魚には目はありますが、まばたきをせず、無表情です。ずっと水の中にいて、わたしたちは、触れ合うことができません。釣りなどで触ることはありますが、私たちが魚に触ることは魚にダメージを与えてしまいます。人と魚がコミュニケーションをとることは困難です。哺乳類や鳥類のように、声をだしません。そのことが私たちから魚への同情心を奪ってしまっている要因かもしれません。でも私たちと見た目が違うということは、彼らが苦悩しないことの証拠にはなりません。魚たちは非人道的な扱いに苦しんでいます。魚の痛みと魚利用の問題点下の二本の動画は、youtubeに上がっていた動画です。1本目の動画この魚は解体前も、解体されて皿に盛られてからもエラの定期的な動きから呼吸をしていることが分かります。これは彼が意識を持ちながら解体されていることを示しています。動画を見る限り、解体前にイケジメ(脳にスパイクを打つ)や頭蓋骨への打撃による気絶処理が行われていないようです。あるいは行っていても不十分な状態なのかもしれません(追記:動画の店舗に要望書を送り、後日電話で話をしたところ、動画には映っていませんが、解体するまえに頭への「打撃」はおこなっているとのことでした)。「皿の上」で魚の動きをだすというパフォーマンスのために「半分だけしめる(半分だけイケジメ)」「ゆるくしめる」などといって半殺しの状態で解体する料理店もあるからです。*追記:一本目の動画のリンクは削除しました。2021年2月下旬に、動画の店舗に要望書を送り、後日電話で話をしたところ、社内で要望内容を共有するなど、できるだけ人道的な屠殺をすることの重要性を認識していただいていることが分かったためです。同店舗ではメニューに生きたイセエビもあることが分かったため、甲殻類の人道的な屠殺方法についての資料も送りました。上の動画では、身をそがれた魚が、皿の上にのせられてもなお定期的なエラの動きをしていることが分かります。オランダの研究は、魚から水を奪い、気絶処理を行わなかった場合、死に至るまでの時間は、内臓を抜かなければ55〜250分、内臓を抜いた場合でも25〜65分かかると報告しています。魚の無意識の有無の判断方法、より苦しみの少ない殺し方はコチラのサイトをご覧ください。2本目の動画下の動画もそうです。こちらは気絶処理をせず、生きた状態で包丁を入れて放血をしています。1:00~で「なるべき傷つけずにしめる」といってエラの上のほうに包丁を入れていますが、これは気絶処理であるイケジメではありません。イケジメは脳にスパイクを打つことで行われますが、包丁が刺しているのは脳ではありません。この魚も意識を持ちながら解体されています。放血後も魚はすぐに死にきれず、まな板の上で定期的なエラ呼吸をしていることが分かります。さらに1:54~、4:00~には、目が動いていることが分かります。これも意識を持っていることを示します。6分54秒においてもなお定期的な鰓の動きが見られます。(動画はカットが入っているため、実際にはこれより長い間、この魚は意識を持ちながらの解体に堪えていることになります。)*追記:2021年2月下旬に、動画の店舗へは要望書を提出しました。提出後まもなく店舗から次の回答をいただきました。要望1意識のある状態の魚を解体することを廃止し、イケジメなどで確実に意識を喪失させ、意識を喪失させたことを確認したのち放血し、殺した後で解体してください。→承知いたしました。要望2意識の喪失(気絶処理)は、魚を水から出して15秒以内に行ってください。→承知いたしました。要望3生きた魚を披露宴会場や飲食店等で解体するという行為を廃止してください(注:海から捕獲後すぐにと殺するのが最も人道的な方法であり、輸送-生け簀の過程で重大な福祉の問題が生じるため)。→以後、イケジメの作業を考慮し、今後、検討いたします。また動画については削除されたそうです。魚は単なる食料ではありません。感受性のある生き物です。海の中では私たちと同じように社会生活を営んでいます。このような残酷な方法で殺されるいわれはどこにもありません。魚を殺して食べるという行為は、必ず魚を苦しめます。殺すときだけではありません。捕獲・輸送・生け簀の中、すべての過程で魚は苦しみます。栄養学的に彼らを食べる必要はどこにもありません。魚の苦しみを無くせる唯一の選択は、彼らを食べないという選択です。店舗へ非人道的な殺し方を止めるよう要望アニマルライツセンターはこういった非人道的な行為をする店舗らへ、下記のとおり、残酷な殺し方を止めるよう要望書を提出しています。レストラン、海鮮料理店、釣り人、テレビの料理番組、YOUTUBEなどで酷い方法で魚が殺されていれば、「なぜわざわざそのように苦しめるのか」と、メールや電話、コメント欄などで皆様からもぜひ意見を届けてみてください。