アニマルライツセンターも参加している県民のいのちとくらしを守る共同行動委員会(神奈川県)(以下いのくら)で2018年度の神奈川県との交渉を行いました。動物福祉(アニマルウェルフェア)面での指導が不十分毎年の交渉時に、動物福祉面での指導が不十分である点を指摘しています。神奈川県は動物福祉面での指導実績をほぼはあしておらず、毎年の回答に「福祉面での指導実績はない」と回答していました。 しかし今年度はアニマルライツセンターから指導を依頼し、福祉面の指導をしていただいた実績があり、回答自体が誤りであることがわかりました。このように長い期間神奈川県民の暮らしを良くするために多くの団体が大連携を組んでいるいのくらへの回答に、誤りを記載してきたことは残念でなりません。 また、例えば小さな平屋建てに77頭の親犬がいる(実際にある動物取扱業者です)として登録されているものが、適切であると考えているのか、確認をしましたが、これについては適切であるという認識でした。 私達市民の感覚や、アニマルウェルフェアを保つことのできる環境と、行政や動物取扱業の認識の差は明らかです。もう1件指導をしていただいたところについては、「指導したうちの一部が改善しており引き続き指導をする」と回答されました。またこの業者については複数回指導を行っていただいています。一部改善が見られたとしても、通常は行政に指導を受けた箇所はすべて改善する義務があり、また通常の感覚であればそうするのではないでしょうか。 また、神奈川県が管轄する動物取扱業は1000件近くあり、視察に行くのは年400件ほどに限られています。これらのやり取りから、 ・視察と指導には抜き打ちで行くこと ・何度もいくのではなく、前回指導したところがひとつでも改善されていなければ、勧告、命令を行うこと の2点をお願いしました。神奈川県の業者はレベルが低すぎ犬猫等健康安全計画及び犬猫等販売業者定期報告届出書の提出率が昨年に引き続き今年も低いことがわかりました。 2017年度の各月ごとの提出済率は4月:12.3%、5月:37.6%、6月:43.2%、7月:45.1%、8月:45.4%、9月:46.6%、10月:46.9%、11月:47.2%、12月:78.1%、1月:80.9%、2月:82.1%、3月:84.3%です。 5月末までには提出することが義務付けされているものです。 川崎市などは毎年5月末には100%になっています。神奈川県管轄の業者は、出さなくても許されることがわかり、もやは確信犯的に、法律をないがしろにしているものと考えられます。 たまたま出し忘れたところもあるとのことでしたが、法的義務付があり、また商売を行っている中で「たまたま忘れる」なんてことは許されないはずです。 これら書類は、その有無が環境省令の取り消し要件になっていないため、勧告などを行うことができないと言います。動物愛護法とその運用の実効性のなさにはつくづく失望します。神奈川県の団体の質も下がり始めた神奈川県は動物保護の運動が早くから盛んになってきた場所であり、意識の高い団体、他の見本になるような団体が多数あります。しかしその良いイメージはこの2年で崩れていっています。 それを如実に表すのが、不妊去勢に対する意識です。 神奈川県は不妊去勢をしたら連絡表を回収し、完全履行されたかどうかを確認しています。 この不妊去勢手術の連絡表、動物愛護団体からの回収率が大幅に下がったのです。譲渡の別2016年度回収率(%)2017年度回収率(%)犬保護センターからの譲渡100100犬ボランティア経由9777猫保護センターからの譲渡100100猫ボランティア経由9750 提出率低下の理由について、行政は「ボランティア経由・個人経由の連絡票の未提出分については、催促するも確認・集計中である旨の返答があり、提出を待っている状況です(現時点での提出率は犬78%猫60.7%です)。連絡票の提出が滞りなく行われるよう、様式や確認方法について改善が必要と考えています。また、ボランティア登録の見直しも検討していきます。」 と課題を認識されていました。この話し合いは2018年11月、半年も集計にかかるのも、またその間不妊去勢をしていないということも考えられないことです。この連絡表は簡単な記載のみです。これすらできない団体に、動物の適切な管理ができるとは考えられません。殺されるところであった動物から、再び繁殖され不幸な動物が増えるということはあってはならないことです。 ・回収の徹底 ・ボランティア登録の見直しにあたっては長年神奈川県の動物愛護を向上させてきた実績をもつ(一時的な解決ではなく)団体の意見を聞くこと をお願いしました。移動展示販売をこそっとやってこそっと帰っていく業者「移動展示、移動販売について登録を不要としているケースはありません。」とする神奈川県。ただし24時間以上の興行は登録が必要、1日興行し、登録地に持ち帰り、次の日に持ってくるのは登録不要にしているが、昨年要望をうけたため、その運用も検討している最中です。 つまり、すべての興行は、神奈川県に一度相談し、確認しなくてはなりません。 しかし、その曖昧な運用を環境省が定めてしまっているがために、興行に来る業者が登録をせずに違法に展示や販売を行っているケースがあります。通報がなければ県は把握することすらできません。 足柄で行われたわんにゃんフェスタは2日間の興行で、駐車場で、粗末なテントに多数の動物のケージを積み上げ、違法に販売を行っていました。この事例についてはこの業者の登録地であった山梨県に対し、指導を行っていただきました。 他にも県も気が付かない違法興行があるかもしれません。 どこかで動物の移動販売、移動ふれあい、移動展示を見かけたら、都道府県に確認をし、許可を得ているのか、適切だと都道府県が考えているのか、問うてください。 市民の通報にかかっています。動物福祉面、良くなるの?「愛護センターを新しくする際に動物取扱業への監視も強めるなどしたい。愛護センターが新しくなっても何も変わらないということにならないようにしたい。」 とおっしゃっています。しかし、建物というハード面が整備されたからと言って、監視や指導のソフト面がどれほど変われるのでしょうか。 この意気込みはとても重要で評価したいと思いますが、愛護センター建設と同時に、実効性のある指導と業務遂行(具体的な改善をさせていく)ことができるようにする必要があります。 運動をさせていない、短い鎖で常に繋がれている、水がない、檻が狭い、羽が広げられない、まっすぐ体を伸ばせない、常同行動をしているなど、不適切な飼育を見つけたら、管轄の都道府県に直ぐに連絡をし、指導をしてもらってください。 行政は市民の声がなければ動けません。クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Article【輸出食肉】「海外へ輸出する牛の屠殺方法」と「国内消費の牛の屠殺方法」に、アニマルウェルフェア格差 Next Article73頭の牛農家の短編映画『73 Cows』日本語字幕付きを公開 2019/01/07