2016年8月、台湾の動物権利団体EASTによると、台湾最大の水族館、國立海洋生物博物館が、イルカなどの鯨類、およびサメやマグロなどの大型魚類の展示を辞めることを明らかにした。 それだけではない。 この水族館では動物(魚類等)とのふれあいを行っているが、これも今後別の娯楽へ代替することを決定している。 そして、2006年から生きた魚の展示を、バーチャルリアリティに変更していっており、2016年現在、70.5%がすでにバーチャルリアリティに置き換わっており、残りの29.5%の生きた魚も今後バーチャルリアリティに置き換えていくという。 この画期的かつ動物の生命や生態、海洋の自然を正しく捉えた方向性は、今の日本では考えられないほど先進的だ。今回、イルカを今後展示しないことを決定した背景には、悲しいのベルーガ(白鯨)の犠牲があったという。数々の犠牲の上での英断2000年にオープンした国立海洋生物博物館、2年後の2002年にロシアから野生のベルーガを6頭輸入、輸送のストレスにより2頭がすぐに亡くなった。2006年、再びロシアからシロイルカを輸入。2008年と2009年にそれぞれ1頭、3頭が死亡するなど、数々の犠牲があった。そして、2年前、博物館(水族館)でベルーガが再び1頭死亡。さらに別の1頭を、博物館(水族館)は野生にリリースした。 野生にリリースとなると、感動のストーリーのように見られるが、それは違う。群れから引き離されて連れてこられているベルーガやイルカは、群れであるからこそ繁栄することができる。孤独にリリースされたこのベルーガも、すぐに死んだという。 これに対し、台湾国内から批判が殺到し、政治家や政府も関心を持ち始めた。 去年1月から政府、水族館、NGO、専門家らが4階会議を行い、8月5日、今後展示用に、哺乳類、およびマグロやシャーク、エイなどの大型魚類を新たに水族館に入れることはしないことが決まった。 人工繁殖も行わない。理由は、水族館の環境は動物にとって適正ではないこと、エンリッチメントやアニマルウェルフェア(動物福祉)のリサーチを行うがそれでも動物にとって適正な環境を用意することは難しいということだ。 野生と水族館は全く違う環境であるためだ。バーチャルリアリティで海の神秘を知るその他にも、今回改善案を提示している。獣医師は現在1名居るが全く足りていないため、クジラやイルカのための獣医師を招くこと。鯨類は水中の音にとても敏感であり、水族館の反響する壁、音の問題は深刻であるため、改善する方法を模索することふれあいが現在もあるが、動物福祉や生命の教育に良いものではないため、今後別のプログラムに変換することそして、今後、展示をバーチャルリアリティにリプレイスしていくことこれらは日本では考えられないほど画期的であり、先進的だ。 日本はよりひどい状況を抱えているにもかかわらず、動物福祉の観点からの適正飼育は全く考慮されていないと言っても過言ではない。 台湾ではアニマルウェルフェア(動物福祉)の意識が向上する傾向にあるという。さらに、海洋保全の意識も向上しているようだ。動物たちと、私たちは水族館や動物園のような不自然な場所で対面するべきではない。 バーチャルリアリティでも、海の神秘や動物たちの生態を学び、それを将来自然保護や自然との共生に活かしていくことは十分にできる。むしろ生き物を苦しめる現在の水族館の方法は、誤った知識を植え付け、あやまった自然との共生感を植え付けている。台湾というすぐ隣の国で、このような画期的な改善がなされる中、日本の水族館の哺乳類や魚類、甲殻類等には、いまだ全く希望がない状況にある。 水族館という安易な娯楽に、どうか飛びつかないでほしい。→台湾の動物の権利団体 EASTへの回答文クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Articleと畜場の動物福祉に関するアンケート結果 Next Article動物園を廃止することを決定したコスタリカ 2016/09/04