2021年9月5日に実施される、茨城県知事選挙の立候補者へ、動物に関するアンケートを送付させていただきました。候補者は、大井川和彦氏(現職)と、田中重博氏(新人)の二名。茨城県は採卵養鶏飼養羽数が全国第一位、豚の飼養頭数が全国第六位の畜産王国。またレンコンの生産全国第一位の県でもありますが、防鳥対策として必須ではない蓮田への天井網設置により少なくとも2か月で2000羽もの野鳥が天井網に絡まり死に至るという事態が発生しています。動物問題は多岐にわたるため、アンケートは畜産動物、野鳥問題に絞らせてもらいました。アンケ―ト結果は下記のとおりです。※大井川和彦氏(現職)からの回答は、9月3日時点でいただいていません。回答があり次第掲載いたします。追記:大井川氏からの回答はありませんでした。田中重博氏(新人)1.採卵鶏のケージ飼育についてアニマルウェルフェア(動物福祉)の観点から、国際的に採卵鶏のケージ飼育が問題視されるようになっており、EUでは52%がケージフリー(平飼いや放牧など)、アメリカでは8州が採卵鶏のケージ飼育廃止を決定しました。国内においても採卵鶏のアニマルウェルフェア問題は、昨年からの元農水相の贈収賄問題で広く国民に知られるところとなりました。採卵鶏のケージ廃止を求める署名への賛同者は2万人を超えます。茨城県は採卵鶏の飼養羽数が全国第一位となっています。採卵鶏のケージ飼育について、今後どうあるべきか、貴殿のお考えをお聞かせください。回答採卵鶏のケージ飼育について動物福祉の観点からだけでなく、鳥インフルエンザなど感染症の蔓延防止の観点からも、バタリーケージ飼育は禁止するべきと考えます。私が知事になれば、この問題で国民・県民の認識の共有をはかり、みなさんといっしょに法律または条例の制定にむけて取り組みます。2.母豚の妊娠ストール飼育(母豚を一頭一頭転回できない個別の檻に収容する飼育方法)についてアニマルウェルフェアの観点から、国際的に母豚の妊娠ストール飼育が問題視されるようになっています。2018年5月、日本も加盟するOIE(世界動物保健機関)は、陸生動物規約「アニマルウェルフェアと豚生産システム」を可決しましたが、この規約には次の一文が盛り込まれました。「成熟雌豚及び未経産雌豚は、他の豚と同様に、社会的な動物であり、群で生活することを好むため、妊娠した成熟雌豚や未経産雌豚はなるべく群で飼われるものとする」。EUは2013年から妊娠ストールを禁止、アメリカでは10州が妊娠ストール廃止を決定しました。茨城県養豚振興計画*においても、ストレスの軽減などから母豚の群管理システムの推進が掲げられています(しかし具体的な取り組みは見られません)。妊娠ストール廃止を求める署名への賛同者は2万6千人を超えます。茨城県は豚の飼養頭数が全国第六位です。母豚の妊娠ストール飼育について、今後どうあるべきか、貴殿のお考えをお聞かせください。回答母豚の妊娠ストール飼育(母豚を一頭一頭転回できない個別の檻に収容する飼育方法)について動物福祉の観点から、母豚の妊娠ストール飼育は禁止するべきと考えます。私が知事になれば、この問題で国民・県民の認識の共有をはかり、みなさんといっしょに法律または条例の制定にむけて取り組みます。3.畜産動物のアニマルウェルフェア全般について畜産の課題は、採卵鶏のケージや母豚の妊娠ストールだけでなく、孵化場での採卵鶏のオスの殺処分、乳牛の繋ぎ飼い、限界を超えた育種改良がもたらすブロイラー(肉用鶏)の疾患と多岐にわたります。屠殺場へのアニマルウェルフェア導入も課題となっており、屠殺場での人道的な扱いを求める署名への賛同者は4万2千人を超えます。畜産動物のアニマルウェルフェに今後どう取り組むべきか、貴殿のお考えをお聞かせください。回答畜産動物のアニマルウェルフェア全般について署名サイトの映像を拝見しました。胸の痛む映像です。世界動物保健機関が定めた国際基準(OIEコード)を遵守し、と殺場を含む畜産現場のルールを整備することは、動物の苦痛を軽減するだけでなく、そこで働く人々の苦痛を軽減することにもつながると考えます。私が知事になれば、OIEコードを周知し、ルールの改善にむけて、関係者との協議をすすめます。4.レンコン田の野鳥羅網問題について茨城県のレンコン田では広く天井型防鳥網が使用されており、この天井網に野鳥がからまり死亡するという事態が長年続いています。日本野鳥の会(茨城県)の報告によると、茨城県霞ケ浦・北浦では2カ月余りで多い時には2千羽にものぼる鳥類が絡まって死んでいることもあるそうです。天井網は必須のものではなく、直置き網やワイヤ―を使用するなどより人道的な方法が存在します。人道的なレンコン生産方法を求める署名への賛同者は2万8千人を超えます。茨城県のレンコン田の天井型防鳥網について、今後どうあるべきか、貴殿のお考えをお聞かせください。回答レンコン田の野鳥羅網問題についてレンコン田の鳥害対策について、天井型防鳥網以外の方法によるべきとのご指摘について、共感をもって受け止めました。私が知事になれば、県として必要な調査をしたうえで、天井型防鳥網以外の鳥害対策に手厚く補助をするなど、鳥をむやみに傷つけない栽培方法の普及にむけた施策を検討します。*茨城県養豚振興計画では、豚の飼養衛生管理の高度化に関する事項として、群管理システムの推進が挙げられている。(本文:『効率的・省力的に飼養管理を行うために,リキッドフィーディングシステム※や群管理システム※※など高度な技術導入を推進する。※ リキッドフィーディングシステム:液状化した飼料を各豚房に給餌するシステム。※※ 群管理システム:繁殖豚を一群で管理するシステムで,従来のストールに比べ,豚のストレスを軽減できる。飼料給与量やワクチネーションなどは,コンピュータで管理する』) 一羽当たりアイパッド一枚分のスペースで一生過ごさなければならない採卵鶏 写真/茨城県転回もできない個別の檻「妊娠ストール」に閉じ込められ続ける母豚たち 写真/茨城県年中かけっぱなしの天井網にからまり、長期間逃れようともがき、死に至る野鳥たち 写真/ 茨城県選挙は、私たちが政治に参加できる大きな機会です。知事選挙に限らず選挙には投票しましょう。もし、候補者が動物についてどのような政策を持っているのかわからない場合は有権者として候補者に質問しましょう。そして、あなたの納得のできる政策を提示してくれる候補者に投票してください。クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous ArticleアニマルライツチャンネルVol20[動物を見て楽しむ時代の終わり] Next Articleケンタッキー・ピザハット・タコベル、日本含めケージフリーを発表:数百万の採卵鶏がケージから解放される 2021/09/03