フクロウカフェの元スタッフから内部告発がありました。 フクロウたちの置かれている状況は、私たちの想像以上に残酷です。かれらはそこで、ただじっと、耐えています。 私たち一人ひとりになにができるのか、考えてみて下さい。営業中も閉店後も同じ場所でつながれたままフクロウカフェで2015年から2016年にかけて働いていました。 そこはフクロウを見たり触ったりして飲み物も飲めるサービスを提供しており、約30羽のフクロウを飼育・販売しています。 フクロウ達は足にリーシュと呼ばれるヒモをつけられており、限られた空間でしか動き回ることができない環境で毎日過ごしています。フクロウは環境が変わるといけないという理由から、休憩中や閉店時でも営業中と同じ場所でリーシュを繋いだままいます。 個体の大きさで差がありますが、小型種で30cm×30cmほど、大型種で100cm×100cmほどの面積でしか動き回れません。もしお客様から触られたくない場合、フクロウは目を瞑ったり壁に向かってお客様に背を向けるような体勢で我慢するしかありません。ホームページなどでフクロウ達に休憩を設けているように記載されていますが、実際は体調が悪いフクロウ以外は休憩なしで営業中の10時間の間、お客様に触られ続けられます。 休憩を取らせることがあってもバックヤードに移動させることはせず、フクロウはずっと同じ場所にいます。ただお客様に触らせないだけで、カメラで撮影することもでき、ずっと人の目に触れることになります。糞尿が増えるため、水を与えない営業中に水を与えることはほとんどなく、夏場の暑い季節に水を飲ませることは数えるほどしかありませんでした。水入れも設けていないため、自発的にフクロウは水を飲めません。 水を与えなかったのは、糞尿の量が増えるからです。また人手不足で水を与える時間もありませんでした。 暑さで息が荒くなることもありました。フクロウは喉が渇くとクチバシの下がポコポコと出たり入ったり動くのですが、その時も水を与えることはありませんでした。次々と死んでいくフクロウ私の働いていた1年ほどの間で7羽のフクロウが亡くなっていきました。ホームページ上で「お迎えが決まりました」となっているフクロウのほとんどは亡くなってしまったフクロウ達です。 亡くなる前のフクロウには、明らかではないものの目に見てわかる異変がありました。片足で過ごさず1日中両足で止まり木に止まっている、目を瞑っている時間が多くなりずっと寝ているように見える、肩で息をしている・息づかいが荒い、私が分かった異変は特にその3点だったと思います。 オーナーは始めはフクロウが死んでいくのをただ見ていただけで病院へも連れていっておらず、フクロウが何羽も死んでいくので、途中から病院へ連れていくようになりました。営業中に体調が悪くなっても、「お店があるから病院に連れていけない」と言って営業することを優先しており、病院に連れていくことはなくそのまま死んでいきました。また素人判断で、「この状態ならもう助かることはないだろう」と言って、治療をしようとか治ることに望みをかけるようなことはありませんでした。病院に連れていくようになってからも、死にかけているから連れていくような感じでした。 死んでしまったフクロウはほとんど店の裏にある空き地に埋めて処分し、原因を突き止めたりすることはありませんでした。またオーナーが気に入っていたフクロウは剥製にすることもしていたようです。フクロウが死んでしまっては、新しくまたフクロウを補充してを繰り返していました。フクロウカフェでは、なかなか見ることのできない珍しい種類のフクロウがいると集客が上がります。そのなかには海外で乱獲されたフクロウもいたようです。オーナーは「こんなフクロウは飼おうと思っても日本にいるはずない」「卵のときに巣からとってくるんですよ」ということを客に話していました。オーナー自身、色々なフクロウを集めたいという所有欲のために、フクロウを買ってくるような所もありました。オーナーが「乱獲されたフクロウ」と言っていた子は、私の働いていた店では少なくとも3羽いました。その他にも、保健所の目を誤魔化して衛生上問題のある営業していたところも見受けられます。 店内のお茶を飲むスペースとフクロウを展示するスペースは分けていなければいけないはずなのですが、フクロウがお茶をしながらよく見えるよう、間に設けなければならないパーテーション(仕切り)をせずに営業したり、またフクロウのエサであるウズラやネズミを扱う流し台でお客様に提供する飲み物を扱っていました。