2016年から改善要望を続けている、エキゾチックアニマル(おもに爬虫類)の展示即売会「東京レプタイルズワールド」が2017年5月20日~21日も池袋で開催されました。前回に続き、今回もアニマルライツセンターは視察に行ってまいりました。 以前から「東京レプタイルズワールド」における爬虫類を初めとする動物たちの展示方法は問題視されており、衆議院議員の田島一成議員・初鹿明博議員、そして環境省もこの展示即売会の視察に行ってくれました。 動物保護団体としても当団体だけでなく、動物保護団体のPEACE 命の搾取ではなく尊厳を、NPO法人動物実験の廃止を求める会(JAVA)も視察に行かれました。視察の結果、昨年12月に開催された同イベントと同じように、適切とは言い難い施設・飼養管理で動物が飼育されている事が分かりました。こちらは三団体(アニマルライツセンター、PEACE 、JAVA)共同でまとめた動画です。ヘビに必要な飼育面積-体を完全に伸ばせることが必要「体を完全に伸ばせなければならない」というのは、英国の獣医学会誌(BVA)「行動基準を用いた爬虫類の福祉評価法」にも記載されていますが、2019年に発表された論文「飼育下のヘビの空間的考慮事項」(Journal of Veterinary Behavior Volume 30, March–April 2019, Pages 37-48 Spatial considerations for captive snakes )ではさらに詳細な観察研究が行われています。この論文の結論部分から以下引用します。生態形態学的な関連性、修正、および先天的動因は、ヘビが通常のライフスタイルの一部としてかなりのスペースを利用し、生物学的に必要としていることを裏付けています。 しかし、飼育下のヘビは、一般的な管理方法が本質的な能力と自発的に体を伸ばすことができるという福祉がはく奪された唯一の脊椎動物である可能性があります。ヘビに日常的に課せられる空間的剥奪は、他の脊椎動物種には受け入れられません。より大きな囲いは多くのヘビのブリーダーや飼育者にとって重大な不便を表すかもしれませんが、多くのヘビを収容するための現在の一般的なアプローチは、科学的および倫理的に不当です。診療または不可欠な輸送目的などの短期間の閉じ込めを除いて、ヘビは、半樹上性または樹上性の種に関わる水平および垂直の両方を含め、体を完全に伸ばすことができない寸法の囲いに入れてはなりません。(略)ヘビ飼育の慣行は、通常、繰り返し発生する一般的な動物の扱いの問題を示しており、時間の経過とともに「悪い慣行は正常になります」(Silinski et al。、2016)。 ヘビ飼育における多くの誤解、信念、虚偽の事実、および悪い慣行の正常化は、良好な福祉への大きな障害を構成します。科学的な無知または実際的な利便性のどちらが、どの程度、ヘビの飼育習慣を支配しているかは不明です。トカゲに必要な飼育面積 2匹あたり最低 2.5L×2.0L(L =体の長さ)レプタイルズワールドではあらゆるエキゾチックアニマルが展示されています。どの種においてもその展示方法に問題が見られますが、例えばトカゲについていうと、野生動物の研究のすすんでいるオーストラリアのビクトリア州はトカゲに必要な面積を2匹あたり最低 2.5L×2.0L(L =体の長さ)としています*。一方でレプタイルズワールドで展示されているトカゲは体を伸ばすこともできないパックに収容されています。左図がビクトリア州で最低限必要だとされてるサイズ。右図がレプタイルズワールドで見られたサイズです。 (2017.5.20 東京レプタイルズワールド)レプタイルズワールドでは体をまっすぐに伸ばすことさえできない展示をされている動物もいます。このような展示方法は不自然さを通り越して異常ともいえます。会場を訪れる人の中にはこの異常さに驚き、「狭いね」と眉をひそめる人が少なくありませんでした。*ビクトリア州「動物の福祉のための実践規範 -飼育下の爬虫類」販売業者による説明責任問題があるのは、動物の飼養方法だけではありません。販売業者が守らなければならない第一種動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目で定められている各個体の表示(性別の判定結果、生年月日、生産地など)すらもしていない店舗が、前回同様相当数見られました。店員による購入者への説明義務も不十分で、たんに紙を差し出して署名させるのみで済まされている場面も見ました。 