8月、住宅街の中、炎天下の中、道路の脇の住宅の駐車場のような場所でミニブタが小さな檻で動くこともできずに飼育されているという相談がありました。込み入った住宅街の中、まるで妊娠ストール状態で身動きの取れない大きさのケージに入れられている姿に、私達は驚きました。炎天下なのに、水入れには水すら入っていませんでした。相談者や、その他近所の方が度々保健所(動物愛護行政)に相談をしており、指導も行われていましたが、改善がなされてきませんでした。正直なところ、道路脇で誰もが触れる状態で、誰でもが心配すぎて思わずご飯や水を与えてしまうような状態で豚を飼育して良いとは考えられませんでした。これは豚であることが重要な点です。15万頭以上の豚を殺す原因になった豚熱(豚コレラ)は人を介して、または畜産物を介して伝染するのですから・・・家畜伝染病予防法に基づく届け出がなされていないことや、家畜伝染病予防法に基づく飼養衛生管理基準が全く守られていないことを畜産部局に連絡し、改善指導をしてもらいました。豚を飼育しようとした場合、衛生管理区域を決め、衛生管理責任者を決め、食べ物も食料残渣であれば動物性食品が混ざらないもの(単に動物性の部分を取り除いたものもNG)を高温に熱してからでなければ与えてはなりません。衛生管理区域内で犬や猫を飼育してはなりませんし、不特定多数の人間が触れるような場所も許されません。様々な制約が、たとえペットであってもかかります。幸いこの豚は食べられてしまう豚ではなく、購入元の観光牧場が引き取るという選択肢があり、牧場に戻されていきました。牧場はと言うと・・・ここよりも普通にミニブタを飼育している場所のようです。動物取扱業未登録(改善中)だったりと不安ですが地元の行政の指導を仰ぎながら見守りたいと思います。このように売った豚を引き取ってくれるような良心的な販売元ではないことはありえますので、引き取ってくれるとは思わないでいただきたいと思います。もう豚をペットや展示用に気軽に飼育できるような時代ではないことを、重々承知してほしいと思います。相談者から嬉しいメッセージをいただきました。「今回の件では迅速に行動を起こして頂き、とても早いスピードで解決して頂き本当に感謝しております。 以前から豚が十分なスペースがない檻に入れられているのを見ていて、心が痛みました。散歩させているのも、ケージの外にいるのも見たことがありませんでした。猛暑でも身動きが取れない狭いケージに入れられ屋外で飼育されていて、豚のための適切な飼育環境を望んで行政に電話をしました。 行政の方がこれまでにも同様の通報が複数あったため、飼育環境改善の指導をしたことがあると言っていました。しかしこれまでの行政の指導にもかかわらず、豚の飼育環境の改善が見られないという現実を知り、友人に教えてもらった 「 アニマルライツセンター 」さんに相談させて頂きました。「 アニマルライツセンター 」 さんはすぐに行動を起こして下さり、半月というスピードで解決して下さいました。 一人では何もできなく、どうしたら良いのか困っていたので、「 アニマルライツセンター 」さんの行動はとても心強く本当にうれしかったです。動物だけでなく、人間にも希望を与えてくれる団体で、本当に尊敬と感謝をしています。本当に嬉しかったです!どうもありがとうございます!」感謝してくださっていますが、解決させたのは相談者自身です。私達は相談者が責任持って動くことができる場合に、私達ができるサポートやアドバイスをしています。今回は豚についてであったため的確にアドバイスができたに過ぎません。ネグレクトは虐待一般の人が動物を飼育する中で、かならず不適切な飼育をしている人が一定数います。私達はこの人たちを不良飼い主と呼んでいます。ただ良くないだけでなく、虐待に当たることもあります。その虐待の名前はネグレクトです。犬や猫、インコ、様々動物がネグレクト飼育の犠牲者になっています。今回相談があったのはミニブタでした。普段であれば、動物愛護法や基準に違反している箇所を特定し、保健所に指導をしてもらうことしかできません。あとは近所に住む相談者が飼い主との関係を築き、動物を譲渡してもらうか、散歩を代行し続けるか、水や餌をあげつづけるしかありません。今の日本社会には近所の動物を日々気にかけてできることを続けている人々がたくさんいます。一般のペットの不良飼い主問題はほとんど解決しないのです。動物愛護法が、一般飼い主のネグレクトに対してたいした効力を持たないことが原因です。しかし、2020年に新たに施行された改正動物愛護法では、私達3団体の訴えが認められて多少の前進をし、不適切飼養への指導権限強化(第25条)され指導や立ち入り検査を拒絶することはできなくなりました。罰則もより詳細化され、ネグレクト虐待を防止しようという方向に進みつつあります。非常に難しいケースが多いですが、多少でも改善することは動物にとって大きな違いです。入っていなかった水が入って常時水が飲めるようになるだけでも、泥のようになっている水が新鮮な水になるだけでも、糞が転がっているのが当たり前だったのが掃除されるだけでも、エリアが1m広がるだけでも、、、です。勇気を出して、地元の保健所に相談をし、指導をお願いしてください。関連記事ネグレクト事例 よくある田舎の風景?でも法律違反ですネグレクトによる動物虐待。見かけたらすぐに保健所に指導をお願いしよう!全てが手遅れになる前に。クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Article2015年以降、補助金で妊娠ストール91件、鶏のケージ65件 Next Article災害はすぐそこ。ちゃんと動物を守れるようにしてください 2020/09/02