘だ。犬猫の問題は生体販売が禁止にならなければ終わりは来ないし、動物虐待という犯罪を犯す人間はゼロにはならない。犬猫が先なのではなく、問題がより深く、犠牲数が比較にならないほど多く、動物の苦しみがより大きい畜産動物を先に取り組まなくてはならない。動物の問題は、動物だけの問題ではなく、経済、持続可能性、人の健康の問題でもある。残念ながら畜産こそを先にと言ってくれる人はまだ少ない。目の前にいる少数の動物に気を取られがちだ。どうか、この記事を読んだ方には、「畜産動物についての画期的な法改正がなければ意味がない」と強く国会議員に訴えてほしい。クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Articleウィンドレス鶏舎がどれほど残酷か Next Article豚の共感能力。そして思いやり。目撃しよう。 2024/11/20