アニマルライツセンターも参加している県民のいのちとくらしを守る共同行動委員会(神奈川県)で2017年度の神奈川県との交渉を行いました。産業(畜産)動物について畜産業界における動物福祉の普及について質問要望:畜産業においては、動物愛護法に違反すると考えられる動物の不適切な取扱いが一般的に行われていることがわかっている。『動物の愛護及び管理に関する法律』と『産業動物の飼養及び保管に関する基準』、『動物の殺処分方法に関する指針』の普及と啓発について2016年度~2017年度に行った内容を提示すること。(改)県(2058)■:本県も、産業動物の適正な取扱いの推進の重要性については認識しているところです。そこで、産業動物の生産者に対する指導等の事務を所管している部局に対して「動物の愛護及び管理に関する法律」及び「産業動物の飼養及び保管に関する基準」を送付するとともに、関係者に対する周知を依頼し、2016年度~2017年度も引続き生産者等による自主管理の推進に努めています。 「動物の殺処分方法に関する指針」についても、同様に今年度に関係者に対する周知を依頼する予定です。 また、産業動物を含め、動物の不適切な飼養実態があった場合には、必要に応じて、その飼養者に対する指導等を実施することとしています。団体●再要求:不適切な飼養実態を把握することが難しいと考えるが、どのように把握に努めているか。 また、以下の状況が一定の割合で存在すると考えられるが、指導を行っているか。 1:過密飼育 2:不要かつ麻酔なしの外科的切除(例えばブタの歯切り) 3:不毛な飼育環境(例えば敷料のない飼育) 4:肉用鶏の趾蹠皮膚炎(FPD)の高発生率 5:不適切な淘汰方法 6:採卵鶏の骨折や脱臼に対する無治療<県再回答>: 近隣住民や関係機関からの通報に基づく把握に努めております。 現状では通報がないため、1~6の存在は把握しておりませんが今後も関係機関との連携に努めます。閉鎖されている畜産場において、近隣住民からの通報で福祉を担保することは不可能である。 中に入る行政職員が不適切な飼育、環境、行動について指導を行うことを徹底する必要がある。現状では一切愛護・福祉面は指導をしないという姿勢である。アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針の普及啓発質問要望:農林水産省畜産振興課においても、アニマルウェルフェアの推進は以前より強化されており、平成28年度第1回全国畜産課長会議において「アニマルウェルフェアに関する取り組みの自己点検の取り組み改善を進めるよう指導してほしい」と指導を行った。その他にも『アニマルウェルフェアの考え方に対応した家畜の飼養管理指針(2016年一部改定あり)』を使った普及は推進が図られ、またその役割は各都道府県の畜産担当関連部署となっている。 アニマルウェルフェアの推進のために県環境農政局が行った内容を提示すること。県 環境農政局回答:アニマルウェルフェアの推進については、現在、国と生産者団体が中心となり推進が図られておりますが、今後、国等の動向に注視しながらその対応について検討してまいります。団体●再要求:「アニマルウェルフェアの考え方に対応した家畜の飼養管理指針」について、同指針は農林水産省が普及に努めているもので、「「養豚農業の振興に関する基本方針」「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」「家畜改良増殖目標」「鶏の改良増殖目標」の中でも、その周知と普及が求められている。神奈川県では、この指針の生産者への普及啓発を行っているか。 また、県の畜産部、家畜保健衛生所で本指針が共有されているか。<県再回答>■: 本指針については、県の畜産関係機関でも情報共有されており、今後普及を図る畜産JGAPの取組にもアニマルウェルフェアの対応について適合基準がありますので、機会を捉えてアニマルウェルフェアの普及啓発に努めてまいります。この話し合いの直後に農水省から指針の普及についての通知が出されている。現場まで行き渡り、また正しいアニマルウェルフェアが普及されることを願う。屠畜場での福祉について質問要望: 2015年度に引き続き2016年度にも他県にてと畜場内での動物虐待的扱いがあったことが当会の調査により判明した。さらに、と畜場における家畜用の飲水設備の設置が進んでいないため、2017年3月8日付で「新設及び改築等が行われると畜場の獣畜の飲用水設備の設置について」が厚生労働省から出された。さらにOIE(国際獣疫事務局)のアニマルウェルフェアコードでは輸送とと畜について定められており、強制力はないにしても日本も批准しているところである。(株)神奈川食肉センター(以下、センターと略します)の福祉について、以下の情報を牛と豚別に提示すること。 1:センターに動物が到着してからと畜まで、最大で何時間か。 2:センター到着からと畜までの間の畜産動物の飲水状況。(常時飲水できる設備がある・シャワーの水を代用する・ない等) 3:動物を移動させる際に使用する追い立て道具。(スタンガンなどの電気式追い立て道具・プラスチックバット・パネル・旗・大きな声・その他の道具( )) 4:そのほか、動物福祉に配慮されていることがありましたら、提示すること。 県食肉衛生検査所(保健福祉局)回答:次のとおりお答えします。 〇1について 牛:18時間 豚:22時間 〇2について 牛、豚:常時飲水できる設備がある。 〇3について 牛:追い立てる道具は使わず、縄を引いて移動している。 豚:係留所枠内を区画するパネルは、電動で移動させることができるため、基本的には豚の移動に人の手は使わない。ただし、係留所枠外に豚を移動させる場合などは、人が声かけをしながら移動させており、どうしても必要な時のみにスタンガンなどの電気式追い立て道具、プラスチック製のパイプを短く切ったものを使用する。 〇4について ・牛では滑らないよう搬入口に絨毯を敷いている。 ・暑い時は牛豚に対して長めのシャワーを行うとともに夜中に1回のシャワーにより係留所内の温度を下げることにより、少しでも快適になるよう対応している。 ・搬入からと畜までが長時間の場合は、豚に給餌している。 ・その他、作業者への教育等 なお、「新設及び改築等が行われると畜場の獣畜の飲用水設備の設置について」は、センターに通知しています。団体●再要求:他の県の施設より福祉が整っており安心した。 1点、「人が声かけをしながら移動させており」とあるが、大声を出すことによる方法は日本でしばしば見かけるが、これは動物を怯えさせる方法であり、効率も低下する。今一度、日本も批准する国際基準であるOIE アニマルウェルフェアのコードの周知徹底、教育、トレーニングをすること。 全文を訳しました。 輸送 http://www.hopeforanimals.org/animals/slaughter/00/id=532 と畜 http://www.hopeforanimals.org/animals/slaughter/00/id=417<県再回答>■: いただいた資料を参考にさせていただきます。上記のほか、保管場所が過密すぎて闘争が頻発してしまっている事例なども提示(他県)。 福祉の改善方法について追加で資料を提出し、改善と現状の把握をお願いしている。災害時の対応について質問要望:東日本大震災や熊本地震でも、産業動物への被害とその対策の遅れが指摘されているところである。実効的な災害対策が未だにどの都道府県でも策定できていない状況である。膨大な数の産業動物を抱えるために対策が取れず、動物が放置されがちであるが、放置するということは動物愛護の精神に大きく反する虐待的な状態になることを認識し、各自の対策、他地域や他の業者との連携、行政との連携が求められる。 1)神奈川県動物愛護管理推進計画の中で、産業動物の災害時の対策について「災害時における取扱いについて関係機関と情報の共有を図ります。」とあるが、どのような情報をどのように共有したか実績を提示すること。 2)自主的な災害計画を策定することを各生産者、業界団体指導すること。 3)行政として、最低限、災害時の安楽死処分の方法や手順等を策定すること。その際飼養する安楽死方法は事前に意識を失わせまたその際に麻酔効果を得られるほう法を利用した安楽なものであること。県回答: 環境農政局および保健福祉局回答:災害時における産業動物の取扱いについては、「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針」において、関係省庁が協力して検討するとされていることから、国の動き等を引続き情報収集しました。 今後、関係省庁による検討結果に基づき、災害時における産業動物に対する対応を検討してまいります。団体●再要求:国では各都道府県での取り組みにまかせているといわれている。都道府県によっては避難計画などを策定しようとする動きがあるようである。また環境省では検討は行われていない、または行われる計画は現状ないと聞いている。県は国の動きを待つのではなく、独自にできることをやるべきである。当会から提案をしている 2)自主的な災害計画を策定することを各生産者、業界団体指導すること。(改) 3)行政として、最低限、災害時の安楽死処分の方法や手順等を策定すること。その際飼養する安楽死方法は事前に意識を失わせまたその際に麻酔効果を得られる方法を利用した安楽なものであること。 については、それほど難しい内容ではないのではないか。せめて2は必要な備えであるため、指導を行ってほしい。<県再回答>: 2)災害時の飼料や飲水の確保などについては、関係団体を通じた啓発を行って参りたいと思います。 3)災害時に産業動物を処分する場合には、作業従事者の安全確保をしながら、動物になるべく苦痛を与えないように実施します。すでに行政の連絡網はあるとのことであったが、生産者自身の対応策などについて事前の策定を依頼した。3)についても薬剤の確保など苦痛を与えないための対策を事前に確認することを要望した。イベントでの牛の扱い質問要望:各畜産まつりでの生きた動物の展示を中止すること。動物のストレスを増長するものである上、幼齢の動物の展示まで行われてきているが、まだ母親とともにいなくてはならないデリケートな時期の動物である。さらに動物は自分の種の血の匂いを嗅ぐと落ち着かなくなりストレスが増大するため肉が売られている場へのその動物を連れてくることはあってはならない。畜産のために利用されている上に展示や集客にまで使役させることは倫理上容認できない。 特に動物に接触させる(一般的に「ふれあい」と称される)ものは一方的に抵抗できない動物を人間が触りまくるという動物にとってはストレスの高いものであり、これらは動物愛護意識を高めるものではなく動物の苦しみを肯定するものである。動物愛護醸成の観点とアニマルウェルフェアの観点から畜産まつりに限らず、安易に動物を利用した集客を行わないこと。県回答:畜産まつりでの家畜の展示等は、都市畜産への理解醸成や食育において重要であると考えております。なお、展示等を行う場合は、十分なスペース、休息時間の確保、給餌、給水など動物福祉に配慮して実施しております。団体●再要求:動物は自分と同種の死体や血の匂いを嗅ぐとストレスを強く感じる。牛の嗅覚は犬以上に強いので、動物福祉に配慮し会場で肉が提供される場合には、生きた動物は展示しないこと。<県再回答>: 御要望の点については、法令及び学術的な判断を参考にし、動物福祉に配慮しながら対応してまいります。その他実験動物、パートナー動物についても質問を行った。(別途記事参照) クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Article手づかみでガブリとどうぞ!ヴィーガン肉骨つきロースト Next Article農場内での鶏の「淘汰方法」 2017/12/31