追記:2021年4月30日に、ばんえい競馬を運営する帯広市農政部による記者会見が行われました。記者会見の内容は、2021年4月18日のばんえい競馬で、騎手が馬の顔面を二度蹴ったことに対するものでしたが、同記者会見で、別の厩務員もまた、同日2021年4月18日に、レースの第二障害である上り坂でうずくまる2歳牡ガリバーの顔面を二度蹴っていたことが明らかになりました。そのためアニマルライツセンターはこの厩務員の行為についても2021年5月2日に、北海道帯広警察署へ告発状を発送しました。鈴木恵介騎手および、同騎手が所属する厩舎の告発については4月26日(告発状送付は4月23日)、平田隆司厩務員および同厩務員が所属する厩舎の告発については5月6日(告発状送付は4月30日)にそれぞれ正式受理されました。通常告発状の正式受理には時間がかかる(時に数か月)ものですが、今回これほど早く受理に至ったのは、一人一人が声を上げ、SNSで話題になり、多くのメディアがこの問題を取り上げたことが大きな理由です。2021年8月17日に鈴木恵介騎手及び平田隆司厩務員が釧路地検帯広支部に書類送検されました。合わせて、騎手らが所属する厩舎の調教師3人も監督義務を怠ったとして同容疑で書類送検されました。今後検察の判断を待つことになります。アニマルライツセンターは2021年4月23日、北海道帯広警察署に、北海道帯広競馬場で行われた虐待行為について、虐待を行った騎及び、騎手の所属する厩舎を被告発人として、告発状を発送しました(動物愛護管理法第48条の二(両罰規定)により、虐待した人間が所属する厩舎も告発対象となりうる)。告発事実 被告発人は、2021年4月18日に、北海道帯広競馬場(〒080-0023 北海道帯広市西13条南9丁目)で行われた、実際にソリを引くレース形式で実施された、デビュー前の2歳馬の能力検査(令和3年度第1回能力検査)において、上り坂の障害を越えられず、うずくまる2歳牝馬ドウナンヒメ号(以下、ドウナンヒメ)の顔を、足で2度蹴り、ドウナンヒメの身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加えた。罰条 動物の愛護及び管理に関する法律(第44条第2項、第48条の二)告発の経緯 告発人は、2021年4月21日に、ソーシャル・ネットワーキング・サービス上で、被告発人が動けなくなった馬の顔を2度蹴る動画が、動物虐待ではないかと物議を醸していることを知った。告発人は、その動画をオンライン動画共有プラットフォームであるYOUTUBEの「ばんえい十勝official輓馬道」チャンネル(https://youtu.be/Ju90LAzc_r0)で確認したところ、次の通りの内容であった。被告発人は、レース開始後2分20秒で、上り坂の障害を越えられず前脚の膝を折り、うずくまったドウナンヒメに対して、ソリに乗ったまま、繰り返し強く手綱を引っ張り、また手綱で尻を9回ムチ打った。この間、ドウナンヒメは一度前脚を起こして前に進もうとしたものの、すぐにまた前脚の膝を折りうずくまった。これに対してレース開始から3分50秒、被告発人はソリから降りて左横から手綱を1回引っ張った後、すぐに左足でドウナンヒメの顔を蹴り上げた。顔を蹴り上げた後、被告発人が、数度手綱を引っ張るとドウナンヒメは立ち上がったが、またすぐに前脚を折りうずくまり進むことができなくなった。前脚を折りうずくまったまま、立ち上がろうと何度も顔を地面に擦っているドウナンヒメを、レース開始から4分30秒、再度、被告発人は右足で蹴ったが、ドウナンヒメは前脚を折りうずくまったま顔で地面を擦り続け、立ち上がることができず、競争中止となった。ドウナンヒメが上り坂の障害で動けなくなってから、被告発人が2度目の蹴りを加えるまでの2分10秒間、被告発人は、ドウナンヒメに対して、手綱の強い引っ張りを繰り返し行い、手綱による鞭打ちは9回行い、顔への蹴りを2度加えた。手綱を引っ張るという操作法は、馬の口腔に差し込んだ「ハミ」を通して馬を制御する操作法(補足後述)であり、口という敏感な部分に金属棒を押し込んで圧力をかけるというこの手法は、敏感な口の中の組織に痛みを与えたり、骨病変を引き起こしたりするリスクが知られている。また、ばんえい競馬では手綱がムチとして使用しているが、競馬におけるムチの使用は動物愛護の観点から、各国で制限が設けられており、日本中央競馬会(JRA)も「本会が定めるむち及びむちの使用に関する禁止事項について」の中で、「反応(脚勢)のない馬に対し,過度にむちを使用すること」などの禁止事項を設けているところである。繰り返しのハミによる制御、ムチ打ち、2度の蹴りが加えられる間、ドウナンヒメは膝を折り、立ち上がって進もうとしては崩れ、苦しそうに顔を何度も地面で擦っていた。告発人は、2度の蹴りだけではなく、2分10秒間にわたる馬の扱い全体が動物虐待にあたると考えている。また蹴り以外のハミによる制御や手綱を使用したムチ打ちは、ばんえい競馬において他の騎手らも常用している馬の操作方法であること、さらに、馬に最大1トンにおよぶ鉄製のソリを引かせ、上り坂という障害のあるコースの競争を強いることから、ばんえい競馬自体が動物虐待にあたるとも考えている。しかしながら現行の動物愛護管理法上、2度の蹴り以外の行為を処罰することは困難であることが想定されることから、2度の蹴りについてのみ処罰を求めるものである。告発人は、被告発人へ処罰を求めるとともに、本告発が、ばんえい競馬における馬の扱いへの問題提起となることを願い、告発に至ったものである。補足:ハミを使用した馬の制御「ハミ」は口という敏感な部分を利用して、馬を制御するためのもの。ハミは口から頭部へと衝撃を伝え、痛みと損傷を与える。ばんえい競馬に限らず、競馬、乗馬で使用されるが、ハミによる制御が虐待的であること、ハミの使用自体が問題行動を引き起こしていることなどから、ハミを使用しない手法(ハミなし頭絡)を広めようという動きもある。Horse Revolution ハミによる制御が馬に与える影響・ムチによる組織の損傷上り坂の障害で前脚を折り、何度も立ち上がろうとしてはうずくまり地面に顔を擦るドウナンヒメ画像はYOUTUBEの「ばんえい十勝official輓馬道」チャンネルに公開された、本告発の令和3年度第1回能力検査18レース(2021年4月18日)https://youtu.be/Ju90LAzc_r0 のキャプチャ画像。こういった光景は本告発のレースにおいてのみ見られるものではなく、最高1トンにも及ぶ鉄のソリを引っ張る馬が耐えかねて前脚を折り、顔を地面に擦り付け進もうともがく様は、ばんえい競馬において通常の光景。クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Articleバークレー市、動物性食品の購入を段階的に廃止 Next Article署名提出・進捗状況-茨城県のレンコン 野鳥との共存を 2021/08/18