アニマルライツセンターも参加している県民のいのちとくらしを守る共同行動委員会(神奈川県)で2016年度の神奈川県との交渉を行いました。畜産動物(産業動物)について産業動物の適正な取扱いの推進について団体:「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針」の「(7) 産業動物の適正な取扱いの推進」の中で、 「 このような国際的な動向、関係法令等との整合性、我が国の実情等を踏まえ、我が国では各畜種について、民間の取組により『アニマルウェルフェアの考え方に対応した家畜の飼養管理指針』が既に作成されているところであり、その普及啓発を進めていく必要がある。」 とある。 また、同指針の中には 「イ 産業動物の性格に応じた動物の愛護及び管理の必要性に関する普及啓発を推進すること。」とある。 また、産業動物の飼養及び保管に関する基準には、「4管理者及び飼養者は、産業動物の使役等の利用に当たっては、産業動物の安全の保持に努めるとともに、産業動物に対する虐待を防止すること。 管理者及び飼養者は、その扱う動物種に応じて、飼養又は保管する産業動物の快適性に配慮した飼養及び保管に努めること。」 とある。 さらに神奈川県動物愛護管理推進計画には、 「産業動物に関しては、関係団体等と連携し、『産業動物の飼養及び保管に関する基準』の周知徹底を図ります。」とある。 「アニマルウェルフェアの考え方に対応した家畜の飼養管理指針」は2011年に作られているが、農林水産省の指示で畜産技術協会が2014年度に行ったアンケート調査では、この指針を知らないと回答したのは、肉用牛生産者の72.4%、乳用牛生産者の77.0%、豚生産者の46.7%、ブロイラー生産者の64.2%、採卵鶏生産者の37.7%であり、いまだに普及が不十分です。さらに、消費者についても、アニマルライツセンターが2015年3月に行った一般調査会社を利用した意識調査で、アニマルウェルフェアまたは動物福祉という言葉を知っているかという問いに対し、「知らない」と答えた人は実に86.7%に上った。この指針および産業動物の性格に応じた動物の愛護及び管理の必要性を、生産者、畜産関係機関や企業、消費者に対し、普及啓発を行った実績を提示すること。県:本県も、産業動物の適正な取扱いの推進の重要性については認識しているところです。そこで、産業動物の生産者に対する指導等の事務を所管している部局に対して2013(平成25)年8月に告示された「産業動物の飼養及び保管に関する基準」を送付するとともに、関係者に対する周知を依頼し、生産者等による自主管理の推進に努めています。 なお、産業動物を含め、動物の不適切な飼養実態があった場合には、必要に応じて、その飼養者に対する指導等を実施してまいります。団体:「アニマルウェルフェアの考え方に対応した家畜の飼養管理指針」は畜産振興の観点から農水省の予算で畜産技術協会により作成されていることから、環境農政局農政部畜産課を通じ、生産者、畜産関連団体に対し周知徹底を行うこと。また、「アニマルウェルフェアの考え方に対応した家畜の飼養管理指針」は2016年6月~9月にかけ、一部改正となったため、環境農政局農政部畜産課を通じ、改めて通知すること。産業動物の最低限の福祉の担保について団体:畜産業は、現在は動物取扱業に当たらないが、産業動物は愛護動物であり、動物愛護及び管理に関する法律が適用される。しかし、実際には以下の罰則規定すら守られない事例を、アニマルライツセンターでは近年見聞きするようになった。 同法では、次のように規定していて、これに違反していることも多い。 ————- 第六章 罰則 第四十四条 「1 愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。 2 愛護動物に対し、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、又はその健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であつて疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であつて自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行つた者は、百万円以下の罰金に処する。」 および、 第三章 動物の適正な取扱い 第一節 総則 (動物の所有者又は占有者の責務等) 第七条 第一「その動物をその種類、習性等に応じて適正に飼養し、又は保管することにより、動物の健康及び安全を保持するように努める」 ————- しかし、畜産業では中に立ち入ることは難しく、虐待的扱いがあっても部外者は知ることができない。そのため、各業者、関係者の啓発がより重要である。 