我慢して、死の寸前まで生きようとするフクロウたちフクロウは見た目も愛らしく、まっすぐ人間の目を見つめてきてとても魅力のある生き物だと思います。私自身、その店で働いていた間、フクロウを見ていて飽きるなんてことなく、毎日新しい発見がある日々を過ごしました。 ですが、もともとフクロウは森のなかで静かに暮らしている生き物で、照明がありBGMのかかるカフェの空間にいるというのは、それだけでストレスなのではないでしょうか。また、見知らぬ人間に触れられるという点においてもやはり、フクロウ達には過度のストレスになると思います。 フクロウカフェのフクロウ達が、小さい頃から刷り込みをされて人間に慣れているとはいえ、まるっきり人間の環境でよい、いくら触ってもよいということはありません。人間の心の癒しのために毎日身を粉にしていると思うと、やり過ごすことはできません。動物は本能的に、体調が悪くてもそのような素振りは見せません。死んでいったフクロウ達もそうでした。 死んでいったフクロウの中には、急に止まり木から落ちて倒れるような形でそのまま死んでいった子もいましたが、倒れたときにはもう身体は固く冷たくなり始めていました。本当にギリギリまで我慢していたんだと思います。死ぬ間際まで生きようとし、平常を取り繕っていたのです。 ですが、人間の目で見て全くしんどいことが分からないことはないのです。特にフクロウカフェのフクロウは何羽もいますし、他の個体と見比べてやることをしたら、ペットの個体よりも異変は分かりやすいと思います。お客様は動物が好きな方がほとんどで、帰るときには「可愛かったです」「とても癒されました」ということを言ってくださいます。ですがやはり「こんな狭いスペースで、足にヒモを付けられてずっといるなんて可哀想」であるとか「こんなに明るい照明で大丈夫なんですか?」と言われる方も大勢いらっしゃいます。 きっとお客様のほとんどは「フクロウカフェをするためにはフクロウの事を勉強してるし、生体の扱いに気を配っている」そういう風に思っていらっしゃるのではと思います。ですが実際は違うのです。やはり、フクロウ達を拘束しふれあいをさせ、過度なストレスをかける猛禽類カフェは無くなっていった方がよいのだと、私は思います。この人は、内部告発をした理由を「フクロウの身を思うといたたまれなかった」と言っています。繋がれたままで、なぜこの場所から動けないのか、なぜ羽ばたいて飛ぶことができないのか、どうしてこんなに苦しいのか、最期の瞬間まで彼らには答えが出なかったと思います。鳥類学、保全生物学が専門の北海学園大学工学部生命工学科 早矢仕有子教授は次のような見解を示しています。「フクロウの飼育下で生まれた個体は、ヒトに慣れているため、触られたり見世物にされてもストレスを感じないという意見があります。しかし、長年家畜あるいは愛玩動物として慣らされ品種改良されてきたイヌやネコとは異なり、フクロウ類は皆、野生の原産種のままです。ヒトとの接触を喜びませんし、飼い主との主従関係もありません。暴れていない、逃げようとしないからといってストレスを感じていないと主張するのは人間の傲慢です。 動物園が動物を狭い空間で飼育することが許されるのは、希少動物等の保全に貢献する飼育施設であることはもちろん、何より市民の意識向上に役立つ教育施設であるためです。フクロウ類の生態や形態、行動に関する正しい知識を伝えるのでなければ、教育的効果の無い営利目的での猛禽類陳列は本来、許されるべきではないと私は思います。」動物は、弱ったところ見せると敵に襲われてしまいます。体調を悪いことを隠そうというのは動物の本能です。そういうとき、自然界であれば、誰もいないところに隠れてひっそりと体力の回復を待つことができます。しかしフクロウカフェのフクロウたちは繋がれたままです。毎日見知らぬ人々の前に晒されて、身を隠すこともできず、死の直前まで平静を装い続けて死んでいった彼らの気持ちを思うと、胸が苦しくなります。私たちにできることフクロウカフェに行かないこと。 そして、自分はフクロウカフェに反対するという意思を明らかにすること。 フクロウカフェに意見を届ける、周りの人にフクロウカフェの実態を知らせる、署名をひろめる、など様々な方法で私たちは意思表示ができます。 