富戸の水族館への生体販売を目的としたイルカ追い込み猟の即時中止を!静岡県伊東市富戸の「いとう漁協」は15年間行われてこなかったイルカ追い込み猟を2019年10月に再開しました。生体捕獲なら残酷ではない。いとう漁協はこのような認識の上、猟の再開をマスコミに発表しました。しかし事実は大きく異なります。富戸で行われたイルカ追い込み猟によるハンドウイルカの生体捕獲の映像を「海・イルカ・人」が公開しました。 富戸漁港に追い込まれたイルカたちは網の中でもがき、パニックを起こしてたがいにぶつかり合い、やがて海は血の色で染まります。イルカの血が流れる海の中を、ウエットスーツを着た水族館スタッフは、なおもイルカを追い回し、数人で押さえ込んで担架に押し込みます。クレーンで宙吊りにされたイルカは担架の中で引きつったり、もがいたりしています。そして細長い棺桶のような箱に詰められると、イルカにとって命取りともなる乾燥のリスクや箱詰めの恐怖、輸送のストレスなどにさらされます。水族館が購入するイルカは若くて傷のないメスが好まれます。大人しくてショーなどで扱いやすいことと、繁殖利用が目的です。繁殖可能な個体を自然から奪うことは野生の生息数に打撃を与えます。イルカの群れは母親を主体とするため、野生の群れが構成される可能性をも奪うことになります。これは深刻な自然破壊であり、生態系破壊です。2004年時はこの後に食用にも一部を捕獲して殺害しました。今回たとえその工程がなかったとしても、いとう漁協がいうような「残酷ではない」とは程遠い状況であることは間違いがありません。映像によると捕獲中に調査・食用とは別に作業中に4頭が死亡、さらに海底からイルカの死体が見つかっているため、猟で死亡したイルカは発表よりも多いと推定されます。生体販売や食用の選別から逃れたイルカは海へとリリースされますが、群れを失ったイルカが生き延びるのは難しいとされています。家族的な群れの結びつきの強いイルカが目の前で仲間や家族を奪われた、その悲しみとストレスは計り知れません。イルカ追い込み猟という猟法は、海中に金属音を響かせて、音の壁の恐怖でイルカを追い込みます。視界の効かない海ではイルカは音の世界に生きており、水中では音は空気中の約4倍の速さで伝わります。音に敏感なイルカを金属音で極限の恐怖とストレスに陥れるイルカ追い込み猟は、その猟法自体が残酷な虐待です。イルカは本来、壁などの障害物のない広大な海で生活しています。そのため生簀に入れられたショックや、輸送のストレスで死亡するケースが報告されています。また、水族館の水槽に入れられると、まず水槽の壁を怖がります。水族館でイルカの赤ちゃんが産まれると母親のイルカは子どもを内側にしてぐるぐると水槽の中を泳ぎますが、これは水槽の壁から赤ちゃんを守っているのです。これは本来の生態にはない姿であり、微笑ましいなどとはとても言えません。水族館にいるイルカたちは、捕獲時のパニック、仲間を失った悲しみ、輸送のストレス、生簀や水槽に入れられた恐怖など、いくつもの過酷なストレスを経てきています。そしてさらにイルカショーや人工繁殖に利用され、塩素入りのプールで肺炎や皮膚病に悩まされる運命が待っています。彼らの生涯は野生由来でも人工繁殖の個体でも短命に終わることが多く、また、水族館に入るまでの行程でイルカたちが死んでいることも忘れてはなりません。公開された映像は2004年のものですが、イルカが捕獲されれば再び凄惨な光景が富戸漁港で繰り返されます。野生からイルカを捕獲し娯楽に利用するという水族館ビジネスはもう終止符を打つべきです。地球環境の持続可能性が危機的状況に晒されている現代において、このようなことを静岡県伊東市、いとう漁協は容認又は継続するべきではありません。いとう漁協はイルカ追い込み猟を中止してください。いとう漁協への要望アニマルライツセンターはPEACEとともにいとう漁業協同組合に要望書を送付、イルカ猟の中止と、話し合いの場を求めています。