茨城県産レンコンを扱う小売企業2021年7月から8月にかけて、茨城県産レンコンを扱う小売企業13社に、署名をいただいた皆さんをを代表し、野鳥が絡まる問題への対策を行っていない生産者のレンコンを取り扱わないという調達基準を設けてほしいとの要望書を提出しました。以下、要望先企業と回答状況合同会社西友生物多様性は大変重要な課題であり、SDGs17の目標15「陸の豊かさを守ろう」に該当し、生態系のバランスを保つことで地球の環境が守られ、企業は社会的責任の重要な一部を果たすこともできると考えている。具体的な対策として現状分析からはじめ、今後の方向性について、経営層も含め慎重に検討する。株式会社イトーヨーカ堂直接契約している産地直送のレンコン生産者全員が、現在天井型防鳥網を使用していない(直接契約以外については不明)。今後も、セブン&アイグループの調達方針『生物多様性への配慮』を推進していく。株式会社カスミ担当者とまだ連絡が取れない状況株式会社エコス回答拒否イオン株式会社回答はできないが、食品担当部署が要望として共有した株式会社ヨークベニマル直接契約している産地直送のレンコン生産者全員が、現在天井型防鳥網を使用していない(直接契約以外については不明)。今後も、セブン&アイグループの調達方針『生物多様性への配慮』を推進していく。セブン&アイホールディングス(セブン&アイグループ)グループにイトーヨーカドー及びヨークベニマル。両社と要望書を共有しており、それぞれの企業から回答するとのこと。株式会社トライアルホールディングス担当者とまだ連絡が取れない状況株式会社ジェーソン直接契約のレンコンはなく、すべて委託で仕入れているため難しいとのことであったが、委託業者に優先的に天井網を使っていないレンコンの仕入れをしてもらうことを検討できないかと伝えると、話をしてみることはできるとのことでお願いした。株式会社タイヨー要望したところ、茨城県が県Webサイトで公開している見解を示されたのみで、企業としての回答は得られなかった。株式会社ライフコーポレーション現在この問題について具体的な調査を行っている。株式会社ベイシアレンコンは直接契約とそれ以外のもありコチラから条件を付けることは難しいとのことであったが、直接契約だけでも天井網なしに検討してほしいと伝え了承いただいた。株式会社イズミ 回答はできないが、食品担当部署が要望として共有した 。前向きな回答をいただけた企業もありますが、解決に向けた取り組みへはまだ時間がかかりそうです。消費者の皆さまからも、利用されるスーパーに天井網が使用されていないレンコンを購入したい旨をぜひ伝えてみてください。持続可能で生物多様性に配慮した商品を調達するというのは企業の社会的責任でもあります。小売店の皆様にその意識を高めていただくためには、消費者一人一人の意見が大きな力となります。写真は2021年7月に撮影した茨城県のレンコン田。青々とした蓮が一面に広がるなか、天井網にからまり死んでしまった野鳥。茨城県2021年3月26日、茨城県へ皆様から賛同いただいた署名を提出してまいりました。(オンラインではなく手書きの署名を集めてくださった方もおり、その署名も一緒に提出いたしました。)当日、茨城県からは、農業技術課、農村計画課、産地振興課、自然環境課、報道・広聴課のご担当者7名がご対応して下さいました。面談にあたって、アニマルライツセンターは次の4点を要望していました。1.直置き網の使用方法の調査・普及に向けた取り組み 2.天井型防鳥網だけでなく、四周も覆った完全防備型防鳥網も含め、将来的にはこれら天井網の使用の廃止を目標にしていただきたい 3.天井網を使用する場合であっても、収穫後は外す 4.啓発チラシへ法令遵守を記載しかしながら、茨城県としては、令和元年度から行っている現地の蓮田での聞き取りを継続して現状の把握に努めているところで、現時点で、これら要望に回答できる段階にきていないということでした。野鳥の羅網問題に関する茨城県の取り組みとしては、現地での聞き取りのほかに、生産者への啓発を図るために毎年2回程度行っているチラシ配布があります。チラシは、1.収穫後の蓮田の防鳥網は取り外すか防鳥網のサイドネットを確実に閉じること、2.サイドネットが設置されていない蓮田は張るようにすること、を求める内容となっています(アニマルライツセンターはサイドネットの設置が問題解決になるとは考えていません。周囲網があっても野鳥が羅網しているからです。