魚の痛みが考慮されることの少ない社会の中で、そのような意見は社会を変える重要な一石となります。*要望内容は各飲食店の問題点ごとに若干変更しています。私たちは動物の権利及び福祉の向上を目指し市民運動を行う認定NPO法人アニマルライツセンターです。○様が、魚の解体をされている動画を拝見しました。つきましては、魚の扱いについて、下記のとおり要望させていただきます。意識のある状態の魚を解体することを廃止し、イケジメなどで確実に意識を喪失させ、意識を喪失させたことを確認したのち放血し、殺した後で解体してください。意識の喪失(気絶処理)は、魚を水から出して15秒以内に行ってください。生きた魚を披露宴会場や飲食店等で解体するという行為を廃止してください。日本では魚の福祉という考えはあまり一般的ではありませんが、日本も批准しているOIE(世界動物保健機関)の水生動物衛生規約の動物福祉基準(第7.4章)は、魚の福祉が担保されるよう求めています。同基準の中には「魚を殺す前に気絶させること。」「気絶手段は、確実に即効性があり、かつ意識喪失から確実に回復しないようにすべきであること」などという項目もあります。EU、ニュージーランド、オーストラリア(いくつかの州)、ノルウェーなどの動物福祉法は、対象動物に「魚」を含んでいます。カナダではより具体的な魚の福祉規範が策定中であり、EU議会でも近年魚の福祉について踏み込んだ議論が開始しました。魚は痛みを認知しないためどのように扱っても構わないという考えは過去のものとなっています。魚とそれ以外の脊椎動物の脳の組織構造は異なりますが、それは単に脳の発生様式が異なるだけで、魚には大脳新皮質や大脳辺縁系にあたる部分があります。見た目が異なるので痛みを認知する能力がないという考えは「肺がないので呼吸ができない」というのと同じです。○様の魚の解体動画では、解体前、解体後も、魚が意識を持っていることを示す定期的な鰓の動きが観察されます。これはイケジメなどでの気絶処理を行っていない、あるいは行っていてもそれが失敗していることを意味します。○様が解体した魚は、身を削がれて皿の上に乗せられてもなお定期的な鰓の動きが見られます。魚から水を奪い気絶処理を行わなかった場合、死に至るまで長い時間がかかります。オランダの研究は、内臓を抜かなければ55〜250分、内臓を抜いた場合でも25〜65分かかると報告しています。魚は単なる食料ではなく、感受性のある生き物です。海の中では私たちと同じように社会生活を営んでいます。彼らを尊重し、このように苦しみの長引く方法で殺さないでください。貴殿もご存知だとは思いますが、生きたままで解体すると魚の身は不味くなります。それが多くの料理人がいわゆる「活造り」から離れている理由でもあります。窒息というストレスを味わった魚は即死した魚よりも1カ月早く腐ります。また、水を奪われることは魚にとって大きなストレスとなります。OIE(世界動物保健機関)は水生動物衛生規約の動物福祉基準(第7.4章)で、水を魚から奪う時間を短時間で済ませることを求めています。人道的な屠殺を研究するイギリスのHumane Slaughter Associationは、水から出して15秒以内に屠殺すべきとしています。生きた魚を披露宴会場や飲食店等で解体するという行為の廃止もご検討ください。これは捕獲に加えて輸送、生け簀という魚にとってストレスのある手順が増えることになると同時に、魚の身の品質低下にも関係します。以上、お手数ではございますが、当法人の3つの要望について、書面(郵便またはFAX)あるいは電子メールにて、ご回答いただけますよう、何卒よろしくお願いします。付記イケジメでスパイクをうつ位置は魚種ごとに異なります。ikijime で検索してください。 https://www.ikijime.com/意識の喪失に成功したかの指標はこちらを参考にしてください。意識がある意識がない眼の動き魚を回転させると、目がそれについて回る(下図参照)。魚を回転させても、目は動かない。呼吸体と呼吸器の定期的な動き(えら活動の定期的な動き)体と呼吸器の動きの停止(えら活動の停止)上の魚は意識がある。下の魚は無意識。クリックして Twitter で共有 (新しいウィンドウで開きます)Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます)クリックして X で共有 (新しいウィンドウで開きます)Share This Previous Articleもうすぐ大震災から10年、繰り返されてきた畜産動物たちの悲劇 Next Articleケージ飼育の状況を知り、平飼いを始めた箱庭ファームはケージフリー 2021/03/10