かれらの代わりに、声を上げてください。告発のあったフクロウカフェ(以下、Aフクロウカフェ)へ、アニマルライツセンターからの働きかけ保健所へ改善指導要請2016年12月26日に管轄の動物愛護部署(保健所)に、ホームページ上、『お迎えが決まりました』となっている6羽のうち、5羽が実際には死んでいるため事実確認をして、今後適切な治療を受けさせるよう指導を依頼。 2017年1月初旬に保健所がAフクロウカフェを視察。 Aフクロウカフェは「つぎつぎと死んでいるという事実はない」と否定。動物の販売状況や動物の状態などを記録した台帳(*)をAフクロウカフェは付けていなかったため保健所からAフクロウカフェに台帳を付けるよう指導が行われた。 *第一種動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目では、動物の仕入れ、販売、清掃、消毒及び保守点検の実施状況、動物の数及び状態などを記録した台帳を付けることが義務付けられている。実際に治療を受けさせていたのか、「お迎えが決まりました」というフクロウは生きているのか、保健所に追及してほしかったが、今の法律ではできないということであった。 動物愛護管理法第二十四条「第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。」により保健所の立入検査には捜査権が認められていない、というのがその理由だということだ。ただ保健所は、Aフクロウカフェに飼育上の問題を認めたため、今後Aフクロウカフェに継続して立ち入り検査するとのことだった。 「お茶を飲むスペースとフクロウの展示スペースの間に仕切りを設けていない」「フクロウの餌のねずみやウズラと、客に提供する飲み物を同じ流し台で扱っているなど」といった衛生上の問題もあり、そちらもチェックするとのこと。Aフクロウカフェへ署名と要望書提出2017年1月13日 アニマルライツセンターからAフクロウカフェに署名と要望書を提出。 2017年2月2日 電話で受け取りを確認。意見交換をし、最低限の配慮を求めたかったが、話し合い自体が難しかったため、再度保健所に文書で改善指導依頼を提出した。保健所への指導依頼内容1.猛禽類をリーシュ(つなぎ紐)でつないだままで展示しないこと。 2.営業中、猛禽類の休憩時間を、一羽につき少なくとも1日1時間以上をもうけること。また休憩は、バックヤードなどの客の目に触れない場所で、自由に動き飛ぶことのできる環境で行うこと。 3.営業時間外は、自由に動き飛ぶことのできる環境で飼養すること。 4.猛禽類がいつでも自由飲水できる設備を設置すること。 5.休憩時間と営業時間外は砂場と水浴び場を設置すること。 6.夜行性のフクロウを展示する際は、照明を暗くすること。また騒音を防止すること。 7.1から6までの改善ができない場合は、新たな猛禽類を仕入れないこと。(依頼詳細についてはこちらのサイトをご覧ください)特に1については、「展示動物の飼養及び保管に関する基準」に『動物園動物又は触れ合い動物の飼養及び保管を適切に行う上で必要と認められる場合を除き、本来の形態及び習性を損なうような施術、着色、拘束等をして展示しないこと』とあるため、リーシュでつなぎっぱなしは「拘束」にあたるので中止させるべきではないかと申し入れていました。 拘束に当たるかどうかについて保健所は環境省に確認をとってくれましたが、環境省からは、フクロウの展示状況が拘束かどうか明確な回答が得られなかったそうです。また「拘束に当たったとしても、同基準は努力規定にすぎないため、強制力のあるものではない」というのが環境省の見解だということでした。 保健所の担当者は、「拘束が違反かどうかとなると、そこまで日本が成熟していない。ただ、繋ぎっぱなしにするのではなく運動はさせるべきだと考える。定期的に視察に行き、指導できる関係を保ちつつ意見していく」とのことでした。猛禽類を利用したビジネスの廃止を求める署名署名の提出状況 ホイッスルブローワー(警笛を吹く人)募集!動物の内情お寄せ下さい。 クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous 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