詳細はこちらをご覧ください。)要望3「天井網を使用する場合であっても、収穫後は外す」について茨城県が作成し、レンコン生産者に配布されているチラシの中に「収穫後は天井網を外しましょう」と記載されています。しかし、実際にどれだけの生産者が収穫後に網を外してくれているのかは不明とのことでした。要望4「啓発チラシへ法令遵守を記載」について動物愛護管理法については、茨城県としては法律に抵触しないとの考えでした。また鳥獣保護法については茨城県から環境省に確認したところ「原則として同法に抵触しない」との回答であったことから、チラシへ記載するには慎重である必要があるとの回答でした。(アニマルライツセンターが2020年11月に環境省に問い合わせた時の同省の回答は、毎年野鳥がかかって死んでいるのにそれを継続しているのは、鳥獣保護法第八条に反する可能性はある、というものでした。いずれの法律についても最終的な判断は司法に委ねられるため、どの解釈が正しいかは現時点では不明です)茨城県の蓮田で野鳥が絡まり長時間かけて死に至るという状況は十数年続いており、解決のための具体的な方策がいまだ定まっていないということに焦燥を感じます。ただ県は直置き網の視察もおこなっており、この問題を放置しているわけではありません。今後の一歩進んだ取り組みが待ち望まれます。アニマルライツセンターとしては今後、茨城県の対応を待つだけでなく、茨城県産レンコンを販売する小売店へも働きかけを行いたいと思います。土浦市2021年2月9日。土浦市に署名と皆さんのコメントを提出し、意見交換をさせていただきました。これまで皆さんから土浦市に意見が寄せられたことを受けて、市ではいま、車に「野鳥の羅網パトロール実施中」と貼り、週2回現地をパトロールしているそうです。羅網している野鳥が入ればレンコン田(蓮田、ハス田)の管理者に外すように促すためです。市でも羅網問題については認識しており、アニマルライツセンターや皆さんからの意見を踏まえながら、生産者団体など関係部署と問題についての意識共有を図っている、とのことですが、現時点で具体的な方策は見えない状況です。いっぽう、今回の訪問で、問題解決には広域的な政策が必要だとも感じました。県内でもすでに直置きを採用してるレンコン田があることから、こういった代替法を広く県全体に普及してもらえるよう、県へも呼びかけてまいります。野鳥の会の調査では、他の多くの自治体が2018年から2019年にかけて天井網に絡まった野鳥の数が減っているにもかかわらず、土浦市は増えていることがわかります*。また土浦市では天井網に変わる直置き網がほぼ導入されていないという状況です。土浦市の状況についてはこちらをご覧ください。下の写真は小美玉市下玉里付近ですが、直置き網が広まっていることが分かります。土浦市では見られない光景です(ただし、小美玉市でも天井網はまだ残っており、野鳥の犠牲は発生しています)。小美玉市で導入されている直置き網。2021年2月。奥の方の黒い網は天井網だが、直置き網(オレンジの網)が広まっていることが分かる。2021年2月小美玉市小美玉市下玉里付近の直置き網の状況、直置き網のメリットについてはこちらをご覧ください。そもそも網を使用するのは種レンコンを植えたばかりの春先だけで、収穫時には使用しないという方法をとっている地域もあります。天井網は、防鳥対策として必須のものではないのです。アニマルライツセンターは土浦市に、小美玉市の直置き網の実用例を示し、土浦市のレンコン生産者の皆さんに紹介してほしいとのお願いもしています。引き続き天井網の代替法を調査し、その方法を示し、野鳥と共存できる管理方法の導入をすすめてもらえるよう働きかけていきます。オオバン(右)とオオタカ(左)。天井網に絡まったオオバンを捕食しようとしたオオタカも絡まって死んだとみられる。2021年2月茨城県「なぜ撤去しないのか?」と不審に思うようなダルダルで破れかぶれの天井網に絡まったカモ。まったく必要のない犠牲。いつまでつづけるのだろうか。2021年2月茨城県 https://youtu.be/0_n0Xn8vgJE*日本野鳥の会茨城県会報ひばりNo356参照クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Articleばんえい競馬 馬の顔面を蹴る 書類送検 Next Article藤好医師、動物性蛋白の腸内健康や老化への影響についての最新情報を語る 2021/08/19