2020年1月13日いとう漁業協同組合 筆頭理事 日吉直人殿認定NPO法人アニマルライツセンター 代表理事 岡田 千尋 PEACE 命の搾取ではなく尊厳を 代表 東 さちこ要望:生体販売を目的としたイルカ追い込み猟を中止してください私どもは動物の権利を主張し、動物に思いやりのある社会を目指す動物保護団体として、伊東市富戸におけるイルカ追い込み猟の即時中止を求めます。 食用ではなく生体販売を目的とした捕獲であれば残酷ではない、反対もないというご認識であることを富戸支所からも直接伺っておりますが、私どもは「野生動物の消費」に強く反対いたします。音に敏感なイルカを金属音で極限のストレスに陥れて追い込む猟法そのものが虐待であり、さらには追い込まれた恐怖からパニック状態になってイルカたちがぶつかり合い、海に血が流れ、捕獲や仲間を失ったストレスから死に至るイルカもいることは、追い込み猟に携わるお立場として十分ご存知のはずです。そして、イルカたちはまず、命とりともなる乾燥のリスクと長距離輸送のストレスにさらされ、この段階で死亡や衰弱に至る場合があります。またイルカは本来、壁などの障壁物の存在しない広大な海で生きています。そのため、生簀に入れられたショックで死ぬこともあり、水族館へ搬送後もまず水槽の壁を怖がります。身体能力を発揮できず、本来の運動量を満たせない狭いプールで飼育すること自体も、イルカにとって大きな負担です。さらにその狭いプールの中で人間が見て楽しむ娯楽のために、高いジャンプや不自然な動作など、本来の行動と全く異なる芸を仕込まれ、人間から死餌(死んだ魚)を食べるよう調教されます。また自然の浄化作用がある海と違い、水槽では細菌やカビのため肺炎や皮膚病にもなりやすく、体調不良の数日後に死亡するという例が多数あります。消毒のために水槽に入れられる塩素などの薬品もイルカを苦しめ、目の白濁や皮膚の剥離などを起こします。社会性の高いイルカを、ともに生まれ育った家族や群れから引き離して使役することもイルカを苦しめます。飼育が長期間に渡れば、より長い間ストレスにさらされることになります。事実、多くのイルカが早くに死亡してしまいます。そして人々は、イルカショーから、人と動物・生態系との関係性等について誤った知識を学びます。以上の理由から、生体捕獲及び生体販売は食用の捕獲と同様に、或いはそれ以上に残酷な虐待であり、さらには生態系破壊及び自然破壊であると言えます。和歌山県太地町のイルカ追い込み猟が世界的に批判されているのも水族館ビジネスに加担した生体販売という「野生動物の消費」によるものです。イルカだけではなく、大型の哺乳動物を見世物のために捕獲すること自体が、国際的には許されないことになってきているのです。鯨類については、すでにイギリス、インド、コスタリカ、アルゼンチン、メキシコ、マレーシア、ブラジル、ニカラグア、オーストラリア、チリ、カナダ、フランスなどが娯楽目的の捕獲や飼育を禁止しており、ロシアもそれに続こうとしています。イルカの捕獲、展示、イルカショーへの批判は国際社会においてさらに高まっており、現に富戸におけるイルカ追い込み猟再開への抗議として世界中から200を超える団体が、ユネスコ国際地質科学ジオパーク計画(IGGP)に対し「伊豆半島ジオパーク」の認定取り消しを求めています(別紙参照)。ジオパーク認定はイルカ追い込み猟を理由に一度は保留となっていました。今後イルカを一頭でも捕獲したり死なせた場合はこれらの団体が黙ってはいないでしょう。その影響は伊豆全体に及び、世界の認識においてもこれまでの愛された穏やかな伊豆には二度と戻れなくなります。一度傷ついたイメージは観光地としては取り返しのつかないものであり、そのような打撃を負う前にイルカ追い込み猟の中止を求めます。また、本件について、私どもとの話し合いの場を設けてくださるようお願いいたします。本件へのご回答をお待ちしております。クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Article懇親会:動物たちを守りたい仲間たちと過ごすヴィーガンの時間 Next ArticleGood news!子供服のミキハウス、ファーフリー! 2020/01/15