2024年度「企業のエシカル通信簿」結果が発表されている。この中で、アニマルライツセンターはアニマルウェルフェアの分野の調査を担当しており、以下の通りの調査結果となった。概要 トイレタリー製品企業に対するアニマルウェルフェア(以下動物福祉)の関心事項は、「動物実験」を避ける方針を持っているかどうか、動物実験を行う場合の制限や倫理員会や規則の内容「動物由来成分」を削減する方針を持っているかどうか、使用する場合はその動物の飼育や屠殺についてア動物福祉の基準を策定しているかどうかである。動物実験については、“化粧品(薬用含む)”についての方針はあるが、それ以外については方針がない傾向であった。また動物由来成分についてはトレーサビリティも行われておらず、把握も改善も進んでいない傾向であった。<今年度調査結果の特徴>P&G、ユニリーバは取扱製品分野が少なく、該当しない設問があり満点が低いために高評価になった獲得点数が高いのはロート、花王だった残念ながらクラシエ、サラヤはほぼ方針がない状態だった1.動物実験動物実験についての調査結果は、2回の紙ベースでのやり取りで動物実験の方針について正確に把握することは不可能であること、及び各社ポリシーの書き方があやふやであり、公開情報からも正確に把握できないということを前提のうえで、見る必要がある。昔から日本企業はあやふやな書きぶりで化粧品の動物実験などについて消費者に回答してきており、これ自体を企業は辞める必要がある。動物実験を避ける方針として求められる対応は、[化粧品=廃止][化粧品以外の医薬部外品/食品、農薬、化学物質=できる限りの動物実験廃止し分野ごと廃止を決定しその範囲を広げること][医薬品=できる限りの動物実験削減、行う場合の規定の策定と公開]と、分野ごとに異なる。化粧品分野については8社に方針があったが、他の分野についてはどの企業もあやふやであった。また、動物実験を行う際に必要な取り組み・開示事項は以下のものであり、ロート、花王での規定があった。動物実験倫理委員会に利害関係のない第三者を含めている使用した動物数を公開している動物実験は全てAAALACまたは一般財団法人日本医薬情報センターの外部認証を得た施設でのみ行う、または委託している動物実験のエンドポイントを定め、研究途中であっても切り上げることを規定している動物に携わる従業員に対し、動物福祉についてのトレーニングを行っていることを確認している代替法が存在する動物実験は行ってはならないとする方針がある動物実験を減らす目標を立て公表している2.動物性由来成分 動物由来成分として、豚由来成分 卵由来成分 乳由来成分 鶏肉由来成分 ヒアルロン酸等の成鶏由来成分などがあるが、これらについては、トレーサビリティの努力をしているP&Gと、植物性の石鹸素地を使用することを明言するサラヤの取り組みがあった。残念ながら、他の企業の取り組みはなかった。動物由来成分の動物福祉の確保は、利用するものとして、動物の扱い、殺し方に責任があることを認識してほしい。今後への期待 化粧品だけでなく、他分野での動物実験削減も当然必要なことである。命を利用するものの最低限の責任として、動物実験の削減、そして飼育や殺し方についての動物福祉の確保の取り組みを始めてほしい。 クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます) X Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます) Facebook クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます) X Share This Previous Article畜産を減らす方針:世界の動向 No Newer Articles 2025/06/18