畜産に関わる、生産者、輸送業者、と畜関係者、食肉検査担当者に対し、「アニマルウェルフェアの考え方に対応した家畜の飼養管理指針」はもとより、「動物の愛護及び管理に関する法律」「産業動物の飼養及び保管に関する基準」「動物の殺処分方法に関する指針」「国際獣疫事務局(OIE)動物福祉の陸生コード(陸上での動物の輸送・海上での動物の輸送・航空での動物の輸送・動物の屠殺・疾病制御の目的のための動物殺処分・動物福祉と肉牛生産システム・動物福祉とブロイラー生産システム・動物福祉と乳牛生産システム)」また、「アニマルウェルフェアの向上を目指して(公益社団法人畜産技術協会)」との周知徹底と理解の促進を行うこと。県:本県も、産業動物の適正な取扱いの推進の重要性については認識しているところです。そこで、関係する通知による関係部局への周知等に努めてまいります。団体:の基準の通知とともに、「動物愛護及び管理に関する法律」が産業動物にも適用されるむねを通知すること。さらに、「動物の殺処分方法に関する指針」に違反する動物の淘汰方法を実施している業者があることを(神奈川県下ではないが一般的に行われていると聞くものだが)、内部告発により知った。例えば子豚や鶏は地面などに叩きつけて殺す、鶏は生きたまま焼く、豚は首吊りで殺すなどである。「動物の殺処分方法に関する指針」には、「殺処分動物の殺処分方法は、化学的又は物理的方法により、できる限り殺 処分動物に苦痛を与えない方法を用いて当該動物を意識の喪失状態にし、心機能又は肺機能を非可逆的に停止させる方法によるほか、社会的に容認され ている通常の方法によること。 」とあり、上述の方法が社会的に容認されている通常の方法でないことは確かである。 さらに、「国際獣疫事務局(OIE)動物福祉の陸生コード(陸上での動物の輸送・海上での動物の輸送・航空での動物の輸送・動物の屠殺・疾病制御の目的のための動物殺処分・動物福祉と肉牛生産システム・動物福祉とブロイラー生産システム・動物福祉と乳牛生産システム)」また、「アニマルウェルフェアの向上を目指して(公益社団法人畜産技術協会)」は、畜産振興の観点から作成されているものであり、アニマルウェルフェアは動物の健康と食品の安全に寄与するとして振興されているものである。環境農政局農政部畜産課を通じ、生産者、畜産関連団体に対し周知徹底を行うこと。産業動物の災害対策について団体:東日本大震災、さらに平成28年熊本地震でも、産業動物への被害とその対策の遅れが指摘されているところである。実効的な災害対策が未だにどの都道府県でも策定できていない状況である。膨大な数の産業動物を抱えるために対策が取れず、動物が放置されがちであるが、放置するということは動物愛護の精神に大きく反する虐待的な状態になることを認識し、各自の対策、他地域や他の業者との連携、行政との連携が求められる。 1)神奈川県動物愛護管理推進計画の中で、産業動物の災害時の対策について「災害時における取扱いについて関係機関と情報の共有を図ります。」とあるが、どのような情報をどのように共有したか実績を提示すること。 2)まずは、自主的な災害計画を策定することを各生産者、業界団体指導してはどうか。 3)行政として、最低限、災害時の安楽死処分の方法や手順等を策定すること。県:災害時における産業動物の取扱いについては、「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針」において、関係省庁が協力して検討するとされていることから、国の動き等について情報を収集することとしています。 今後、関係省庁による検討結果に基づき、災害時における産業動物に対する対応を検討してまいります。団体:1)について、国の動き、関係省庁の検討結果についての情報を待っている状況であることを理解したが、災害は明日にでも起こる可能性があり、現状のようにただ国の動きを待っていれば対策が遅れを取ることは必至である。最低限、2)についてはすぐにでもできるのではないか。さらに3)について、事前の方法の決定や薬剤や人員の確保の方法やルート等をしておかなくては、再び悲惨な方法での殺処分が行われることになるため、早急に検討を開始すること。また、当然「動物の殺処分方法に関する指針」に則った方法であり、パコマ消毒薬など大変な苦痛を伴う方法は使用しないこと。 動物愛護の観点からは動物を守ることが主眼となるが、結果的に損害を被るのは畜産農家でもある。そのため、動物愛護の観点からだけでなく、環境農政局農政部畜産課と連携し、対策を講じること。なお、その際にアニマルウェルフェアに配慮された殺処分方法等の対策を検討すること。県:担当部署につたえる。 クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous ArticleOIE陸生動物衛生規約 第7.3章 陸路による動物の輸送(日本語訳) Next Article日EU経済連携協定(EPA)畜産動物福祉の交渉 2017/05/20