2018年1月に閉館となった千葉県銚子市の水族館「犬吠埼マリンパーク」に、ハンドウイルカの「ハニー」がたった一頭で取り残されています。4頭いた他のイルカたちはすでに死亡しています。犬吠埼マリンパークはハニーの現状や譲渡先などの問い合わせにも一切応じません。ハニーの今ハニーは屋外のプールにいます。天候の悪い日も、孤独な中で耐えるしかありあせん。背中の皮膚がひび割れており、頭を上下に揺らすだけの常同行動を無気力に繰り返していました。海匝保健所に問い合わせたところ「空気が乾燥しているため皮膚も乾燥しているが、グリセリンで対応している」との回答でした。しかし、専門家によると「内部疾患でガスが溜まっているために潜水できず、その結果の日焼けではないか」との見解もありました。現在は皮膚疾患はある程度治癒しているとのことですが、相変わらず無気力にプカプカと浮いている状態です。群れで暮らすイルカにとって、たった一頭でいるということは相当なストレスのはずです。狭いプールのきれいとはいえない水質という劣悪な飼育環境だけでなく、精神的な問題を抱えていることが深刻であり解決が急がれます。ハニーの状況改善と健康状態などの情報の開示をもとめて「イルカのハニーを助けて!ハガキアクション」が展開されました。予想以上の反響と拡散にテレビや新聞も注目し、いまや社会問題にまでなっています。ハニーのこれまでハニーは太地町のイルカ追い込み猟で捕獲された野生のイルカです。イルカ追い込み猟は食用を前提として捕獲するため、ハニーの海の家族はイルカ肉として捕殺されました。人間に家族を殺されたイルカのイルカショーを、人間の家族が娯楽として楽しんでいるのです。これは野生の動物にたいしてあまりに理不尽な仕打ちではないでしょうか。イルカは一日のほとんどを餌を探すことに費やします。水族館では人間から餌を与えられるのを待ち、人間に与えられた命令をこなすだけの日々。それは本能を奪われた姿です。ハニーが犬吠埼マリンパークに入れられたのが2004年から2005年ごろです。そして2005年の6月に「マリン」を出産しています。ハンドウイルカの妊娠期間は約1年ですから、ハニーは捕獲された時にはすでに妊娠していたのではないかと考えられます。しかしハニーの子ども、マリンは犬吠埼マリンパークで死亡してしまいました。イルカは母親を主体とする、社会的な結びつきの強い群れを形成します。母親が餌をとりに行っている間は若いメスが深く潜れない子どもの面倒をみるなど、群れ全体で子育てをします。捕獲されなければハニーは広い海で、成長したマリンと親子で暮らしていたかもしれません。あるいはハニーがリーダーとなり、自分の群れ=家族を築いていたかもしれないのです。イルカショーで利用するには若いメスが好まれます。イルカショーのための繁殖可能なメスの捕獲は、自然での群れの形成の可能性を消滅させ、生まれるはずだった多くの生命を奪ったことになります。現在、水族館では繁殖に力を入れていますが、人工繁殖で生まれたイルカの赤ちゃんの生後一年の生存率は10~20パーセントと低く、成長できたとしても短命に終わることが多いのです。イルカショーと繁殖から解放をイルカショーは水族館にとって重要な収入源です。水族館の存続と、一時の娯楽でしかないイルカショーのために、人間はハニーからイルカとしての生涯を奪ってしまいました。彼女は水族館とイルカショーの犠牲者です。ハニーをより良い環境へ移すことが望まれます。しかし他の水族館に譲渡されることがゴールではありません。ハニーをイルカショーと繁殖から解放するべきなのです。ハニーを人の視線にさらし、赤ちゃんの死亡率の高い人工繁殖に利用して再び別離の悲しみを与えてはなりません。海に戻すにはもとの生息地の、もとの群れに戻すのが基本です。しかしハニーは太地で捕獲されたイルカですから、太地に戻れば捕殺されてしまいます。そしてハニーがいた群れはイルカ追い込み猟によってすでに全滅しているでしょう。たとえ捕獲から逃れたイルカがいたとしても、猟によるストレスを抱えたイルカが仲間を失って生き延びることは難しいからです。そのためサンクチュアリ(擬似自然保護区)へ移すことがハニーにとって最善であると考えます。 サンクチュアリでは保護海域において捕獲から守られ、本来の生息地に近い環境で暮らすことができます。季節の変化を感じたり、コミュニケーションをとって群れを形成することもできます。本能を満たすための適切な刺激は動物にとって必要です。そのために今後も海外と交渉と要望を続けていきます。「生体展示」から「保護」へ。ハニーがイルカとしてイルカらしい生活を取り戻すことが最終目標なのです。イルカのハニーを助けて!はがきアクションはこちらからhttp://animals-peace.net/honey/<サンクチュアリについて>ボルチモア国民水族館がイルカサンクチュアリ計画公表 http://animals-peace.net/wildlife/dolphin/baltimore.html動物園を廃止することを決定したコスタリカ http://www.arcj.org/animals/zoo/00/?id=948&pageID=5畜産動物の楽園 ファームアニマルサンクチュアリ http://www.hachidory.com/animal/00/id=451チンパンジーのサンクチュアリ http://www.arcj.org/animals/zoo/00/id=623<動物ジャーナリスト佐藤榮記監督「どうぶつ千夜一夜」のハニーの動画>2018年1月31日号/第193夜 ~突然閉館・犬吠埼マリンパーク閉館前日の風景 編どうぶつ千夜一夜/2018年7月16日海の日号/第308夜 ・最新情報。イルカのハニーさんは生きているか?編クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Article癒しの代償・生涯を奪われたイルカたち Next Article妊娠ストール廃止アクション 2018/08/27