アニマルライツセンターに相談のある、またアニマルライツセンターが取り組む課題に関連する動物たちのほとんどには、将来の希望がない。次の世代の話ではなく、今目の前にいる動物たちには、実際、良い未来が訪れることは決して無い。欧米では動物園での安楽死が度々行われる。アニマルウェルフェアが担保できない場合は安楽死をしたほうが、よりアニマルウェルフェアに叶うという考えに則っている。アニマルウェルフェアというのは決して楽しい考え方でも、幸福な考え方でもなく、人間が支配する動物の生き死にを責任あるものにしようとする考え方である。そのため、定義が曖昧で感情的な意味に捉えられる「動物愛護」のなかで、動物を安楽死することは許されないこととして語られてしまう。しかし、動物愛護では、動物に幸福は訪れない。人間のように救われるべきとすら考えられていないのだ。生きていることが幸福だとする人間にとってのみ都合の良い解釈によって、人は思考停止し、動物の苦しみから目を背ける。厚木市の動物公園の最後厚木市が管理していた飯山白山森林公園にあった無料の動物園が2018年に終了を遂げていた。2004年から1年間ほど改善を申し入れたが、たいした改善も行われずに来てしまった。2014年に確認したときには猿2頭になり、そして2018年に全ていなくなった。当時の自分の知識と経験の浅さを後悔する。しかしあのときはまだ閉鎖は決まっておらず、うさぎを増やすという話までしていた時期だった。抗議をしなければいまもまだ終わっていなかったかもしれない。力はまったく大したものにならなかったが、声を上げておいてよかったとは思う。閉鎖を決定してくれた厚木市には感謝したい。正直それ以外の道はなかっただろうが・・・18年の間に、猿も、鶏も、ウサギも、鳩も死んでいった。2004年当時からすでにさみしげで誰もがかわいそうとつぶやいてみていく状態だった。一日一瞬だけ管理者が来て、野菜をまいてすぐにいなくなる。市が管理していたから餌と清掃だけは続けられていたが、錆びついた重々しい檻と、動物たちの悲愴な様子はその周囲の公園をも暗くしていた。夜中、入り込もうと思えば人が入れてしまう無管理状態にもなっていた。最後、どの猿が1頭取り残されただろう。もっとも強そうだったこの子かもしれない。最後の1頭は本当に地獄を味わっただろう。恐怖、孤独、不安、絶望、退屈・・・猿の感情は、人間とさして変わらない。想像がつくのではないだろうか。これが動物園の最後の姿だ。安楽死がなぜ必要なのか、説明は必要ないだろう。美味しいものを食べさせ、眠らせて、安楽死させてあげられないものだろうか。実際、彼らに救いはこなかった。他の動物園にいる多くの動物にも、やはり救いはこない・・・。どこの行政が、廃れゆく、また閉鎖する動物園に追加予算をかけて動物が動物らしく暮らせる環境を用意してくれるだろうか。里親に出せる動物(ウサギやインコなど)を引き取ってもらうことくらいが精一杯だ。「生かしていさえすればいい」「殺すよりまし」、この考えこそが、改善を阻んでいると私達は思う。殺さずに毎日餌あげているんだからマシでしょうと言わんばかりに、結局いつも改善が行われないのだ。でもそれは残酷な殺し方を選んでいるに過ぎない。緩慢に、長く時間をかけて苦しめて殺しているに過ぎない。市営の無料動物公園、早急に閉鎖の決断を!いろんな施設が、特に猿について引取先を探したいと言う。でも猿は別の群れの中では殺されてしまう可能性が高く、技術がなければ同居トレーニングすらできないし、その技術や経験を持っている日本の動物園があるようにも思えない。厚木市も、小田原市も、館山市も廃止を決めたが、それでも猿は最後まで残され、悲惨な思いを味わいながら死ぬまで監禁され続ける。小田原市のように早急に不妊去勢手術をして近親交配も防がなくてはならない。いまだに増やし続ける逗子市などは、言語道断である。今まだ、無料動物園を維持管理している市町村、都道府県があるのであれば、即刻閉鎖を決定してほしい。そしてその中で出来得る限りのエンリッチメントを、地域の住民の手を借りながら行ってほしい。なぜなら、地域住民はその施設に責任があるからだ。住民が望んだから、作られたからだ。中高年世代は、動物園を「なくなると寂しいから」「子どもたちに見せたい」「懐かしい」などと言って、維持したがる。しかしそれは次の世代への負の遺産でしか無い。勝手な感傷に浸っていないで、まずは、一刻も早く閉鎖を決めるべきなのだ。2014年最後の2頭2004年 このときはまだ複数居た責任ある安楽死をクリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Article2019年に燃えたアマゾンは牧草地に、そして飼料用の畑になる Next Article10/28の港区立エコプラザでの講演会のレポート 2020/10/26