携帯電話でさえ店員による説明も丁寧に行われ購入に1時間以上かかりますが、相手はモノではなく生き物です。 さらに遺棄や逃亡させることになれば生態系を狂わすことにもつながる可能性があり、本来なら販売時の説明は1時間でも十分とは言えません。動物の愛護及び管理に関する法律には販売時における購入者への説明についても次のように書かれています。(動物販売業者の責務) 第八条 動物の販売を業として行う者は、当該販売に係る動物の購入者に対し、当該動物の種類、習性、供用の目的等に応じて、その適正な飼養又は保管の方法について、必要な説明をしなければならない。 2 動物の販売を業として行う者は、購入者の購入しようとする動物の飼養及び保管に係る知識及び経験に照らして、当該購入者に理解されるために必要な方法及び程度により、前項の説明を行うよう努めなければならない。しかしこのような丁寧な説明ができるはずもないのが、大量の動物を一か所に集め短期間で売りさばくという販売形態です。 「東京レプタイルズワールド」は”展示即売”を謳っていますが、そもそも動物を展示即売しようということがおかしいのです。展示即売会では購入者自身が、本当に適切な飼育ができるのかをじっくり考える時間もなく、その場の勢いでつぎからつぎへと動物が販売されていきます。購入者の責任動物の愛護及び管理に関する法律では、動物を飼育する人にも動物の習性に配慮した適切な飼育をする責務が求められています。家庭動物等の飼養及び保管に関する基準ではより詳細にわたって、家庭で哺乳類、鳥類及び爬(は)虫類を飼育する人が努めねばならないことが明記されています。 しかし東京レプタイルズワールドのようなたった二日間の展示即売では、「その日に買わねば」と購買意欲を掻き立てることにはつながりますが、購入者には熟慮する時間がありません。脱皮中の動物、妊娠中の動物も展示販売に複数の動物が脱皮中であったり、脱皮していたりしました。 湿気が足りなかったり、乾燥しすぎた状態では脱皮不全を起こすこともありますが、これらの動物の湿度に特別な配慮がされている様子は見られませんでした。 環境の変化などによる強いストレスを受けることで、途中で脱皮を止めてしまい脱皮不全になってしまう事もあります。隠れ場もなく光と騒音に常にさらされた状態で狭い容器に長時間閉じこめられているのは爬虫類にとって大きなストレスですが、脱皮中の動物はその場に展示されたままで、バックヤードに下げて広い場所に移動するなどの配慮をしている様子も見られませんでした。脱皮してしまったヘビ (2017.5.20 東京レプタイルズワールド)脱皮中のトカゲ (2017.5.20 東京レプタイルズワールド)また爬虫類の餌として「活妊娠マウス」も販売されていました。 ※活妊娠マウスとは出産しそうな生きたマウスです。繁殖させて産まれた子供を生きたまま爬虫類の餌にするために販売されています。 しかし妊娠したマウスを展示販売する行為は、展示動物の飼養及び保管に関する基準に反します。疾病にかかり、若しくは負傷した動物、妊娠中の若しくは幼齢の動物を育成中の動物又は高齢の動物については、隔離し、又は治療する等の必要な措置を講ずるとともに、適切な給餌及び給水を行い、並びに休息を与えること。次回の東京レプタイルズワールドは2017年12月2日~3日定期的に開催されているこのイベントはまた開催されます。 次回の東京レプタイルズワールド http://tokyo.reptilesworld.jp/意見先当法人はレプタイルズワールド実行委員会、テレビ愛知、東京都動物愛護相談センターなどへ、改善を求めて働きかけをしています。 皆様からもぜひご意見をよろしくお願いします。レプタイルズワールド実行委員会〒460-8787 名古屋市中区栄4-16-33 (日経名古屋支社ビル5階) テレビ愛知企画内E-mail: info@reptilesworld.jp レプタイルズワールドTwitter レプタイルズワールドFacebookテレビ愛知http://tv-aichi.co.jp/info/*テレビ愛知は実行委員であるテレビ愛知企画の親会社にあたります。クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous ArticleGood News!!!毛皮農場禁止令がチェコ共和国の下院通過 Next Article民進党内でアニマルウェルフェア研究会開催 2017/06/15