アニマルライツセンターも参加している県民のいのちとくらしを守る共同行動委員会(神奈川県)で2016年度の神奈川県との交渉を行いました。家庭動物、動物取扱業について動物取扱業の不適切な飼育についての福祉的な指導について一種、第二種取扱業において、不潔な環境、狭い檻や短い鎖等での拘束飼育、過密飼育、飼養者の数や施設の大きさに対して動物の数が多過ぎる、動物の状態が悪い…等、不適切な飼養管理が行われていることが県内施設についても通報を受けることがある。飼育数や施設の状況や動物の状態について把握をし、福祉面での不適切な飼育を指導すること。 また、福祉面の指導により改善したケースを提示すること。県:動物取扱業における動物の不適切飼養の防止については、第一種、第二種ともに、動物取扱業の新規申請時に提出される書類及び申請に伴う現場調査において、施設の広さや飼養者の数に対する動物の数について確認しており、動物取扱責任者研修においても適正飼養について説明するなど、法令遵守が徹底されるよう指導しています。 また、監視時や通報に基づく調査時に不適切に飼養している実態が確認されたものについては、その都度、状況に応じて指導を行っています。 指導事例としては、ペットショップで目が赤くなっている動物がいたため、店頭からさげ、獣医師の診察を受けるよう指導しました。 また、動物が自ら容器をひっくり返してしまうことにより、常時給水給餌がなされていなかった件については、指導により容器を固定することで改善された事例がありました。死亡率が高い動物取扱業への指導について2014年の「第一種動物取扱業者等への監視、指導等の徹底について」に続き、2016年1月には各自治体宛に「第一種動物取扱業者に対する監視、指導等の徹底について」が通知され、取扱業のいっそうの監視が必要であることが明らかとなったと考えている。特に取扱業における死亡率に関しては、動物福祉のレベルを表す指標となる。これらを踏まえ、取扱業に対し、どのような監視、指導を行ったか提示すること。県:犬猫等健康安全計画及び犬猫等販売業者定期報告届出書が未提出の施設に対しては、現地調査を行い、提出を指導しました。 また犬猫等販売業者定期報告により他の施設に比べて死亡率が高かった取扱業者に対しては施設に立ち入り調査を行いました。団体:ありがとうございます。福祉的な指導の基準の向上について団体:「動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目」第三条には、 「ケージ等は、個々の動物が自然な姿勢で立ち上がる、横たわる、羽ばたく等の日常的な動作を容易に行うための十分な広さ及び空間を有するものとすること。又、飼養期間が長期間にわたる場合にあっては、必要に応じて、走る、登る、泳ぐ、飛ぶ等の運動ができるように、より一層の広さ及び空間を有するものとすること。」 とある。 さらに第四条には、 「ケージ等に、動物の生態及び習性並びに飼養期間に応じて、遊具、止まり木、砂場及び水浴び、休息等ができる設備を備えること。」 これら細目は犬猫にのみかかるものではない。 しかし、特に犬猫以外の動物において、広さ、空間の確保が不十分であるケース、習性に応じた遊具や止まり木、砂場、水浴び、休息等ができる設備を備えていないケースが多々見受けられる。取扱業の飼育環境について、指導を行う福祉面の基準の底上げをすること。県:ペットショップにおける小鳥の密飼い、成犬販売時のケージの大きさの不足、展示動物の休息または隠れ場所の不備等があった場合については指導を行っています。 施設設備の設置状況、衛生面等の監視指導に努めます。 団体:B:動物の福祉とは、動物行動学やストレス実験などに基づく科学的に規定されるものであり、その動物種にとってどのような環境が必要であるかは各文献などにより明らかになっている。指導を行う際の動物種ごとの基準を提示すること。譲渡した動物の不妊去勢手術の徹底について動物保護センターに誓約書を提出して犬猫を譲り受けた方に、不妊去勢手術を完全履行させること。 手術した旨をセンターに報告する「連絡票」の、2015年度回収率を、「犬猫別」、「保護センターからの譲渡/ボランティア・個人経由の譲渡別」に示したものを資料提供すること。 県で不妊去勢手術を行った犬猫の数値の資料を提供すること。 また、ボランティアに譲渡する犬や猫の一部のみでなく、一般譲渡を含め、全頭手術にすることが最も確実である。