アニマルライツセンターはNPO法人動物実験の廃止を求める会(JAVA)と、PEACE 命の搾取ではなく尊厳を の3団体でパートナシップを組み、改正に向けた活動を種々行ってきました。この取り組みは、2016年11月にはじめ、実に2年半に及びました。改正の内容自体は不十分な点が大きいものの、間違いなく前進したといえます。また、動物愛護法改正のロビー活動ではありましたが、これまでアプローチできていなかった多くの議員に、畜産動物や実験動物、犬猫以外の動物たちの悲惨な状況、改善の必要性を訴えることができました。アニマルライツ3団体での結束の強さ、迅速かつ丁寧な対応、知識の深さと呼びかけに応えてくださった多くの皆様の多くの声により、議員の先生方の信頼を徐々に勝ち得ていき、次に繋がる活動であったと考えています。改正までの動き動物愛護法は1998年に議員立法で制定され、その後3回の改正、そして今回の改正も議員立法で行われました。議員立法とは、議員によって法律案が発議され、成立した法律のことで、つまり国会議員への働きかけが最重要となります。私達は3団体で国会会期中は毎週議員会館に足を運び、議員に陳情をして回りました。何度も話を聞いてくださったり、重要な場面で意見を代弁してくださったり、後述するヒアリングの場に呼んでくださったりと、私達の要望に多くの議員が理解を示してくださいました。最初は旧民進党から最初に動物愛護法改正作業に取り掛かったのは民進党(旧民進党)でした。2016年11月から2017年6月までの間に、何度もヒアリングを開催し、動物実験や畜産動物についてもそれぞれ専用のヒアリングが行われました。私達も毎回出席をし、意見をさせていただきました。しかし、2017年の衆議院議員選挙時に民進党がばらばらになり、中心となっていた田島一成議員が落選、積み上げた土台が崩れてしまいました。犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟2017年通常国会からは超党派の「犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟」(以下超党派議連)が動物愛護法改正の専用のプロジェクトチーム(PT)を立ちあげ、ここでもヒアリングが始まりました。しかし、このPTでは残念ながら犬と猫の問題だけが何度も何度も繰り返し取り上げられ、また芸能人と弁護士とメディア関係者のみがアドバイザーになり、動物保護団体は一つも入れないという方針であり、最も現場を知っているはずの動物保護団体が意見できないという状況に陥りました。私達は毎回傍聴をし、理解のある国会議員を通じて、または人づてに、または後からアドバイスをするという形を取らざるを得なくなりました。 ヒアリング対象として呼んでいただいた場合は発言が叶います、私達も何度か問題提起をする側に回りました。例えば唯一犬猫以外のトピックスのPTとなった「移動展示販売」についてでは、エキゾチックペットたちの悲惨な展示販売の問題を知っていただき、規制に踏み出させることができました。 また、2018年6月にPTが終了し、その後にはよりコアな議員が集まり、条文化作業会議が開かれました。ここには私達3団体は11回中6回出席し、立法事実を提示し、また具体的な法文の案、課題の解決案を示してきました。 私達3団体は、法文の改正案全文(逐条案)を作成しており、それをベースに法文化作業が進められていきました。各党へのアプローチ自民党は「自民党どうぶつ愛護議員連盟」があり、マイクロチップについてと、改正案が提示された後のヒアリングに呼んでいただき、発言しました。また、立憲民主党、自民党、国民民主党、自由党でも私達の改正の要望を説明させていただきました。最終的には、超党派議連の案と、自民党の案をすり合わせ、最終的な法文案が作られました。また、法律に付随する附則、改正の意図を示す付帯決議の内容についても、最後まで議員を説得して回りました。市民へ、または市民との動き2017年にはアニマルライツセンターで勉強会を、さらに2017年7月に3団体でセミナーを開催し、大阪でも3団体で勉強会を開催しました。2018年3月には緊急院内集会を行って23名もの議員の皆さんが出席くださいました。また議員立法とはいえ、愛護法を運用する環境省の意見は重視されるため、動物愛護室長にも何度となく申入れをしました。そして、皆様にご協力をいただき、10万筆以上の請願署名が集まりましたが、39名もの議員の方たちに紹介議員になってもらって国会に提出しました。この時点で多くの議員の賛同を得ることができていたのだと思います。さらに、皆様のご協力で国会議員にすべての動物たちのための改正になるようにというお手紙、はがきをたくさん送っていただきました。動物への暴力、止められるのか2年半、全力で取り組んで参りましたが、法改正は本当に難しいものです。私達の意見とは真逆の業界が、あからさまに抵抗を示し、改正案は何度となく危機的状況に陥りました。ペット業界もそうですが、動物実験関係者、畜産業界関係者の力は相当に強いものだと、あらためて実感しました。 しかし、動物愛護法は虐待防止です。業界は本来であれば否定出来ないはずのことしか書かれてはいません。私達が求めた内容もアニマルウェルフェアを向上させるものというよりは、暴力を止めるためのものという内容でした。 今後もとめられるのは、業界を説得していくことなのだろうと思います。今後も3団体、もしかしたらもっと多くの団体と結束していくと思います。皆様とも、力を合わせ、もっとよい国に変革させていきましょう。 改正後の法文全文はこちら https://arcj.org/download/doubutsu-aigo-hou-2019/附帯決議はこちら https://arcj.org/download/doubutsu-aigo-hou-hutaiketsugi/アニマルライツセンター解説はこちら https://arcj.org/issues/legal-advocacy/animal-protection-act-commentary/クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Article改正動物愛護法2019 解説 Next Article動物の餌になる大豆が森林を破壊する 2019/07/21