100%実施を行うこと、およびそのための設備を整えること。県:2015(平成27)年度の動物保護センターにおける連絡票の回収率については、次のとおりです。 譲渡の別 回収率(%) 犬 保護センターからの譲渡 100 ボランティア経由 97猫 保護センターからの譲渡 100 ボランティア経由 97 次に、県が実施した避妊・去勢手術の実績は、犬が77頭、猫が47匹です。 また、繁殖を望まない犬や猫に対する避妊・去勢手術の実施は重要なことであると認識しており、ボランティアに譲渡する際も可能な限り不妊手術を実施したいと考えています。 なお、動物保護センターは、2019(平成31)年度当初開設を目指して建替えます。 また、昨年度8月から譲渡する動物については、原則としてマイクロチップを装着した上で、譲渡しています。 団体:B:県から譲渡する際の不妊・去勢手術やマイクロチップの装着の実施は先進的であり高く評価している。 一方、ボランティア経由からの譲渡時に3%回収ができていない点には懸念を覚える。近年、不妊・去勢手術を行わない団体がその資金力などを元に各地で活動を広げており、神奈川県内でも活動を行っていることがわかっている。不妊・去勢手術を行わない団体があり、それを公にはしていないことを把握し、譲渡する団体、およびその動物の行き先に関し、審査をする仕組み(内部での共有含め)を検討してほしい。譲渡後の報告について団体:前々年度、前年度に犬や猫を譲渡した方から、譲渡した犬や猫の写真、近況報告等を送付するように依頼をしているとのことであるが、その回収率を提供すること。 また、動物を譲った以上、動物たちのその後を把握することは必須であるため、この近況報告を義務にすること。(新)県:譲渡後の近況報告回収率は、次のとおりです。 2014(平成26)年度譲渡の犬 20/24頭( 83%) 猫 13/20匹( 65%) 2015(平成25)年度譲渡の犬 32/34頭( 94%) 猫 24/26匹( 92%) 近況報告については、2度依頼しても提出されない場合には、当該飼い主に対して電話で近況を確認した結果、譲渡したほぼ全員の方から送付いただきました。 よって、近況報告を義務化するのではなく、今後も、譲渡先の県民と必要に応じて連絡をとりながら、適正飼養の推進を図ってまいります。 また、昨年8月21日から、動物保護センターから譲渡する犬や猫については、原則としてマイクロチップを装着した上で譲渡しています。団体:回収率が大幅に改善されており、評価する。ありがとうございました。一般家庭での不適切飼育について団体:犬の散歩をさせない、短い鎖につないでいる、道路に面した場所につないでいる、給餌給水が不十分である等、虐待的飼い方が行われるケースがある。昨年度の動物の飼育方法(鳴き声がうるさい等の苦情ではなく)についての通報件数を提示すること。 また、確認後に不適切な飼育があったと判断し、指導した件数、およびその指導内容を説明すること。県:2015(平成27)年度に保健福祉事務所に寄せられた動物に関する通報は、 42件でした。 ただし、これらの中には、通報の対象となった動物の飼養者は適切に飼養している場合もあり、すべてが指導対象となるものではありません。 保健福祉事務所は、通報に基づき、必要に応じて現場を確認し、不適切な飼養状況等を確認した場合には、その状況に応じた指導を行っています。 なお、確認後に不適切な飼育があったと判断し、指導した件数は27件あり、その内容としては、動物の体表・周辺環境を清潔にすること、給水容器の設置を工夫することなどがありました。団体:残りの15件の指導を行わなかった理由を提示すること。 衛生面、給餌給水などの面での指導だけでなく、運動や動物の生態を損なわない飼育が必要であるが、散歩を行っていない、繋ぎっぱなしである、ネグレクト状態であるなどについての指導は行われていないか。これらは当会には最も多く入ってくる通報である。福祉的な指導を行うための基準・内規の策定について団体:家庭動物等の飼養及び保管に関する基準の第4 2項に「2 犬の所有者等は、犬をけい留する場合には、けい留されている犬の行動範囲が道路又は通路に接しないように留意するとともに、犬の健康の保持に必要な運動量を確保するよう努めること。」とあるが、通常何平方メートルのスペースが有ればよしとしている規定や、犬の運動量について等の具体的な規定がない。神奈川県が指導をするかどうかの判断基準となる基準または内規等、福祉基準を規定すること。 なお、上記福祉基準は取扱業についても、同様に策定すること。県:「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」を踏まえた犬の係留の際の具体的なスペースの広さや、運動量の規定についてですが、係留場所や係留状況等を踏まえて、個別に対応すべきであると考えます。また、必要な運動量は、犬種やその犬の年齢、健康状態によっても大きく異なるため、個別に対応しており、これらについては、動物取扱業でも、同様に対応しています。団体:上述の通り、動物の福祉とは、動物行動学やストレス実験などに基づく科学的に規定されるものであり、その動物種にとってどのような環境が必要であるかは各文献などにより明らかになっている。個体ごとの必要な運動量や広さ等に関しても、科学的知見を元にした基準があった上で、そこに追加して考慮されるものである。そのため、主観的に飼い主等がこれでよいと判断している環境が誤っていることは多々あるため、そのベースとなる基準が必要であると考える。再度検討をお願いしたい。持ち込み拒否をしたその後の経過把握について団体:動物を放棄するために持ち込み、またはその相談をしてきた県民で、行政の指導により、動物を持ち帰った、または持ち込みをしなかったケースにおいては、その後動物が必ずしも良い環境で飼育されるとは考えにくく、ネグレクトや不良飼育に陥る可能性が高い。その動物のその後の経過を把握すること。(改)県:行政が引取りの相談を受けた際には、再検討を促しているところであり、検討しても譲渡先等が決まらない場合は、再度連絡するよう伝えることとしています。団体:持ち込み、又はその相談があった件数と、実際の持ち込みの件数を提示すること。WEBサイト内の係留についての表記について団体:神奈川県のサイトに「犬の放し飼いは、「神奈川県動物の愛護及び管理に関する条例」により禁止されています。必ずつないで飼いましょう。」との記載があるが、動物の習性についての理解の向上と福祉的捉え方の変化から、つなぎ飼育のみを規定することは時代に反している。さらに、神奈川県動物の愛護及び管理に関する条例 には 「 (7) 係留 動物を丈夫な綱、鎖等で固定したものにつなぎ、拘束しておくこと又はおりに入れ、若しくはさくその他の障壁を設けて収容しておくことをいう。」 とあり、つなぐことを義務とはしていない。サイトには逸走防止の方法(屋外放飼場のフェンスの高さや室内飼育時の室内用フェンスの設置等)について具体的に記載すること。 また、係留する場合はガイドレールの設置により運動範囲の確保をする等の福祉的な観点も含めること。県:散歩中に放し飼いをしている飼い主がいることも踏まえて啓発しているものであり、「係留」には、動物が逸走しないよう室内で飼育する場合も含んでおります。 散歩中の放し飼い禁止の徹底を踏まえた上で、引き続き啓発に努めてまいります。団体:「必ずつないで飼いましょう。」が散歩中にも該当することは理解たが、もしそうであれば、そのことは別途追記すること。「つないで飼う」という言葉には、鎖又は綱で動物を拘束して飼育するという意味以外は持たない。言葉不足であるため、例えば以下のように改善をすること。 『犬の放し飼いは、「神奈川県動物の愛護及び管理に関する条例」により禁止されています。 動物が逃げ出さないよう、つなぐ、フェンスで囲う、または室内飼育などの方法で飼いましょう。その際、動物の生態及び習性を損なわない運動範囲を確保しましょう。つなぐ場合はガイドレールを使い動物の運動範囲を広げながら逸走防止を講じることが可能です。 また、散歩をするときは必ずつないで散歩をさせましょう。』 なお、散歩については次の段落に記載されているように思われ、そちらに含めることが適切と考える。そのように修正されました。 http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/p41481.htmlクリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous ArticleOIE陸生動物衛生規約 第7.3章 陸路による動物の輸送(日本語訳) Next Article日EU経済連携協定(EPA)畜産動物福祉の交渉 2017/05/20